第74話 胡椒やべー!マジやべー!!
翌日。醤油、味噌、マヨネーズ、ケチャップ等の調味料を買い込んで異世界に戻ってきた。現地の宿泊施設を利用しなくていいというのはお財布的に優しいよね。
「今日も引き続き街ぶらで」
そう言って田中さんは一つのマジックバッグを渡してくる。
「商業ギルドに売却すると幾らぐらいになるか調べて欲しい」
あぁ、店売り、ギルド売り、ギルド会員売りでの差額を調べるんですね。
「判りました。中味は?」
「ダガー、塩、胡椒、小麦だね」
結構オーソドックスです。塩と胡椒は高く買ってくれるといいなぁ・・・塩は無理か?海近いし。
「じゃあ、またあとで」
そう言って田中さんたちと別れ商業ギルドに向かう。
「すいませーん。買い取りとかしてもらえます?」
昨日のお姉さんを見つけたので小走りに近く。
「おや?クリュウさん・・・えぇ買い取りもしていますよ?でも露天で売れるならそうした方が良いのでは?」
なんか正論が出てきた。
「市場価格が分からないと売りようがないのです」
そう言うとお姉さんは納得の顔をする。
「これです」
マジックバッグからダガー、塩、胡椒、小麦を取り出す。ちなみに小麦は精製する前のやつだ。
「小麦は銅板1枚。ダガーは・・・鉄製じゃ無いわね。金貨1枚。これは・・・塩ね?岩塩じゃないし、色が物凄く白いのね?銀貨2かな」
「次は・・・これは胡椒?え?本物?え?え?」
どうやら鑑定でモノを見ていたらしい。胡椒だと知って顔色が変わっている。
胡椒は、一時期、同量の金と取り引きされていたと言われるぐらいの貴重品だったはず。
「ヤバいものですか?」
「え?まぁ、ヤバいものですね。市場には出せないです」
それほどかぁ・・・
「出さない方がいいですかね?」
「いえ、買います買えます買わせて下さい。お願いします。この量なら金貨50枚で」
わぉ。50グラムで魔剣の半値ですか。今日はあと50グラムが持ち込まれるのですが・・・
「ちなみに捌くアテはあるんですか?」
「領主への献上品ですね。名前、出します?」
「遠慮しま~す」
お姉さんの言葉に頭を横に振って応える。
「名を売るつもりなら最初からそう言うハズだからそうだと思った」
ご慧眼恐れいります。
「じゃあ売りますね」
小麦、塩、ダガーそして胡椒を差し出す。
「はい。しばらくお待ち下さい」
お姉さんは品物をトレイに起き部屋の奥に消えて行く。
しばらくすると、トレイに布袋を載せて帰ってくる。
「ご査収下さい」
お姉さんは、すすっと布袋を差し出す。
自分は布袋から銅板と銀貨を取り出すと、スペースからポータブルの計りを取り出し布袋の重さを量る。
次に懐から金貨を取り出し同じように量る。
「はい。金貨51枚分の重さが有りますね」
重さから金貨の数を量ったと知ってお姉さんはほっとした顔をする。
「ありがとうございます」
小さく頭を下げて、商業ギルドを出る。その足で技術者ギルドに・・・
よかったギムレさんの姿は見えない。代わりに受付には背の低い赤い髪の少女が座っている。
鼻髭のないマトンチョップというか、揉み上げが凄い髪型である。
「いらっしゃい。登録かい?仕事の斡旋かい?それとも募集かい?」
「登録ですね・・・」
「冒険者ギルドには登録済みかい?」
「はい」
「なら見せてくれ。スキル持ちかどうか確認したい」
ギムレさんとは手順が違う・・・
「あの、スキル見せましょうか?」
「あぁ・・・いいよいいよ受付には目で確認するヤツもいるけど、あたいはギルドカードに記録されているヤツを確認するだけで十分だ。まぁ、技術を習得したいヤツに師匠を斡旋するのも仕事だけどね」
ギルドカードを受け取った赤髪のお姉さんはカードを水晶にかざす。
「へぇ。中級回復ポーションが作れるのかい?なら東街の麒麟堂って薬材屋に行ってみな。中級回復ポーションの相場が解るよ」
どうやら商業ギルドに所属していることも露天を開くことも予想出来るらしい。
「ありがとうございます。ついでに、屋台を売っている職人さんはどこにいます?」
「屋台ね。北街のハカタヤという店がお薦めかな?紹介状要るなら書くよ?」
「ではお願いします」
それから5分後。一通の書状を持って技術者ギルドを後にするのであった。
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