第25話アンデッドがメインのダンジョンその5

「せい!」


 振り下ろした木刀がオークスケルトンを粉砕する。骨の材料がオークだからか、耐久値は高いけど所詮スケルトンはスケルトン。何より普通の武器でも普通に打撃が通るのが楽です。しかも、武器はお仲間であろうオークスケルトンの大腿骨に石をくくりつけた石斧です。

 無論、止めをさすまえにはテイムスキルを使ってテイムスキルのレベルを上げるのを忘れない。


 〈テイムスキルが8になりました〉


 脳内アナウンスが、目標としていたテイムスキルがレベル8に達したことを告げる。

 これでテイムして戦闘に使役出来るモンスターが4匹になった。


「さて・・・ボス部屋を攻略して帰りますか」


 地図を見ながらボス部屋にたどり着く。


 ギギギィ


 扉が重い音を立てながら開いていく。

 そろそろ扉の中に入るとガシャンと扉が閉まる。


 ドスン


 部屋の中央に三メートル近い腐った手に巨大なハンマーを持った巨人が降ってくる。トロールゾンビだ。

 もっとも、トロールの脅威は自己再生です。ゾンビ化で腕力は上がっているけど、自己再生能力は失っている。これに加えてスピードが極端に遅い。簡単に言えばでかい的でしかないのです。

 なので、二人以上のパーティーで一人が攻撃を引き受ける感じで挑めば簡単に倒せます。


「自分が引きつけますから、疾風とチビで奴の足から攻撃よろしくです」


「にゃ!!」


「わんぉ!」


 チビと疾風が左右に分かれて、自分はゾンビトロールの前に立つ。

 ゾンビトロールは常に全力だけど、コントロールは雑である。視点も定まっていないので、どうやって獲物の位置を確認しているのかもわからない。ただ、武器や腕の動きは単調なのでよく見ればかわせるのだ。


 ズン


 ハンマーが地面を叩く。ゾンビトロールはハンマーをゆっくり振り上げてゆっくり振り下ろすので本当にかわすのは楽。


「にゃあ!」


「わんぉ!」


 チビと疾風がゾンビトロールの脛を思いっきり斬る。斬る。斬る。


 ズン!


 再びハンマーが振り下ろされるが、やはり動きが鈍い。余裕で避けられる。


 バキッ


 鈍い音がして、ゾンビトロールの身体がゆっくりと崩れる。

 足の骨が砕けてまともに立つことが出来なくなったのだ。


「首を刎ねろ!」


「わんぉ!」


「にゃあ!」


 地面に臥したゾンビトロールの首に攻撃が集中する。


 ザシュ


 ゾンビトロールの首がゴトリと落ちると、ボフンと光り、魔石とハンマーと銅の宝箱がその場に残る。


『お疲れ~』


『余裕だね』


『銅箱か・・・』


「鑑定・・・はい。爆弾ですね」


 チャカチャカと罠を解除して箱を開く。

 中身は秀吉コインが一枚と回復ポーションが2本。短剣が一本。

 ハンマーだけ残して全部売却でいいかな。

 目標のレベルに達し戦力の保有に目処がついたことで考える。

 今回のアンデッドダンジョンで痛感した事は物理耐性のある相手への殲滅力のなさだ。

 特攻である回復系のアイテムがあったから余力はあったが、中級以上に潜るようになると、ウチのパーティーは苦戦を強いられるだろう。


「やはり純魔法職が要るか・・・」


 一応、疾風が魔法を使えるけど、専門じゃないから回数と威力に不安がある。

 純魔の適性があるモンスターとなると、妖精族のピクシーとか天使とか悪魔とか狐人とか狸人とか変わったところでゴブリンシャーマンというのもいる。

 ピクシー、狐人、狸人は山間部のダンジョンに天使、悪魔は宮島、原爆ドームダンジョンに行けば会える。あと、彼らは交渉次第で仲間になる事もある。まぁ、テイムする事も出来るけどね。


「とりあえず、今日はここまで。明日は原爆ドームダンジョンの第1階層で天使を雇えるかどうか交渉しますね」


『了解』


『天使か。楽しみ』


『やっぱり火力不足か』


「物理的には文句ないんですけど、複数攻撃出来る魔法がないんで・・・」


 素直に肯定する。とにかく明日は原爆ドームダンジョンに行ってスカウトに応じてくれるか交渉してみよう。

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