第89話 大陸よりの刺客その2
「アイヤ!」
コテコテの中国人が来たな。チャイナ服じゃなくて拳法着なのが判っているというか・・・いや普段着に拳法着なのはどうなんだろう。青いし袖も無い。あとお団子頭。
何というか3D格闘ゲームの登場人物っぽい。
「い~ん!」
手首を曲げ、中指と人差し指を伸ばしたその独特の構え・・・蟷螂拳という奴だ。
女は独特の歩法で間を詰める。
「ふん!」
紅桃が震脚で踏み込むと女は素早く横に周り込み、紅桃の腕を掴み手前に引いて崩しにかかる。
が、紅桃は小揺るぎもしない。
「はっ!」
紅桃の拳が女を捉える。
「ほぁ!」
吹っ飛んでいく女と入れ変わるように人民服の男が飛び込んでくる。
なんか時代錯誤っぽくない?
「せい!」
紅桃の正拳が男の腹に刺さる。
新たに4人の男が姿を現す。
「てめえ!」
あ、1人日本語をしゃべっているのがいます。あれは確実に確保ですね。
「マシュル。1人、日本語をしゃべりそうなヤツがいます。確保を・・・」
「ちぃ!」
マシュルはスッと影に潜る。
「おらっ!」
また1人。紅桃の拳で吹っ飛ぶ。どんなに人数がいても通路は狭いので、1対1を強いられます。レベルの高い紅桃を相手に素手で戦うのは無茶を通り越して無謀です。
「せいや!」
またまた飛び出してきた男を前蹴りで蹴り飛ばす。
「イヤャャ!」
再び女が立ち上がり突っ込んでくる。
ババッ、ババッ
なんか蟷螂手が格好良く空を切るが、紅桃のあしらっている感が強い。
「こうか?」
紅桃の手が女の腕を掴み引き込んで体勢を崩す。
ドコッ
紅桃の震脚が廊下の床を割り、正拳が斜め下に体勢を崩した女の胸にヒットする。
かはっ!
口から血の泡を吐き女は床に突っ伏した。死んだか?少くなくとも肋骨が折れて肺を傷つけたぐらいはしただろう。
「やぁあ~!」
今度は男4人が一斉に襲ってくる。でも廊下である。2人が2列が精一杯だ。そしてそれは悪手である。
「うりゃあ!」
紅桃のショートレンジからのドロップキックが炸裂する。
男たちは纏めて吹っ飛び、廊下の端の壁に叩き付けられ動かなくなる。
「さて・・・」
倒れて呻き声を上げている連中を縛り上げ、持っている携帯を没収する。
携帯は電源を切り、スペースに。これで少しは時間が稼げるだろう。
「さて・・・」
異次元の扉を経由して、不審者をJ隊の駐屯地に送り届ける。えぇ、大変喜ばれました。彼らがどうなるかは神のみぞ知る。あ、共産圏に神は居ないんでしたね。
「これらが押収物です」
スペースから携帯を取り出して渡す。電源が入っていないからGPSとかで場所が特定されないよ。
「これは重ね重ねありがとうございます。適正価格で買い取らせていただきますね」
J隊の人はにっこり笑う。適正価格とかいっているが、きっと表に出せない報酬だろう。
「分かりました。よろしくお願いします」
にっこり笑ってその場を去る。家に帰ったら心ちゃんに電話だな・・・
我が校の文化祭は土曜日に内輪だけ日曜日に一般公開のニ日間開催だ。
コスプレ喫茶と銘打っているけど、開拓者は普段装備している開拓者装備で接客となっている。
まあうちのクラスで開拓者は心ちゃんと
「へぇ。順調に装備整えてるじゃん」
青津くんが隆司くんに声をかける。お互い胴鎧に肩、小手の鎧を装備している。
「そっちもな・・・」
隆司くんも小声でボソッと返す。
「おっコボルトとケット・シーじゃん」
黄瀬ちゃんと碧橋ちゃんが、嬉しそうに疾風とチビをモフる。
「へぇ。冬山は魔法少女か」
桃田くんが珍しそうに心ちゃんに話かける。さて、紅桃やカイヤたちを紹介した方がいいのかな?
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