第91話 称号が付いたってよ

 田中さんの説明では、J隊の調査チームはアキツ連合皇国その八人の諸侯が支配する国のひとつアキ国の国都ロシマまで到達したそうだ。なお時間は、ウジナからバギーで2日ほどかかったらしい。

 自分が行けるとすれば、勤労感謝の日で三連休になる月末ですね。

 で、ウジナになくて王都にはあったものに奴隷商というのがあったという。

 なぜウジナに無かったのか?これは奴隷化するための隷属化魔法の使い手の数が圧倒的に少ないのが原因らしい。

 ちなみに奴隷というのは借金返済の強制を強いる経済奴隷。犯罪の償いを強いる犯罪奴隷。

 そして違法である奴隷狩りに遭った違法奴隷がいるという。隷属化魔法の使い手の数が圧倒的に少ないはずなのに違法奴隷がいるというのはなんとも闇が深い話である。

 まぁ、今回はシャーロッテさんに付き合って近隣巡りですね・・・


「おぅ!オールドジャパン!」


 ウジナにやってきたシャーロッテさんは、誇張でなく喜びのあまりジャンプした。


「取りあえず冒険者ギルドで冒険者登録しましょうね」


 きゃあきゃあ黄色い声を上げるシャーロッテさんを冒険者ギルドへと引っ張っていく。


「おぅ。書類が英語で読めます!」


 異世界の現地語が自分たちは日本語で読めたが、アメリカ人だと英語で読めるのか。


「シャーロッテさん。相手の言葉はどう聞こえますか?」


「英語ですね。そちらは日本語なのですか?」


「はい。日本語です」


 シャーロッテさんの質問に答えを返す。


「世界の不思議でーす」


 果たして日本語と英語だけなのか他の言語もそうなのか気になるところです。ただ、この世界に来れるのは今のところ日本人とアメリカ人だけですが・・・


「英語と日本語を混ぜても話が通じる!」


 へぇ・・・どうなってるんだろう?共通言語。

 まぁ日本語は外国語が混じっても通じるときは通じるから、それに近いかも・・・


「あぁ、そう言えば職業は僧侶のままですか?」


「職業?あぁそう言えばそうですね。異世界にまで主の威光が・・・ノー!」


 いきなりシャーロッテさんが叫ぶ。


「回復魔法が、浄化がレベル0になってます!」


 え?思わずチビを見る。


「あっちのスキルレベルは落ちてないっすよ?」


 チビは首をかしげる。よくよく考えるとチビが何らかの宗教を信仰しているとか聞いたことないな。


「そう言えばチビは何を信仰しているの?」


「信仰?なんですかそれ?」


 可愛いらしく首を傾げるチビ。ですよねぇ・・・

 う~ん。神への信仰じゃないのか?


「例えばチビは何を思って回復スキルとか使っているの?」


「うん?怪我をしたら、治って下さいってお願いしているよ?」


 なるほど。神様じゃなくて純粋な祈り・・・例えるなら原始宗教の神とも呼べないようなモノに対して祈っているのか。


「シャーロッテさんはキリスト教の神への祈りだからレベルが0になった・・・とかかな?」


「主の愛が・・・届いていないだと?」


 シャーロッテさん物凄く落ち込んだ。え?そこ大事なの?いや解るけど・・・それよりJ隊の人たちはどうなのだろうか?あとで調べてみよう。


「取りあえず怪我が治って欲しいって純粋な祈りがあれば回復魔法は発動するっぽいので、純粋に祈るところからはじめましょうか・・・」


 今はそれしかないよね。なお、シャーロッテさんはテイムした木人の人形ウッドパペットを使役することを正直に申請したよ。そのせいで冒険者ギルドから、浄瑠璃師という職業を得ていた。そしてこれは後で判明して驚いたことだけど、シャーロッテさんのステ一タス欄に称号という形でしっかり記載されていたよ。

 浄瑠璃師。ゴーレム系モンスターをテイムモンスターとして使役するときにゴーレムのステ一タスを増加させるんだって。

 いいなぁ・・・

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