第88話 驚異の成長
碧が一人で西洋甲冑を倒してすぐ、朝陽もそのパワーアップを示した。何度目かの八手連撃で見事、西洋甲冑を倒した。二人とも攻撃力が爆上がりしているのはもちろんなんだけど、命中精度、戦闘技術も上がっているように見えた。
ゴンはまだまだ本気を出してないように見える。残った西洋甲冑の攻撃を抑えてはいるが、倒そうというより、僕に命令されたから仕方なく戦っているという感じだ。
しかし、とにかくゴンは西洋甲冑を抑えてくれている。この間に僕ら後衛が攻撃しない手はない。ジョブアップグレードにより全てのステータスが爆上がりして、前はついていけてなかった西洋甲冑の動きもだいぶ見えるようになっていた。今なら戦闘中の西洋甲冑を狙い撃ちできそうだった。
「アイシクルランス!」
理央の唱えた氷の槍が、西洋甲冑の胸に突き刺さる。よく狙えたなと思うようなタイミングで、理央の魔法精度は確実に向上していた。
とんでもないことにアイシクルランスのダメージは100万を超えた。さらにメッセージが魔法の追加性能が発動したことを告げる。西洋甲冑は氷結され、動きが鈍り、追加氷結ダメージがスリップダメージとして加えられていく。
動きが鈍り、さらに狙いやすくなった。僕と恵麻、それにヒマリの攻撃が西洋甲冑にヒットする。あれだけ硬かった西洋甲冑だけど、その攻撃でいとも簡単に倒れた。
「よし、俺たちは強くなってる!」
「全員、ステータスもかなり上がってるから、全てが楽に感じたわね」
「まだまだいけそうだね」
「西洋甲冑くらいなら十体くらい同時でもなんとかなりそうだな」
「いや、それは過信しすぎぞ。敵の数が増えると何が起こるかわからない。コントロールできる数を意識して戦うべきだ」
「まじめか!」
「みんなの命がかかってるんだぞ、真面目にもなる」
碧の言うことは正しい。いくらステータスがアップして強くなったとしても、戦闘では何が起こるかわからない。一つの不測の事態で体制が崩れたら、ずるずると戦況が厳しくなるんじゃないかと思う。
「よし、このままもっと奥行ってみようぜ」
「話聞いてたか、朝陽、もう少し慎重にだな」
「わかってるって、もちろん、無理しない程度にだ」
まだまだポテンシャルを発揮していないのは確かにそうだけど、この先は未知のエリアだ。どんな危険があるかわからない。だけど朝陽やヒマリ、理央などは行く気満々で止められそうになかった。
特殊エリアの奥はまさに地獄の光景だった。あの西洋甲冑だけではなく、あの巨大なゴリラ、見たこともない強そうなモンスターがうろうろしていた。そんな危険のパレードのような光景を見て、朝陽がまともなことを言う。
「このまま突っ込むのはさすがに無謀だな」
「よかったよ、朝陽に最低限の常識が残ってて」
「過信はしても無謀にはならんよ」
どういう違いがあるのか、僕にはわからなかったけど、少しだけ慎重になるということらしい。
「まず、理央が魔法をぶっ放して、戦力を削ろう。それでモンスターたちがこっちに気づいて、ワラワラくるだろうから、それを順番に狩るぞ」
「その作戦のどこが無謀じゃないって?」
「突っ込んだら囲まれて危険だろ? これを壁を後ろにして布陣してやれば、後方に回られることはないし、少し安全になるじゃねえか」
なんとも大雑把な考えではあるけど、確かに突っ込むよりはマシだと思ってしまった。
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