第90話 文化祭
結局紅桃たちを紹介する前に青津くんたちは離れて行きました。どうやら彼らは隆司くんにいまの自分たちを見せびらかしたかっただけのようです。
いま彼らの目には、自分はライバルとして入らないのでしょう。まぁ紅桃を見たら彼らが自分にマウントを取るとも思えませんが・・・
文化祭の二日目が始まりました。午前中から疾風とチビが大活躍です。テイマーという職はそれなりに希少で、テイムされているモンスターを間近に見ることも珍しいため、テイムモンスターがいるという噂を聞いただけで教室に人が入ります。
「これ3番に!」
「にゃあ」
トテトテとチビが紅茶とクッキーを盛った皿を3番テーブルにもっていくと歓声が上がる。人気でなにより・・・
「これ8番」
「わんぉ!」
タ、タ、タと疾風が紅茶とクッキーを盛った皿を8番テーブルにもっていく。
あぁいけませんお客様。ウェイトレスへのおさわりはご遠慮ください。いけませんお客様!
ようやく休憩時間。チビと疾風と紅桃を引き連れて校舎を巡回です。チビも疾風も看板を背負って宣伝。注目度は満点です。
「主。酒が飲みたい」
「ここは学校です。我慢しなさい」
「う~い」
紅桃も無理なお願いと判っているのか、あっさり引き下がる。13時には大まかな所を周り帰ってくるが、クラスの喫茶店はそれからほどなく売り物を売り切って閉店と相成った。
それからはソフトテニス部からボールを借りてきて、紅桃を的にしたボール当てに移行したけど、野球部のエースのプライドをズタズタに引き裂いたぐらいで文化祭は終わりを告げた。
「ようやく合流できまーす」
文化祭の振り替え休日。異世界に向かうためにJ隊のK田駐屯地にきたところをシャーロッテ・ガーリー・ホームズに捕捉された。脇には木人のパペットがいる。ほん。シャーロッテさんの最初のパートナーはパペット。ということはシャーロッテさんは後衛なのか?
「クラン申請しまーす」
「了解です」
シャーロッテさんからクランの所属申請がとんでくるので承諾する。アメリカは今のところ全部で3人が異世界調査に向かうという。
職業は戦士と魔法使い。そしてシャーロッテさんは僧侶だって。
そう言えば僧侶って神様の力を行使するんだよね?異世界であってもキリスト教の神様は奇跡を起こしてくれるのだろうか?その辺全く気にしなかったよ。回復はポーションオンリーだし、アンデットを退治したこともないからね。
僧侶の魔法が発動しなかったらどうしよう?考えたこと無かったよ。
日本人の場合、八百万の神様がいるって考えだから、ダンジョンで起こる僧侶の奇跡も漠然と神のカとかそういうものだと思っているから発動しているような気がする。うん。ゼウスとか天照大神とか大国主命とかの名前じゃなくただ神様って言ってるような気がする・・・
「まぁ、その辺も調査するつもりかもね・・・」
取りあえずあちらの神様というのを調べてみよう・・・
田中さんたちと合流し、物資を異次元の扉に収納し異世界に飛ぶ。
異世界駐屯地も小型重機と人員動員のお陰で随分立派になった・・・
湖から人工の川を掘ってきて水掘で囲っている。
さらに切り出した木材の門に物見櫓。
「随分立派になりましたね?」
「まあ、駐屯地というよりは砦だよね」
田中さんは苦笑いする。まぁ、今のところ60人が籠もるには十分な拠点である。
「これ以上拡張するのですか?」
「う~ん。出来れば100人は駐屯して欲しいからそこまでは広げたいね」
あと40人か・・・でもクラン以上の人数拡張は出来るのかな?
「日本じゃ無理でもこちらなら可能な手段があることが調査で判ってな・・・」
あぁ・・・なるほど、この世界にもあるんですね。奴隷制度。オクトとの話でなんとなくその存在は知ってました。そうか・・・やっぱりあるんだ。
「あぁ、ご配慮感謝します。自分、そういうの気にしないので、ああ紹介はしてください」
モンスターをテイムして使役している自分が今さらな話です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます