第99話 付与師になる

 取り敢えずサンプルとしてスペースの中にあった1000円のワインとあたり目とチーズを供えた。

 神さまは大いに喜び、虹色に輝く金属塊を下賜してくれた。ヒヒロイカネという物凄く熱伝導率のいい金属で、この金属で茶釜を作ると木の葉数枚でお茶が沸かせるらしい。うん?もしかしてこれで剣を作ると物凄いヒートソードが作れるんじゃないか?帰ったら依頼してみよう。

 神さまへのお供え用の祭壇も貰ってその場を辞すると、神社に戻ってくることが出来たので神社も辞して田中さんたちと合流。商業ギルドのおつかいを終え、ついでにウジナの商業ギルドでクエスト達成の報告を済ませて、異世界駐屯地に戻る。無論、大神さまの警告を報告することも忘れない。聞かせた時には半信半疑っぽかったけど、ヒヒイロカネを見せたら一応は信用してくれた。

 なおヒヒイロカネは田中さんの伝手を頼って岡山県の刀鍛治さんに預ける事になった。



「今日は異世界で手に入れたスキルスクロールの効能を試したいと思います」


 スベスベ饅頭:『お、マジか』


 ルナ:『ギルドの審査通ったんだ』


 配信を始めるといつもの常連さんも入ってくる。


 ルナ:『でも異世界って職業スキルが手に入るんだ。いいなぁ』


 ルナちゃんは来年ダンジョンデビューだからその辺が気になるらしい。まぁスキル持ちなら無職からでも確実に職業を授かるだろうしある程度目的の職業につけるから仕方ないよね。

 さっそくスペースからスクロールを取り出し付与師のスキルを得る。

 そして第1階層のボスをサクッと倒し、職業部屋に入る。


「おぉ・・・この世界にはない付与師が選べます!」


 スベスベ饅頭:『お、マジか』


『ガタタッ!もうちょっと詳しく!』


 ダンジョンドローンで転職ボードを撮影する。

 付与師。

 初期スキルは属性付与(火)である。

 早速付与師に転職。


「属性付与(火)は、武器や防具に一時的に火属性を付与する。ですね」


 腰に吊っていたダガーを手に持ってスキルを発動する。ダガーが熱を持っているのが解る。


「これは・・・」


 スペースからペットボトルを取り出し蓋を開けて水をダガーの刀身に垂らす。


 ジュワ


『おぉ、凄い熱量』


「これは、熱に弱いモンスターに効果ありそうですね」


『スキルを鍛えて他の属性が使えると強い(予感)』


 解るよ~雷とか付与出来たら即席でスタンガンとかになる。


「取り敢えずレベルをガンガン上げて行きましょう!」


 そのまま第2階層へと降りる。


「火属性付与がヤバい・・・」


 思わず声が出る。

 ヒートダガーは切り口を焼きながら傷を付ける。見た目だと血を止めるので派手ではないけど、刃がするりと入って行く。

 スライムを切っているみたいだ。

 お~付与師としてのレベルがガンガン上がる。

 まぁ付与師は職業レベルよりスキルレベルの方が重要なんだろうけどね。

 サクッと第20階層まで踏破し付与師レベルは15まで到達。スキルは・・・

 初級付与術

 属性付与(火)熱を発する。

 属性付与(水)モノを冷やす。

 属性付与(木)風を生む。

 属性付与(金)防御力を上げる。

 属性付与(土)土の塊を生む。

 付与時間延長

 中級付与術

 属性付与(炎)炎を生む。

 属性付与(氷)氷を生む。


 属性付与(炎)がエグい。ダガーの刀身から炎が上がるのよ。属性付与(氷)もエグい。氷がダガーの刀身をダガーとショートソードの中間ぐらいに伸ばしてくるし、接触したモノを凍らせてくる。

 時間延長をさせると、だいたい三分ぐらい持つ。

 MP消費も相応にエグい

 けど、中級ダンジョンならほぼ無敵である。

 まあ小剣術10が地味に仕事しているんだろけど。


『うわぁ・・・劣化魔法少女製造マシンじゃん』


 ふんふんなるほど?まあ太陽と月の属性は無いけど、魔法少女だよね。上位か下位かって問われると微妙だけど、言われて見れば劣化魔法少女である。こっちは性別関係無いけど・・・


「あっちの概念持ち込んだらこっちでも再現するかの実験をします。転職部屋で付与師が出た方情報求む!ギルドに報告して下さいね!」


『りょ』


『りょ』


『了解!』


 取り敢えず今回の実況を許可してくれた開拓者ギルドとの取り引きを完遂するのであった。

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