第88話 大陸よりの刺客
さて、世の中は芸術の秋とか食欲の秋とか呼ばれる季節である。なにかというと、我が高校も文化祭の季節である。
クラスでは早々にコスプレ喫茶店と相成った。
まあ、紅茶とクッキーは市販のモノをぼったくり・・・もとい適正価格で販売するらしい。
紅茶は無糖のペットボトルだろうな・・・で、ステックシュガーを付ける。単価100円売値300円といったところだろう。なお、うちのテイムモンスターは接客係として駆り出される事が確定していたりする。ただ、疾風とチビはモフだぞ?毛が入ったとか苦情が・・・それは事前告知と紅桃やクラスの開拓者の対応でどうにかするって?
まぁ紅桃が出て行ったら大抵の揉め事は霧散するだろう。というか最初から立たせておこうよ。
でもって紅茶とかクッキーの買い出しは自分と心ちゃん。こういうときスペース持ちは便利使いされる運命よ。
「ところで、異世界情報の解禁はまだなの?」
買い物をしながら、心ちゃんが聞いてくる。
「なんか、全世界の開拓者ギルドで大揉めらしいよ?特に中国・・・」
「あぁ・・・」
心ちゃんが苦笑いする。昔は経済大国だった中国だが、ダンジョン後進国である。というか、東アジアは日本と台湾以外はダンジョンそのものが少なかったりする。
一説によるとオタクパワーだとかなんだかとか・・・なのでパックリ大国の中国と韓国は少ないとかまことしやかに囁かれている。まあ、中国と韓国、オタクパワーがあっても出現するのは都市部とか一極化しそうよね・・・
「主・・・」
影からマシュルが顔を出す。
「誰かつけてる・・・数は3人」
「ふうん・・・」
思わず後ろを振り返るが、それらしい影はない。3人か・・・あと何人かは外のワゴン車の中で待機・・・かな。
「心ちゃん・・・ちょっと荒事ありそう」
小さな声で警告する。
「例の絡み?」
「そう・・・だと思う。工作員、かな?」
情報が漏れたにしては行動が早い。異世界に行けると判断してから動いたのかな?異世界の資源はどこも欲しいから・・・
「一緒にいたら巻き添えになるから、少し離れていて・・・」
「うい」
小さく敬礼すると、心ちゃんは離れていく。
「さて・・・」
レジで買い物を清算して店から出る。
荷物をスペースにしまい、歩き出す。なるほど・・・つけてきているのが三人。いずれも男。帽子にサングラスにマスク。怪しい・・・コロナ渦があってマスクはまぁ許せるが、それにプラスのサングラスはないわ。
周りに人かげが無くなったところで三人が距離を詰めてくる。
ブロロロ
想定通りワゴン車が自分の横につける。
ガラララ
ワゴン車の扉が開き中からサングラスにマスク姿の男が姿を現す。
と、同時に三人の男たちが周りに集まり自分をワゴン車に押し込む。
口に布を当てられると、気が遠くなった・・・
「ピィ・・・」
再び気付いた時、目の前にマシュルがいた。命令通り、監禁された後人が居なくなったところで救出に動いたらしい。
後ろ手に縛った縄を切り、猿轡を外し、万能薬を投与したのだ。
「ここはどこ?あぁ・・・紅桃、チビ、疾風召喚!」
紅桃、チビ、疾風を召喚する。
「おぉ?ここはどこだ?」
紅桃がぐるっと辺りを見回す。
「さあ?まだ市内のどこかだとは思うけど・・・」
自分の言葉に紅桃は唸る。
「まあ、ここがどこでも今から強行突破するんだけどね」
「それもそうか」
ぼりぼりと頭をかきながら紅桃はドアのノブに手をかける。
ふん
掛け声と共に紅桃はドアノブを捻る。
バキ
豪華な破壊音と共にドアが歪む。
「O×△!」
なんか、中国語っぽい叫び声が聞こえてくる。敵は中国か・・・
「殺すんじゃないですよ?」
「できるだけ手は抜くけどよ・・・」
「まぁ銃器の使用もあるか・・・一人は生かすでいいか」
「それはありがたい」
パキパキと指をならしながら紅桃は立ちふさがる。
「アイヤ!」
拳法使いかな?拳法着らしきモノを着たお姉さんが吶喊してきた。
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