禁じられた森の守護者

第2話 秘密の出会い

アレンがエリオットの前でエルフの姿を現した瞬間、部屋には言葉を超えた理解が流れた。エリオットは深い驚きとともに、自分が目の前の存在と何か特別な縁で結ばれていることを感じた。アレンの目には、長い年月を生きた古の知識と深い悲しみが宿っているように見えたが、それと同時に感謝の光もあった。

「なぜ、僕に姿を現したの？」エリオットは静かに尋ねた。彼の心は好奇心でいっぱいだったが、目の前の生き物、いや、このエルフに対する尊敬の念も同じくらい強かった。

アレンは一瞬ためらいながらも、「君が見せた純粋な善意に答えるためだ」と答えた。彼の声には、長い間忘れ去られていた何かを思い出したような響きがあった。「私たちエルフは、普通、人間に真の姿を見せることはない。だが、君の行動は我々の古い教えにも合致する。助けを求める者を見捨てない、と。」

エリオットはアレンの言葉に心を打たれた。彼はこのエルフがただの森の住人ではなく、何かもっと大きな存在であることを直感していた。アレンの姿は、エリオットが子供の頃から聞かされてきた古の伝説と神話の中の生き物のようだった。

「でも、どうして怪我をしていたの？」エリオットがそっと質問すると、アレンの顔には一瞬だけ影が差した。「森は変わりつつある。昔ながらの平和が乱れ、私たちにも理解できない力が働いている。私はそれを調査していたときに、不意をつかれたのだ。」

エリオットはアレンの話に耳を傾けながら、彼が持つ森との深い絆を感じ取った。アレンは森の守護者としての役割を果たしながらも、人間界との間に橋をかけようとしているように思えた。

その夜、二人は夜が更けるまで話し続けた。アレンはエリオットにエルフの文化と森の秘密について教え、エリオットは人間界の生活と自分の日常をアレンに伝えた。二人の間には、異なる世界の住人であるにも関わらず、深い理解と尊敬の念が生まれていた。

エリオットはアレンを森の端まで送り、彼らの間に交わされたのは、再び会うという無言の約束だった。エリオットが振り返ると、アレンの姿は夜の霧の中に溶けていくように消えていった。

その夜、エリオットはなかなか眠れず、窓の外を見つめながら考え込んだ。彼の心と魂は、アレンとの出会いによって永遠に変わってしまったように感じた。そして、彼は深く、この出会いがただの偶然ではないことを知っていた。二人の運命は何か大きな目的のために交差したのだと。