第91話 エリアボス
「出たぞ!」
「あれがエリアボス!」
エリアボスは巨大なドラゴンであった。ドラゴン種はどれも強敵なのが常識だ。みんな相手がドラゴンだとわかって、ちょっと緊張し始めたのがわかる。
恵麻がちょっと引きつった表情で、現れたドラゴンのことを説明してくれる。どうやら恵麻の新しい能力、神眼はモンスターのパラメーターも見えるようで、詳細な説明となった。
「わわ……あれはブラックドラゴンだよ。レベル1260、攻撃力はあの巨大なゴリラの数十倍!」
「レベル1260だと!! やべえな」
「弱点とかないの?」
「聖属性に弱いみたいだけど……」
「私、聖属性魔法なんてないよ」
理央の魔法ラインナップに聖属性はないようで、弱点を突いた攻撃はできなさそうだった。
「ちょっと待て、くるぞ!」
「ブレスよ、碧、盾で防いで! みんな碧の後ろに!」
ブラックドラゴンは大きく首を振ってこちらに口を向ける。そして口を大きく開いて炎を噴出した。
凄いことに碧の盾はその炎を完全に防いだ。今、思い出したけど、確か碧の盾って炎ダメージ無効の効果が付いてたような気がする。それによりどんな強力な炎も、碧の盾には効かない。
「よし、碧がブレスを防いでいるうちに攻撃するぞ!」
といってもブラックドラゴンまでにはそこそこの距離がある。遠距離手段のない僕や恵麻、そして朝陽に反撃の方法はなかった。理央とヒマリは言われたとおりに反撃を開始する。
「アイシクルランス!」
「ライトニングボウガン!」
二人の攻撃はレベル1260のブラックドラゴンにもなんとかダメージを与える。しかし、ダメージ表示は10万ほどで、ブラックドラゴンには二人の攻撃を軽減する何かしらの耐性があるようだ。
「恵麻! 健太、二人の攻撃の射程ってどれくらいなの?」
「たぶん10mもないくらい」
「私も同じくらいかな」
「このままじゃ、二人がブラックドラゴンにそんなに近づくのは難しいな……」
僕のケンタワンドの攻撃と神撃の数珠の属性は無属性で、耐性に左右されにくい、おそらくだけどブラックドラゴンにも高ダメージが期待できるけど、射程まで近づくのが難しそう。恵麻も僕と同じで攻撃が耐性に左右されないし、僕より、さらに決定打となる攻撃がおこなえる。
「ブレスは俺がどうにかする。その間に健太と恵麻はブラックドラゴンに近づいてくれ」
朝陽はそういうが、ブラックドラゴンのブレスは広範囲に死を撒き散らす凶悪な攻撃で、いくら避けるのが上手いと言っても、とても避け続けるのは難しいと思うんだけど……。
しかし、他に有効な策もなかったので、朝陽がブレスをどうにかする。碧が理央とヒマリを守り、二人は僕と恵麻を援護射撃でサポートする。僕と恵麻はゴンに守られながらブラックドラゴンに近づいて、決定打を与えることに決まった。
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