第83話 神レア

屋敷に戻ってきてまず小休止、そして、満を期しての、みんなが気になる【GR】マジックアイテムの鑑定へと相成った。


「どうだ恵麻、どんな性能だ?」

「あっ……これ、私用かも、弱体効果付の上位互換のスリープタクトだ」

「おっ、凄そうだな」

「具体的にどんなの?」

「えとね、同時に眠り付与、麻痺付与、弱体効果(攻撃力30%ダウン、全防御耐性30%ダウン、素早さ30%ダウン)付与、さらにおまけで全ステータス100アップまで付いてるよ」

「デバフか!!」

「30%ダウンは大きいかも、無効耐性の多いボス戦でも使えるかもね」

「地味に麻痺も同時に付与できるの凄いね」

「恵麻が使えば、睡眠と麻痺、どっちか通れば猛毒が入るし、かなり強いと思う」


睡眠無効の敵には効果の弱かったスリープタクトだけど、この上位互換版は麻痺を付与する可能性もあるうえに、デバフまで付与してくれる優れものだった。


「よし、デバフタクトはもちろん恵麻が装備することにして、じゃあ、そろそろジョブアップグレードと行ってみるか」


「そうだな、誰からやる?」

「まずは私でいいかな、【GR】アイテムまで装備させてもらって、せめて最初の毒見薬くらいやらせて」


恵麻がそう言う。確かに良いこととはいえ、ジョブのアップグレードなんて未知のことで不安要素もある。最初にやる人間には多少の恐怖はあった。それを恵麻がおこなってくれるということで反対する理由もない。ということで最初は恵麻からと決まった。


恵麻のインベントリに神託の宝珠を一つ入れて、アイテムの実行を行う。すると眩い光が恵麻の体を包んだ。


「凄い……たくさん、情報が頭に流れ込んでくる」

「大丈夫か、恵麻!」

「大丈夫、危険はないみたい」


そして、アップグレードが終わったようだ。恵麻を包んでいた光は無くなり、そこには、今までと変わらない恵麻がいた。


「で、何が変わったんだ?」

「恵麻、凄く強くなった?」

「どうなの、自分で変化は感じるの?」


みんなの質問攻めに、恵麻はそれを手を振って制しすると、何かを見ていた。そしてしばらく頭の中の何かを見終わったのか、こう告げた。

「結果から言うと、凄いことになってる」

「どう凄いんだ? ジョブランクはどうなったんだよ」

「ねえ、ねえ、強くなった?」

「ジョブランク気になるわね、どうなの恵麻」


「えとね、ジョブランクは……」


みんな恵麻の言葉に注目する。Bなのか、Aなのか、はたまたSなのか、期待を込めて息をのんだ。


「EXだって」

「EXってなんだよ!」

「エクストラでしょ? 悪くなんじゃないの」

「しかし、聞いたことねえぞジョブランクEXなんて」

「それで恵麻、具体的に何が変わったんだ」


「まず、一番の特徴は、固有スキルの変化と追加かな、私の場合は鑑定士から神眼士ってジョブ名に変わって、鑑識眼が神眼に変わったのと、新たにユニークスキル【過保護の女神の加護】ってのが発現したよ」

「過保護の女神とはなんだ?」

「過保護の女神の加護だよ、えと詳細は、あらゆる状態異常にかからなくなるのと、全てのダメージが半減するスキルみたい」

「なっ! 無茶苦茶、強ええじゃねえか!」

「神眼の方はどうなの?」

「神眼は鑑識眼の上位互換で、見るだけで相手のステータスや詳細情報を見れるようになって、さらにあらゆる隠し要素まで見えちゃうみたい」

「それって、モンスターのステータスも見れるの?」

「うん、たぶん見れると思う」


「うは……超絶便利じゃない。弱点とかもすぐにわかっちゃいそう」


理央の言うようにとんでもないスキルかもしれない。完全に超絶パワーアップしたのは明らかで、ジョブアップグレードが凄いことだというのを再認識した。





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