第65話 今日の晩御飯
「そこの扉閉めといた方がいいんじゃねえか」
報酬部屋の入口、確かにそこを閉めればより安全のように思える。僕と碧とで、大きな扉を閉めた。
「今日のご飯はなに?」
ヒマリの質問に理央が不愛想に答える。
「キノコご飯とキノコの味噌汁」
「キノコばっかだ」
「もう食材も残り少ないからね」
「もやしなら僕がまだたくさん持ってるよ」
「もやしは最終手段だな」
僕にとって、もやしは主力食品なので、それを最終手段にされると心外ではあった。
「飯食ったら、会議だな。ダンジョンボスの攻略の話をしようぜ」
「その前に未鑑定の装備の鑑定を終わらせた方がいいんじゃないか? 新たな攻略の糸口になるアイテムもあるかもしれないし」
「いや、恵麻も疲れてるだろうと思ってな」
そんな朝陽の気遣いに、恵麻が元気よく、こう反応した。
「ううん、私は大丈夫だよ。私だけ階層ボス戦に参加してないし、疲れてないから」
疲れてないってのは嘘だと思うけど、恵麻は鑑定が優先なのを理解してそう言ってくれた。みんなもそれをわかってはいたけど、恵麻の言葉に甘えて、食後に鑑定がおこなわれることになった。
「オイ、オレニモメシヲヨコセ」
食事中、ゴンがいきなりそう言うのでびっくりした。
「ゴーレムってご飯食べれるの!?」
「バカカ、ソンナヒコウリツナエネルギーゲンイラネエ、マゲンセキヲヨコセ」
「えっ! 魔元石を食べるんだ」
魔元石は採取もしたし、モンスターからドロップもしてるのでいくつかストックがあった。
「どれくらいあればいいの?」
「チイサイノイッコデ、イッシュウカンハウゴケル」
「これでいいかな」
そう言いながら小さい魔元石を一つ、ゴンに渡した。ゴンはそれをぱくりと口の中に入れてもぐもぐと食べる。
「魔元石食べるなんて、贅沢な奴だな」
「ウルセエ、コレデモ、カナリショウエネセッケイダ」
確かにあんな小さな魔元石で一週間も動けるのなら、かなり省エネなのは間違いない。
食事のキノコご飯だけど、味付けが絶妙で、かなり美味しかった。味噌汁もいい塩梅で美味しかったし、質素だけど、良い晩御飯だと思う。だけど、ヒマリはちょっと物足りない感じだったようだ。ちょっと不満そうにしていたけど、食後に碧からスナック菓子を貰ってニコニコになっていたので大丈夫だろう。
「さて、鑑定しますか」
食後に恵麻が重い腰を上げるようにそう言う。
「一服してからでいいんじゃねえか」
「大丈夫、珈琲飲みながらやるから」
「あっ、じゃあ、僕が珈琲入れるよ」
「あっ、健太、俺のも」
「それじゃ、私もお願い」
碧と理央が便乗してそうリクエストしてきた。
「ヒマリと朝陽はいらないの?」
「俺は自家製コーラだ」
「ヒマリも自家製コーラだよ」
「やるとは言ってねえぞ、ヒマリ」
「じゃあ、今、言ってよ」
「たくっ、仕方ねえな。もう残り少ないんだからな」
「ありがとう~朝陽」
なんだかんだ言っても朝陽は優しいところがある。そんな朝陽の性格を完全に見抜いている節がヒマリにはあるようだ。
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