第75話 異世界モノと言ったら恐喝よね
「ようお嬢ちゃん」
技術者ギルドから出て北街へ向かう途中、チンピラ3人に絡まれました。これは、大金を手に入れた途端なぜかチンピラに襲われるイベントですね!
「俺たちちょっと金が無くてよ貸してくんないか?」
よくお金持っていることを知ってますね・・・
「商業ギルドで物売って金があることは知ってるんだぜ?」
う~ん。嘘ですね。見える範囲で自分が何か取り引きしているのを見られていませんし、仮に見られていたとしても現金のやり取りがあったのは隠してました。
「なければマジックバッグでもいいぜ」
なんで自分がマジックバッグを持っていると断言するのでしょうか?
まあいいや・・・疾風とチビと紅桃をチンピラの後ろに召喚します。
「おいお前ら」
紅桃がむんずとチンピラAの肩を掴む。
「痛って!なにしやが・・・る」
チンピラAの顔色が段々と青くなって行く。
「なにってなんだよ?お前らこそうちのご主人に何の用だ?」
男の肩がメキメキという音を立てる。
「ひいっ」
チンピラBとチンピラСが逃げ出した!しかし回り込まれた。
「逃げられるとでも?」
チビと疾風がニヤニヤしながら逃げ出そうとしたチンピラBとCを元の場所に追い返す。
「誰の指図?」
スペースからダガーを取り出し、チンピラAの顔にピタピタと当てる。
「見たって言っただろ・・・」
「お前らみたいなのが商業ギルドの中にいたら目立たない訳無いでしょ」
少なくとも昨日も今日も自分は見ていない。ならこいつらは何故自分に絡んできたのか?ギルド内部に自分を売ったヤツがいるってことだ。
「外の商人が商業ギルドに何かを持ち込んだから纏まった金を持っている。なんて内部事情が漏れてるとか、最悪じゃない?」
げしっと男の向こう脛を蹴り飛ばす。
「冒険者舐めてんの?」
ラノベとか見ていて言って見たかった台詞を吐いてみる。
「誰さ。あんたらをそそのかしたの」
語気を強めて詰める。
「おいお前らなにをしている!」
鎧に身を包んだ警邏らしき人間が五人ほど雪崩込んでくる。
「恐喝されたんで撃退したところですよ」
「本当か?」
隊長さんらしき人がチンピラAを睨む。
「いや、いえ、はひぃ」
チンピラAが否定しようとするので紅桃が力を込めると、最終的に恐喝していたことを認める。
「すまなかったな。こいつらはこちらが引き取るがいいか?」
隊長さんは部下にチンピラ共を取り押さえるように命令する。
「えぇお任せします」
にっこり笑って引き渡す。が、こっそりカイヤを召喚してあとをつけるように命令を出す。
ヤツらの行為はあくまでも未遂なので、注意して終わりはあり得る話だ。しかし、こちらとしては元から断って貰わないと困るからね。
改めて北街の屋台屋さんハカタヤに向かう。
「ここがハカタヤ・・・」
北街に入ってしばらく進む。たまに街の人にハカタヤの場所を聞きながらたどり着いたハカタヤは普通の家だった。
「すみませ~ん。屋台屋さんと聞いて来たのですが?」
「はい。そうですよ」
出てきたのはクマ耳の獣人っぽい女の人。
「屋台屋さんっぽくないですね」
「あぁ、ここはお客様から注文を聞く店舗で、工房はお堀の近くなんですよ」
クマのお姉さんはニコニコしながら棚からなにやら取り出す。
「これは・・・模型ですか?」
「はい。私がお客様の要望を聞きながらスキルで模型を作り、主人がそれに沿って実物を作ります」
なにやらファンタジーなこと言い出した。
「まぁ、基本というのがあって、それにいろいろなモノを取り付けていくんです」
ドールハウスみたいなモノかな?
「これが基本」
そう言って取り出したのはリアカー。車輪はあるけど木製っぽい。
次に取り出したのは板。これを荷台に箱のように取り付け、寸胴を設置する。
「汁物の屋台だね。人によってはこれに日除けの屋根をつける」
そういえばそんな屋台もあったな。
「寸胴の下に魔導コンロを付ければいつでも暖かい汁物が売れる。まあ魔導コンロ自体が高嶺の花だから作った酔狂はいないけどね」
クマのお姉さんはケラケラと笑った。
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