第98話 大神さまに出会った

ギフト頂きましたありがとうございます。

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「祓いたまえ。清め賜え」


 玉串をバッサバッサと振るいながら巫女装束の女性・・・神薙というらしいが祝詞をあげる。

 実に日本の神道っぽい。まぁ祝詞がまんま神道のそれではなく、異世界言語が適当に翻訳しているんだろうけど・・・

 あとペンタントちゃんがたまにピクピクしているのは、彼女がハーフデビルだからだろうか?


「ありがとうございます」


 スススと紙で作った封筒に金貨1枚を入れて神薙さんに差し出す。


「ご喜捨。感謝します」


 神薙さん封筒を袖に仕舞うと頭を下げる。

 お布施の変わりに少し情報を仕入れる。

 僧侶の回復魔法の根元についてだ。


「僧侶の回復魔法が何に依っているか、ですか?」


 少なくともこの世界に神さまは7体いるからね。


「うちの故郷では神さまお願いって祈るんですよ」


「あぁ・・・こちらでは神の名を出すことはありませんね。治って欲しい、死霊なら浄化を祈念します」


「神さまを頼らないと?」


「あぁ、どの神でも冒険者をやっている僧侶の奇跡のカは基本どれも同じですよ。差はありません強いていうなら加護・・・そう。信仰する神によって耐性に差が出るぐらいですね」


 なるほど・・・ざっくりとしか信仰してないチビの聖魔法のレベルが下がらない訳だ。


『信仰してくれてもいいのじゃぞ?』


「ヘ?」


 いきなり部屋全体を震わせる声が響いて世界が真っ白になる。

 そして、金髪に少しふくよかな体。片乳を豪快に露出させた女性と、銀髪のガリガリの男性が目の前に立っていた。


「お初にお目にかかる異世界の人。この世界で女大神をやってルナ・オルガじゃ」


「お初にお目にかかる異世界の人。この世界で男大神をやっておるサン・オルガじゃ」


 豪快に笑いながら、二人は頭を下げる。


「九竜里美です。初めまして・・・」


 こちらも頭を下げて挨拶。いや、ちょっと待って!


「どうです?この世界は?」


 ニコニコしながらルナさまが訪ねる。


「はぁ・・・実は週2日なんで余り堪能出来てませんね」


 正直に話す。


「ほうほう」


 サンさまが唸る。


「あ、でも3週間後なら長期休暇に入るのでそこからですね」


「なるほどなるほど」


 二人して頷く。


「なぜお二人は自分のことを?」


「自分たちの世界に穴が開いて気付かない神がいるもんかね」


 カラカラと笑うルナさま。


「えぇっと苦情ですか?」


「半分だな」


「どういう?」


「いや、お前さんたちが異世界から持ち込んでいるものがな、我が世界に影響を与えるモノについての相談じゃ」


 サンさまがついっと指を宙に滑らす。


「そちらの技術を持ち込むのは構わんが、それらの原理を教えるのは勘弁して欲しい」


 まぁ、色々とバランスを崩すのは良くないよね・・・特に軍事バランスを崩すようなモノは。


「例えば?」


「バギーは無いな。いずれこちらの技術でも再現されるじゃろうが、あれの技術が広がると色々マズい」


 なるほど・・・


「あと、お主の背中で今もふよふよ浮かんでおるドローンと通信機」


「あぁ・・・なんとなく分かりました。端的に言うと戦争に使える技術という事ですね?」


 その言葉にお二人は頭を縦に振る。

 確かにバギーとか通信機は戦場を一変させるよね・・・


「となると武器の類も?」


「そっちは余り気にしておらんな。何千、何万とかならあれだが、数百程度ならどういうことは無いじゃろ?」


 う~ん何百でもマズい気はする。武器の質の差は、それなりに戦力差として出るから。


「まぁ、こちらがマズいと思ったら、神の力で介入するから気を付けてくれということじゃ」


 なんか物騒なこと言ってる・・・


「はぁ・・・一応、警告を受けたと報告しておきますね。で、それを言うために呼び出したのですか?」


「おぉそうじゃそうじゃ。実はな。持ち込み禁止の判断をするために、お主の世界との交易を望むのじゃ」


 へぇ?


「なんと言うか、旨そうな食い物や酒を持ち込んでおったろ?あれが食べてみたい」


 なんと言うかルナさまの目がキラキラしている。

 これって、持ち込むなって警告するのが目的じゃなく、食べたいものを貢がせる言い訳なんじゃ?

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