第73話 街の様子
商業ギルドへの登録を済ませて街ぶらする。
ギルドがある場所にある大きな広場を中心に十字路が通っていて、南には地方領主のこの街での館及び官僚の居住区。北は商業区。東は住宅地。西は商店街と飽食店、宿泊施設あと住宅の混在となっている。
「露天は道沿いに・・・そして飲食店が多い」
露天の傾向は8割が食べ物屋だった。そのうち7割が汁モノで2割が串モノ。残りがなんと握り寿司屋だった。何でもここから南に三時間ほど行った所に港があって、昼前には港に上がった海産物が運ばれて来るらしい。
「今度来るときは味噌と醤油と米を用意しょうか・・・」
もきゅもきゅと魚の塩焼きを食べながら通りを歩く。
露天の形式は筵に座り込む。テーブルに売り物を置いて椅子に座る。屋台を設置するの三パターン。
筵の住人は見た目は農夫で売り物も野菜や燻製肉といったものが多い。テーブルは籠やゴザといった生活用品や武器・防具。屋台は食べ物や生活用品。保存食といったものが置かれている。テーブルや屋台の主は職人といった感じで、おそらくは職駆け出しから少し成長した感じの職人だろうか?
「よう。用件は済んだのかい?」
田中さんが声をかけてくる。
「はい。商業ギルドに加入してきました」
「なるほど。何か売れそうなモノはあるのかい?」
「日本の武器や防具。食糧品に調味料。あとガラス製品が売れそうですね」
「あぁ・・・異世界モノのド定番は売れそうだね」
田中さん。異世界モノのラノベを履修済みらしい。そう言えば田中さんこの異世界探索に乗り気だったよね・・・そう言うこと?
「日本の武器や防具が売れるラノベはあんまりないような?」
まあ、ダンジョンがある世界から異世界に跳ぶなんて話はあんまり聞かないからね。どう頑張っても現代日本製の武器や防具を手に入れるなんてないだろう。幸いなことに自分たちの世界では、ダンジョン素材を利用し日本の技術をつぎ込んだ武器が手に入るのだ。
「武器屋を見てきたよ。鉄の精錬から鍛え方どれも日本のそれより遥かにレベルが低い。数万円の機械による数打ちの方がまだマシだ」
酷い言われようだ。まあ、ガラスの純度とかを見ると言わずもがなと言う奴か・・・
「ただ、属性武器というか、ヒートソードがあったよ」
ヒートソード・・・某アニメのロボットが操る灼熱を宿す刀身を持つ武器である。膨大な熱を必要とするため日本では人間が携帯する武器では再現出来ないとされている。
「ヒートソードですか・・・いくらします?」
「金貨100枚。それが最低だったな。あとソードではなくショートソードだったが」
「切れ味は?」
「鉄を切ったぞ」
それは凄い。それを再現出来るのは日本ではダンジョン産の魔剣ぐらいだ。そしてまず市場に出回るモノじゃない。それが金貨100枚で・・・
「どうやら素材があれば作れるらしいぞ。是非とも欲しいよね。その技術・・・」
田中さんが何やら考えている。作れるといってもそれが技術なのか素材なのかが分からない。が、技術と素材があって初めて作れる武器じゃないかな?
「技術者ギルドに問い合わせては?」
「う~ん・・・今のうちには技術系のスキル持ちは居ないんだよね」
あれ?J隊は災害の救難復興も手掛けているからスキル持ちいるんじゃないのかな?
「ヒートソードは次までお預けだな」
あぁ・・・今の5人には居ないのね。まぁ技術系スキルがない人間が技術者ギルドで技術の奥技を知りたいはないよね。
「そうですね・・・今日はダメですが、明日、技術者ギルドに探りだけは入れときますね」
「あぁそうか。嬢ちゃんは本職が薬師だったな。なら頼むよ」
今日は行かないよ。あのギムレとかいうドワーフが受付けだからね。
「じゃあ一ノ瀬と合流して今日は拠点に戻るか」
田中さんと一緒に待ち合わせの場所に向うのであった。
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