第70話 レベル上げへ
僕たちは報酬部屋からマスターの屋敷へと移動した。途中、モンスターを狩りながら行きたかったのだけど、どういうわけかゴンの探知にも引っかからず、結局、戦闘もなく屋敷に到着した。
「ほうほう、こんなところに隠しエリアがあるとはな、ポンコツの案内がなければいけねえわな」
「ポンコツジャネエ、ナンパヤロウ」
またゴンと朝陽が揉め始めたので、すぐに止める。
「二人とももういいから、早く食料を確認しようよ」
「わかってるって、ほら、案内しろよポンコツ」
「オマエ、ゼッタイ、アトデ、シバク」
屋敷に入ると、すぐに食糧庫を確認した。幸いなことに、屋敷の食糧庫には十分の食料が蓄えられていた。さらに傷んでいるのを心配していたけど、それもどうやら大丈夫のようだった。
「食糧庫全体に保存魔法が施されているようですね」
「ラッキー、見ろよ、肉もあるぜ」
「こっちにはバターやチーズの乳製品が揃ってるな、これだけあればなんぜも作れそうだ」
屋敷には綺麗な水も沸く井戸もあり、生活には事欠かない。
「よし、ここを拠点にしてレベル上げするか」
「そうね、ソファーやベッドもあるし、十分休息がとれそう」
「拠点にするのはいいんだけど、マスターの寝室だけはそっとしておいて欲しいかな」
「わかってるよ、そんな無粋なことしねえよ」
客室なのか、マスターが眠る寝室以外にもベッドが置かれた部屋が二つほどあった。それと応接室などを拠点として使わせてもらうことになった。
「ちょっと、見て、お風呂もあるよ!」
「うそっ、凄く嬉しいんだけど」
「ヒマリもお風呂入る~」
女性陣たちは、お風呂に大はしゃぎで、心底嬉しそうだ。まあ、僕もお風呂があるのはかなり嬉しく、今日の夜にも入らせて頂こうと思う。
「さて、これだけの設備があるんだ、後はレベルを上げるだけだな」
「確かに基盤はできたと思うけど、レベル100はやっぱり遠いわね」
「そうだな、どこかレベル上げに、いい場所ねえかな」
「フンッ、ケイケンチノタカイ、モンスターガ、イッパイイルエリアナラ、コノシタノカイソウニアルゾ」
「なんだど、ポンコツ! ほんとうか!」
「ポンコツジャネエッテ、イッテルダロウガ」
「まあまあ、ちょっとその経験値がおいしいモンスターがいるエリアへ案内してくれよ」
「フンッ、イイケドナ、チャント、オンニキロヨ」
ゴンが言うにはそのエリアへ行くのは、屋敷から徒歩で一時間くらいかかる距離にあるそうだ。往復で二時間、今日はまだ早いのでいけなくわない。
「とりあえず、今日は軽く様子見でレベルあげしてみるか」
「そうね、あまり、無理しないように慎重にいきましょう」
ゴンの話では、経験値がいいだけあって、そこにいるモンスターはかなりの強敵らしいので、どれほどのものか手探りで戦いながら計る必要はありそうではあった。
「ヒマリ、早く帰ってお風呂入りたい!」
「それは私もそう、今日は二、三戦で切り上げましょうよ」
「そのつもりだが、サクサク狩れるようなら、ちょっと残業してがんばろうぜ」
「今日はヤダ、明日のヒマリはがんばれるから勘弁してよ」
お風呂の魅力に囚われてる女性陣たちはすぐにでも拠点に戻りたいオーラを出して集中力が切れてるように見える。戦うモンスターが強敵らしいので、それが影響しないかちょっと心配にはなってしまった。
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