第68話 寝る起きる

未鑑定のアイテムの鑑定も終わり、とりあえず今日はもう休むことになった。


「今日は見張りはいいだろう。全員で休もう」

そう言われて一つ気になった。すぐに新しい仲間のゴーレムに確認する。


「あっ、ゴン、君は寝たりするのか?」

「バカダナ、ゴーレムガネルワケネエダロウ」


いや、毎度、俺は高性能だとか、言ってるからそういう機能があってもおかしくないのかなと一応聞いたのだけど、ないならないで一つ頼みたかっただけである。


「だったら、たぶん、大丈夫だと思うけど、僕らが寝ている時にモンスターが近づいたら起こしてくれる?」

「マカセロ、タタキオコス」


これで、寝込みを襲われるってことはないと思う。


みんな疲れていたのか、すぐに眠りについた。僕も寝ようとするけど、普段からあまり寝つきの良い方じゃないので、なかなか眠れない。目を閉じて、眠ろうとすると、色々と考えてしまった。


僕はPTの役に立ってるんだろうか、今日の立ち回りは悪くなかっただろうかとか、反省ばかり頭に浮かんだ。それでも、朝陽のいびきがうるさくなってきたきた頃合いには、意識は薄くなり、気が付くとようやく僕も眠りに落ちていた。



目覚めると、不意に珈琲の良い香りがしてくる。見ると恵麻が珈琲を入れていた。僕は香りにつられて、恵麻に甘える。


「手間じゃなければ、僕の分もお願い」

「あっ、健太、起きたんだ。大丈夫、一人分も二人分も手間は一緒だよ」

「ありがとう」


起きて恵麻の隣に座る。恵麻は、沸かしたお湯を注ぎながら、こう聞いてきた。


「健太って、一人暮らしって言ってたよね。朝ご飯はどうしてるの?」

「朝はほとんど食べてないかな、珈琲だけで終わりとかよくあるよ。恵麻はどうなの、あっ、恵麻って一人暮らしだっけ?」

「私は実家だよ、一人暮らしに憧れてるけど、親がうるさくて、なかなか許可してくれない」

「今回みたいな不意の外泊とかあっても大丈夫なの?」

「……たぶん、帰ったら怒られると思う。もともとシーカーになることも反対してるし、ちょっと喧嘩になっちゃうかもしれないかな」

「実家も大変だね」

「まあ、喧嘩はいつものことだから大丈夫だけどね。そんな風に言うなら出ていくとか言うと、おとなしくなるから」

「両親は恵麻にずっと実家にいて欲しいんだ」

「一人っ子だから、あまり子離れできてない感じはするわね」


そんな会話をしてると、他の仲間たちも起きてきだした。


「二人とも珈琲とかいいな」

碧が僕たちの手元を見ながら心底うらやましそうにそう言う。それに対して恵麻がすぐに応える。


「お湯まだあるからすぐ入れるよ」

「おっ、ありがたい」


碧は嬉しそうに僕の隣に座った。碧に続いて理央もすぎに起きてきたけど、朝陽とヒマリはまだ寝ている。理央は紅茶を自分でいれながら、朝陽とヒマリを起こしてこようかと僕らに言ったが、恵麻が特に急がないしいいんじゃないと答えた。


「朝ご飯どうしようか」

「もう、食材がやばいのよね」

「米と、もやしならまだ余裕があるけど、それだけじゃね」

「ご飯炊いておにぎりでも作る?」

「あっ、そうしようか」


ということで、米を炊くことになった。


「多めに作ってランチにも食べるのがいいんじゃない」

「そうね、それがいいかも」


ということで、多めの五合炊くことになった。

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