第53話 異次元の扉を活用するために
結論から言うと、自分が回収した物資は、開拓者ギルドから格安で譲り受けるという形になった。
まぁ、今回得た家康コインが全部無くなったとだけ言っておく。
ただ、この取り引きはこちらの圧倒的にお得な取り引きだった。
「開けゴマ」
何もない空中に、鬼ヶ島ダンジョンのボス部屋でドロップした鍵を差し込み呪文を唱えながら時計回りに回す。
ガチャン
金属音と共に何もない空間が開く。そこには鬼ヶ島ダンジョンで使用されなかった大量の物資がある。しかも時間停止機能があるので食糧の保管もバッチリである。
たぶん次にレイドがあれば、開拓者ギルドから真っ先に声がかけられるだろう。
「ふうっ」
今日は熊野にある自動車教習所にフォークリフトの免許の教習に来ていた。
業務には使えないけど、18歳以下でも免許は取れるのだ。無論、使用目的は、フォークリフトを異次元の倉庫で使いたいからである。
一応、私有地で私用に使うからとお役所には届けているよ。免許にもそう書かれる予定だ。
「さて、確か初級ダンジョンがあったはずだからー狩りして帰ろうか」
熊野萩原行きの路線バスに乗って旧筆の里工房にたどり着くと開拓者ギルドで手続きをして紅桃を召還する。
「紅桃。今日は魔法を鍛えるからね」
「う、へい~」
紅桃が使えるインドラの指は雷属性の中級魔法で威力もそこそこあるけど、それしか使えない。
出来ればバリエーションが欲しい。出来れば範囲攻撃魔法が欲しいので、さっさと第一階層のボス部屋を踏破して、魔法使いに転職させて鍛えたい。
「おりゃあ!」
第一階層のボスのラージスライムを早々に撃破して紅桃の職業を魔法使い(雷)にして、ガンガン魔法を使わせる。
「キシャー!」
最下層のボス、サラマンダー・・・巨大なオオサンショウウオが吠えながらこちらにやってくるが・・・
「
紅桃が指差した所に雷の壁が生える。サラマンダーは止まる事なく壁に激突。痺れて動かなくなる。水棲なのに無茶しやがって・・・
「雷撃!雷撃!雷撃!」
紅桃の指先から雷が、サラマンダーに着弾する。
ボフン
サラマンダーの体が黒い塵となり銅色の宝箱がドロップする。
「鑑定!」
すると爆弾と結果が出る。罠を解除し、中味を取り出す。
『信長コインと・・・短剣か』
『まあまあかな?』
『短剣の種類は?』
「毒のナイフ・・・10回1回。毒の付与による追加ダメージ。微妙?」
『ショートソードだったら2桁万円だった。よくて8万かな?』
ありがたい査定が入る。たぶん「異次元のドアを開く鍵」を売ってくださいってしつこく絡んでくる大白堂の中の人だろう。
「紅桃もそこそこ魔法を習得したし、そろそろ帰ろうか」
「う~い」
魔法のレベル上げという作業で死んだようなサバの目をしていた紅桃が覇気なく答える。
なので、歩いて第一階層まで戻り、紅桃の職を拳闘士に戻し、ダンジョンを出る。
「魔石にナイフが10本。信長コインが5枚・・・全部諸々で20万円と530円ですねカードに入金しますか?」
ギルド職員が訪ねる。
「あ、現金でください。このあとフォークリフトを買いに行くんで」
「フォークリフトですか?あぁ、あの巨大スペースで使うんですね?」
「はい」
「でも、免許・・・あぁ私有地で使うからいいのか!」
ギルド職員さんはポンと
手をたたく。魔法的な空間を私有地と言うべきかどうかは謎だが、仮に私有地なら免許は要らないはずだと納得したようだ。
機械を操作してレシートを打ち出す。
「出金は4番窓口でお願いします」
そう言って4番窓口を指差す。
4番窓口で現金を受け取ると、海田にあるフォークリフトを販売する会社へと向かい、中古のフォークリフトを購入する。
無論、異次元の扉まではお店の人に運転して貰った。物凄く驚いていたのは言うまでもない。
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