第62話大師寺中級ダンジョン
海田市にある真言宗の大
師寺。そこにある中級ダンジョンは中層以降に修験道系と忍者系のモンスターが出ることで有名なダンジョンである。まあ、忍者系といっても盗賊よりは戦闘職に寄っている程度の強さしかないんだけどね・・・ただテイムして育てるなら時間はかかるけど悪くはない。
「戦闘力は気にしない。遠視や気配察知が固定スキルにあるのが欲しい」
固定スキルは後発的に取得するスキルより性能がいいのだ。
「判ったぜ」
紅桃はポキポキと指を鳴らす。
大師寺ダンジョン第一階層に出現するのはギラギラした半裸の下腹がやけに大きな小人だ。
一見するとゴブリンだが、牙がない。
餓鬼道の亡者である餓鬼だ。
「ほれ!」
餓鬼を見つけた紅桃が腰に吊ったマジックバッグから野球ボール大のモノを取り出し放り投げる。
小麦粉と砂糖と玉ねぎとホウ酸を混ぜたいわゆるホウ酸団子だ。
「ぎぃ!」
餓鬼は目の前に落ちたホウ酸団子を頬張り、やがて喉をかきむしりながら悶えやがて魔石を残して黒い塵になって消える。
『Gと扱いが同じとか・・・公式なん?』
『経験値が要らないなら正解』
『経験値入らないのか・・・』
『経験値が入るなら、餓鬼が出るダンジョンの中がホウ酸団子でみっちりになってしまう』
「塵になる前に止めさしたらその限りじゃないんだけどね」
ご指摘の通りである。ホウ酸団子トラップで魔石やドロップ品は手に入るけど、経験値は入らない。またこの方法でドロップ品を集めても黒字になることはないと実証済みだったりする。
だから今では戦闘をやり過ごすショートカットとして活用されている。
「さてボス部屋です」
『早いな!』
『こんなモノよ』
コメント欄が騒がしい。
いつものように部屋の中央近くに行きボスの出現をまつ。
出現したのは餓鬼にしては巨大な個体と5体の餓鬼。
「普通のはホウ酸団子で潰すよ。紅桃よろしく!」
「あいよ!」
でかい個体は紅桃に任せて、普通の餓鬼に向かってホウ酸団子を投げつける。
ボス部屋の餓鬼とはいえ普通の餓鬼である。投げつけられたホウ酸団子を貪り喰って苦しみだす。
それを疾風、チビ、ペンタントちゃんが手際よく倒してゆく。
『一方的な虐殺です。ありがとうございます!』
『南無~』
なにがありがとうございますなのだろうか?
「ぐぎき!」
苦しげな声が響く。見ると、大きな餓鬼が紅桃によって力比べから地面へと組み伏せられている。
「せい!」
餓鬼の下腹に紅桃の膝が突き刺さる。
「ぐぎき!」
そこから紅桃はマウントポジションに移行し、餓鬼の顔面に拳を落として、メリケンサック状の跡を餓鬼の顔面に刻み込んでいく。
「ぐぎゅ」
断末魔の叫び声と共に大きな餓鬼は魔石と銅箱を残して黒い塵へと返る。
「銅箱は・・・罠は毒針ね」
鑑定して罠を解除。中味は回復ポーション2本と信長コイン。
中級ダンジョンでも第一階層ならこんなものである。
転職部屋で転職可能な職業を確認し、第二階層へと降りてゆく。
そこから第十階層までは出現するのが複数体の餓鬼や火の球といったザコなので淡々としたモノだった。
第十階層のボスは和風ジャック・オー・ランタンことスイカの提灯。
スイカに目と口と鼻を掘ったてるてる坊主で、手には鎌を持っている。
「お供は河童が2体!スイカは牽制するからまず河童を始末!」
「おいさ!」
「わんぉ!」
「にゃあ!」
紅桃が右の河童を疾風とチビが左の河童を攻撃する。
「だす!」
スイカの提灯が鎌を振り回しながら呪ったを唱え始める。
「させない!」
パチンコでステイム飴を投擲し、呪文を阻止する。
スイカの提灯は死霊なので聖属性による阻害が気持ちよく決まる。
「がぁ!」
スイカの提灯が鎌を振り回しながらこちらに襲いかかる。
「せい!」
鎌を除け間合いを取る。
「えぇい!ホワイトライトニング!!」
ペンタントちゃんの持っていた杖の先端が白く光る。
「ぎぃやぁ!」
スイカの提灯が絶叫を上げる。
「河童仕留めたぜ。援護に回る」
紅桃が横からスイカの提灯を殴る。殴る。殴る。
「ぎぁ!」
スイカの提灯は銅箱と魔石を残して消える。
「わんぉ」
疾風が河童の魔石と甲羅を持ってやってくる。甲羅は簡単な加工で盾になるので、チビに用に取っておこうと思う。
「宝箱は・・・罠は
罠の矢は発射機構の弦を切れば無力化出来るので、さっさと解除する。
「鍬?武器?いや、まぁ、武器と言えば武器か・・・」
デュロック専用にしよう・・・
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