第85話テイムするタコ娘
「ち、ちょっと!」
慌ててタコ娘に近寄る。回復ポーションと万能薬を投与!ついでにオレンジジュースも出しておく糖分大事。
「さて、起こそうか」
ペシペシと頬を叩く。
体力の回復、毒や麻痺の解除を行ったのだ。大抵の常態化異常は回復しているはず。
「ううっ・・・」
ほどなくタコ娘は意識を回復させる。あ、ジュース飲みます?
「うぅ、ありがとうございます」
オレンジジュースを一気に飲み干したタコ娘は頭の触手をうねうねさせながら礼を言う。う~ん。よく見るとタコ部分にも目があるな。あ、目が動いた。こっちも目としての機能があるのかな?
「で、助けてって何?」
「巣の近くをキングクラブに占領されてまして」
よく解らない。陸地を移動出来るならとっとと巣を放棄すればいいのに。
「うっう・・・いま巣には子育て中の姉がいまして・・・」
聞くと、巣には姉と生後1ヶ月にもならない甥っ子がいるらしい。
姉の夫は最初に襲われて大怪我を負い戦力外。
いま一週間ほど飲まず食わずの状況にあるという。え?出てこれるなら飲まず食わずなんて状況にならないよね?
「4人を食べさせる食料を収集出来るほど私強くありませ・・・ん」
両手の人差し指を合わせながら、上目使いでこちらを見ているタコ娘あざと・・・くないな。タコの目怖い。
「助けて下さいってことは、キングクラブ討伐ってことでいいのかな?」
「はい!」
「う~ん報酬は?知っているか知らないけど、自分ら冒険者なんすよ。なので、依頼する以上は無料はない・・・」
「ううっ・・・」
タコ娘は俯くが、しばらく考えると意を決したらしくこちらを見る。
「依頼分、私が働かせて貰います」
まぁ貨幣とか持ってなさそうよね・・・彼女たちってどういう扱いなのだろう?
「ねぇ・・・あなた達ってどういう扱いなの?人間?」
「え、あぁ・・・確か亜人って言われてますね」
亜人?
「もう少し数が居れば人間扱いらしいのですが・・・」
聞くと、人とか獣人とかエルフとかドワーフとかは人間で少数種族は亜人と呼ばれているらしい。ちなみにこの世界、人間もテイム出来るらしいよ?エルフやドワーフをテイムか・・・奴隷とかかな?もしかしてテイマーって奴隷商とかのジョブに、いやいやギルドカードにそんな表記なかったよね?
「まぁ、お金払うまでテイムを受け入れて貰うよいいね」
「はい」
タコ娘ことオクト・バスは頷くとすんなりテイムを受け入れる。よし行こうか。
オクトに案内され、ちょっとした磯場に向かう。
「オクトちゃん!」
タコ娘増えた・・・当然だけど。
「姉さんこれ!」
オクトは回復ポーションを差し出す。
「これは?」
「傷薬。義兄さんに上げて」
姉さんは回復ポーションを手に奥に引っ込む。
「紅桃!疾風!オルティー!」
紅桃、疾風、オルティーを召喚する。
ザバッ
紅桃、疾風、オルティーが配置についた途端、海が盛り上がる。出現したのは巨大なマツバガニである。
「キングクラブっていうから予想は出来たけどマツバガニ・・・いやオヤガニかぁ!紅桃。なるべく傷は付けないでよ!美味しいんだから」
ちなみにマツバガニ、オヤガニはズワイガニの島根県での地方名ね。
「お、美味しいのか?よっしゃあ!」
紅桃が指を差す。
「インドラの指!」
バリバリという音がして、紅桃の指先から雷が放たれる。
「火炎弾ぉ!」
疾風の手から拳大の火弾が飛び出して、オヤガニの目玉に直撃する。
「水弾!」
オクトの手からソフトボール大の水玉が飛んでいく。
「とりゃ!」
一気に間合いを詰め紅桃がオヤガニを殴る。
「えぃ!」
オルティーが棍を叩き込む。疾風が十字槍を叩き込む。突きではなく叩く。叩く。叩く。
「せい!」
紅桃がローキックを入れるとオヤガニはそのまま動かなくなった。
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