第30話 原爆ドームダンジョン突入
8月6日の広島は、街全体が鎮魂に包まれる。世界で初の核兵器が実戦で使用され大勢の市民が核兵器の炎に焼かれた日だからだ。
「中学までは夏休みの登校日だったんだよね」
ぐっぐっと柔軟運動をこなしながら茶髪ポニーテールのギャル風少女の
「あぁ、そう言えばそうだったな」
スポーツ刈りで細目でへの字眉の同級生の男の子
自分を含め原爆ドームダンジョンの前にいるのは三人。上級ダンジョンのアタックの最適人数は6人なので、あと3人は後衛の魔法使いハーフインプのペンタントちゃんに遊撃で回復も使えるチビ。前衛の疾風。
編成は前衛の疾風と隆司くんと心ちゃん後衛はペンタントちゃん、自分、チビというパーティーだ。
「目標は中層30階層。無理せずだけど・・・なにか他にある?」
自分の問に隆司くんも心ちゃんも首を傾げる。どうやら上級ダンジョンにアタックすること以外に執着することはないようだ。
まだ行けると思った時が引き際というのは開拓者の先輩たちからでもよく聞く話だ。まだ行けると思ったら素直に引こうと思う。
「第10階層まではエンジェルとインプそれにゴーストか・・・あとエンジェルとインプは魔素によるコピー体だから倒したからといってエンジェルやインプの心証が悪くなることはないので心置きなく倒せるらしい」
「それってテイム出来ないってこと?」
心ちゃんが尋ねてくる。
「一応コピー体とは精神的に繋がっているらしく、コピー体を屈服させるとテイムすることは可能らしい」
ペンタントちゃんを見ながら、彼女から教えて貰った情報を告げる。
もし天使や悪魔をテイムしたいのなら、契約した本体を連れた上でコピー体をテイムする必要があるらしい。
「ということはペンタントちゃんのコピー体もこのダンジョンにいるのかな?」
と尋ねるとペンタントちゃんは肯定する。
コピー体のペンタントちゃんがいたら是非ともテイムしてみたい。
「じゃあ入りますか」
心ちゃんがなんか色々なポーズを決めて変身スキルを発動する。
キラキラ身体が輝いて首から下が白いタイツっぽいものに包まれて、セーラー服っぽいものに変化する。ポニーテールでお臍がちらりで手袋じゃなくて結構ゴツイ手甲、スカートの丈はミニで膝下まである皮のブーツを装備している。
「話には聞いていたが、本当にセーラー戦士なんだな・・・」
隆司くんが兜を装備しながら呟く。
「そういう赤虎くんも立派に戦士じゃん」
隆司くんの姿は、兜に胸鎧。靴と一体化した足甲を装備し、左手には円盾。腰にロングソードを吊っているまさに西洋風の戦士である。
「まだまだだよ。早く手甲に肩に腰に太股にも鎧を付けたいぜ」
隆司くんはニヤリと笑う。まあ、パーツの数から見ればまだまだなのだろう。戦士は戦士で大変だ。
「なんだよその大変そうねって顔は?お前の方が装備関係は大変だろ?」
隆司くんは、疾風やチビ、ペンタントちゃんを眺めながらそう指摘する。そうは言うけど、疾風の鎧は純和風のオートクチュールだけどサイズは子供だし、チビとペンタントちゃんはダンジョンでドロップしたモノ・・・ダンジョン産の防具は装備する人間の体格に合わせてリサイズするのだ・・・を適当に装備しているだけだ。余り装備にお金は掛かっていないし、これからも掛けるつもりはない。
「そうでもない・・・かな?」
取りあえず誤魔化しておく。防具を揃えるだけならドロップ品だけでも十分だし、足りない部品をドロップ品で賄うという手もある。それをしないという事は防具に関して彼にも譲れないなにかがあるのだろう。
「レッツゴー!」
第1階層のボス部屋を通り抜け、第2階層へと降りていく階段に設置されたゲートに開拓者カードを通して降りていくのであった。
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