第86話蟹鍋パーティーだ!後に宴会に発展

「異世界様々ね」


 動かなくなったオヤガニに近づき、取りあえず足を関節部分でぶつ切りにしていく。

 次にふんどしと呼ばれるところをこじ開けると、あるある蟹の卵。オヤガニは長期間抱卵するのであると思った。

 卵をバケツに移すと、異次元の扉を開ける。

 異次元の扉には不思議な機能があって、生鮮食品などは時間停止機能があるんじゃないか?って感じで保存が出来るのだ。

 これに最初に気付いたのは、コンテナハウスに持ち込んだ冷凍庫でガチガチに冷やしたあずきバーがいつまで経っても溶けなかった事だ。驚いたよ。歯が欠けるかと思った。

 しかしとても便利。汁物とかもいつまでも熱いままだしね。まあ、流石に今では食料品とかは専用のコンテナに入れているけどね。


「一旦戻るか・・・」


 異次元の扉経由で日本に戻り、J隊の人に炊き出し用の鍋が借りれないか交渉する。

 返事があるまで近所のスーパーで白菜や人参、椎茸などの鍋料理の具材や鍋用の調味料を買い込んでくる。

 巨大な鍋を持ってきてくれたJ隊の人に後で差し入れますとお礼を言って、異世界に戻る。

 チビにお願いして、竈を作って貰い、レッツクッキング!

 清水精製で鍋に水を張り、調味料を投入。

 ぐつぐつとお湯が沸いたら、乱切りした野菜と蟹足と蟹卵を投入して煮込む。うっは!いい匂い。


「よし・・・」


 紅桃が鍋に浮いた大量の灰汁を取り除き、ペンタントちゃんがドンブリに鍋の具を取り分ける。

 召喚だけなら全員召喚出来るので、水饅頭、疾風、チビ、カイヤ、オルティー、マシュル、オクトを召喚し、ドンブリを渡す。みんな、はふはふと美味しそうに食べる。

 匂いに釣られてJ隊の一ノ瀬さんがやって来る。


「九竜さんいい匂いさせてます・・・ね」


「さっき海で取ってきたんですよ。良かったらJ隊の皆さんもいかがです?」


「え?いいんですか?」


「えぇ。どうぞどうぞ松葉蟹のメスの鍋です」


 具をよそって貰ったドンブリを渡すと、一ノ瀬さんは受け取り、J隊異世界駐屯地にかけていく。

 ほどなくして、ゾロゾロと器を片手にJ隊の人がやってくる。


「おぉ鍋だ!」


 J隊の人たちは、物凄くいい笑顔で受け取っていく。


「よし。食べよう」


 短冊状に切り分けた蟹の身を箸で解しながらドンブリの中の具を頬張る。

 魔物肉うまし!日本で食べている蟹と変わらない。いや、オークも角兎も雉のような鳥もおいしかったけどね。


「魔物肉も立派な資源になりますね?」


 J隊の人がしみじみいう。まあ地域のジビエ料理程度にはなるんじゃないかな?味は良いし・・・ただ値段と供給量が問題かな?


「主!妾はイノチノミズを要求する!」


 紅桃が騒ぎ出した。あぁ何か言い出したよ。


「おぉ、やっぱり酒が欲しいよな!」


 J隊の人たちも言い出した。


「はいはい。日本に繋ぎますので買い出しに行ってきて下さい」


 異次元の扉を開きJ隊の駐屯地に繋ぐ。

 ついでに追加の鍋の具材も注文。マグロと蟹の身を持って異世界に戻る。

 マグロの刺身は大好評。日米も要求されたので、パックライスも解放。


「海は、一度調査する必要があるな!提案しておくよ」


 いつの間にか食事会に参加していた田中さんが宣言する。


「武器は剣じゃなくて銛かな?」


「網とかも有用かもね」


 J隊の人たちは海で漁をする気満々である。まぁ、海岸の狩りで蟹とマグロが穫れるのなら調査する価値はあるだろ。蟹は二桁。マグロなら四桁万円が期待出来る大きさだ。


「はいもしもし」


 不意に携帯に着信がある。買い出しに行っていた二階堂さんだ。


『買ってきた』


「はい。開けます」


 そそくさと異次元の扉を開ける。いつの間にか紅桃が背後に立っている。


「手伝えばそれだけ早く酒にありつけるからな」


 紅桃はガハハと笑う。扉を開けると、ビールがケースで日本酒が樽で運び込まれる。

 ワインやウィスキーもあるな・・・え?これ全部飲むの?

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