第70話 潜入冒険者ギルド
せっかくなので建物に入る前に紅桃、疾風、チビ、ペンタントちゃんを、田中さんはコボルトを召喚します。
冒険者ギルドの中は正に冒険者ギルドでした。お役所のようなカウンターに並ぶ制服を着た美人の受付嬢。
掲示板に集る冒険者に掲示板の隣りに座る賢そうな少年少女。
打ち合わせスペースらしき場所にたむろする冒険者たちは木のジョッキをあおって軽食を食べている。
なぜ冒険者だと判ったか?というと、それぞれの職に合った装備をしていたからです。戦士は金属鎧を身にまとい剣を腰に吊り、魔法使いはローブに杖を持っている。僧侶は・・・袈裟っぽいもの着ている。それでいいのか?僧侶。ただファンタジー僧侶とは違い薙刀を持っている僧侶がちらほらと・・・この辺りは日本の僧兵っぽい。
「冒険者ギルドに登録した際の利点を教えて下さい」
田中さんがキツネ獣人の受付嬢に声をかける。
「我が冒険者ギルドは国を跨いで存在する組織です」
そこから受付嬢の説明が始まる。
まずこの国の名はアキツ連合皇国。
天王を頂点に四州を治める四人の地王。それを補佐する8カ国八人の諸侯が支配する国からなる連合国で、ここはアキ国のウジナというアキ国第二の都市で、ここからキュウシウ国とシコク国に向かって船が出ているという。
冒険者ギルドに所属するメリットは・・・
・都市への入場料がギルドカードの提示だけで済む。
・税金がかからない。
・提携店での割引が使える。
これらの利用料金の原資はギルドが依頼するクエストの成功報酬から少しずつ引かれているらしいので、冒険者は定期的にギルドからのクエストを受けなければならないという。
あと、冒険者にはランクというものがあり全部で7つ。F・Е・D・С・В・A・Sに分けられる。ランクが上がれば所属するメリットの待遇が良くなり、受けられるクエストのランクや報酬額も上がるという。
取り敢えずFランクは見習い扱いなので半年で5つのFランククエストをこなせばEランクに昇格できるらしい。
「冒険者に登録します」
手を上げて元気に宣言すると、受付嬢は8枚の羊皮紙を差し出す。自分と紅桃、疾風、チビ、ペンタントちゃん
「名前と登録する職業を記入して下さい。書けないなら代筆も可能です」
「職業は自称でいいですか?」
「まさか。判らないのなら判定を受けて下さい。判定は8番窓口です」
「は~い」
申し込み用紙を持って8番窓口に並ぶ。
「職業適性を確認に来ました!」
元気良く声を掛けるとヨボヨボの老コボルトが出された用紙を見ながら水晶を取り出す。
「はい。水晶に手をかざして・・・ええっと盗賊・弓士・テイマー・薬師。薬師とは珍しいの。技術者ギルドで登録することを勧めるぞい。受けれるクエストに幅が出る」
老コボルトはカラカラ笑いながら申し込み用紙に
盗賊・弓士・テイマー・薬師と書き込む。続いて田中さんたちも同じことをしている。申し込み用紙に書かれた職業適性は、おそらくクエスト斡旋のときの資料になるのでしょう。
「職業の適性を調べて貰いました!」
キツネ獣人の受付嬢に申し込み用紙を渡す。
「薬師ですか。では後で技術者ギルドに行って登録して下さい。ギルドカードを提示すれば簡単に登録できるハズです」
そう言ってキツネ獣人の受付嬢は羊皮紙を水晶にかざす。
しばらくすると水晶の横にある箱から鉄のドッグタグみたいなものが出てくる。
「こちらがギルドカードになります。再発行には銀板5枚が必要になるので気をつけて下さい。チェーンを通して首から掛けるといいですよ。チェーンは売店で銅板三枚で売っていますのでご利用下さい」
キツネ獣人の受付嬢は流れるように建物の一角を指差す。そこには色々なものを売っていそうなスペースがある。
せっかくなのでチェーンとか保存食っぽいものを購入していく。法被みたいなものも買ったよ。
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