第6話 今の琉生

「琉生・・・」

「だから、誰ですか?は、あなたのことなんて知りません!付きまとわないでください!ストーカーですか?」

「・・・」

(一人称も違う・・・)

今までの琉生は、<俺>が一人称だった。

なのに、今の一人称が<僕>だということは、記憶がなくなっている証拠だと言えよう。

「ねぇ・・・琉生・・・・くん」

「なんですか?」

「琉生って名前、馴染みある?」

「医者の人やあなたが言っているので、やっと慣れてきました」

「そっか」

「要件はそれだけですか?」

「あ、ううん」

「もう、なんですか?」

「記憶喪失になる前の琉生はね、女子力が高かったんだ」

「呼び捨てやめてください。女子力?」

「女子力っていうのはね、女の子がやりたがる、キーホルダーとか、そういうのを作るのが得意みたいな意味。前の琉生くんは、そうだったんだ」

「実物を見せてください」

「ちょっとまってて、取ってくる」

               **************

「はぁ、はぁ・・・」

「大丈夫ですか?」

「うん、だ、いじょう、ぶ」

「ほんとですか?」

心配そうな琉生の顔。

「うん。これが実物」

「わあ・・・!」

「気に入った?」

「はい・・・!」

「私のは、ちょっと下手だけど」

「作ってみたい」

「いいよ!」

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