第66話 食後の鑑定

全ての未鑑定アイテムを恵麻のイベントリに移動した。恵麻はそれを見ながら珈琲を一口飲む。


「おっ、結構あるね」

「階層ボス産とかだから、レアリティもいいし、期待できるかも」

「それにしても本当にうちはドロップがいいよな、これで売れれば言うことなしだったんだけどな」


なぜか僕たちのドロップする装備は他PTの者には譲渡ができない。必然として売ることもできないので、収入にはならないのが難点ではあった。


「まずはこれから、【LR】ショートソード」

「【LR】の一番の期待装備からとはもったいぶらないわね」

「みんな早く、知りたいだろうと思って」


恵麻はみんなの気持ちをよく理解している。確かにもったいぶるのを良しとするタイプはいないかもしれない。


「鑑定できたよ。結果、【LR】の期待を裏切らない神装備でした。(攻撃力752 スキル【八手連撃】(一撃で八回の多段ヒット攻撃、敏捷力が高いほど威力も上がる)敏捷力+120、風属性耐性中アップ、出血小確率付与、風属性追加ダメージ)かなり強いかも、敏捷力による威力上昇効果のあるスキルだから、朝陽が装備するのがいいかもね」

「うおっ、風の短剣から装備変更か、早いな」

補正を見ると、かなり攻撃力の高いショートソードのようなので、朝陽の火力が爆上がりしそうな感じの装備だった。


「次は【UR】帽子ね」

「ヒマリ、帽子欲しい!」

「補正をみてからだ。なんでも欲しがるんじゃない」

「え~だって~」

「だってと言われてもな、装備の分配優先はビルド次第なのわかるだろ。ちょっとは我慢しろ」

「ふんっ、ケチ」


そんな周りの声を完全に無視して鑑定を続ける恵麻が結果を知らせる。


「これは健太装備かな、なかなか偏りがあって素晴らしい装備だよ。防御補正155、スキル【女神の恩恵】(隠しパラメータ値、三倍アップ、さらにマジックアイテムによるダメージ効果が五倍になる)、火属性耐性小アップ、全ステータス30アップ)隠しパラメータはさすがの私の鑑識眼でも見えないから何がどうなるのかわからないけど、噂では運とかドロップ率とかのパラメータらしいから健太ならピッタリだね」


「隠しパラメータ値が三倍! いいのか悪いのかわからないね」

「いいに決まってるじゃねえか、単純にケンタワンドのスキルも強化されそうだし、悪いことはなさそうじゃねえか」

「まあ、そうだけど、見えないものが強化されても実感がないんだよね」

「いいじゃねえか、本当の力を隠してる陰の実力者みたいでよ。かっけえじゃねえか」

「かっこよくはないって」


「さて、次は【UR】指輪を見てみるね」

「【UR】の指輪か、期待できそうね」

「ヒマリも指輪したい~!」

「だから、鑑定終わるまで待てって」


「おっ、これはなかなかの一品」

「どんな指輪なんだ」

「物理スキル特化強化の指輪だよ、(攻撃力120%アップ、物理攻撃スキル230% アップ、攻撃速度30%アップ、力+110)単純な強化装備だけど、それだけに普通に強いと思う」

「それは碧の装備だな。それがあればPT火力もだいぶ安定して出せるようになるな」

「俺に決定打がなかったから助かるよ」


碧は守りの要なところがあったけど、これで火力でも貢献できるようになると、PTとしての戦力アップは間違いなさそうだ。

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