第64話 報酬部屋で
恵麻のいた、報酬部屋には報酬である宝箱があった。恵麻の話ではさっきまでそんなのなかったそうなので、ボスを討伐したタイミングで出現したようである。
すぐに僕は探知を使って宝箱の罠を調べる。ボス報酬だけあって、やはり罠はなく、安全に開けれるようだった。
「何が~♪ 入ってる~♪ かな~♪」
安全を確保すると、朝陽が楽しそうに宝箱を開けた。
「どうだ、朝陽、いいものだったか」
「これってあれじゃねえか」
朝陽が宝箱から取り出したのは、上の階層ボスの報酬と似たような丸い水晶のようなアイテムだった。
「それって、神託の宝玉!」
神託の宝玉だったらジョブランクをアップできる神アイテムだ。これ以上ない報酬なのだけど、鑑定しないとなんともいえない。
「全部で三個か、ということは、もしそれが神託の宝玉だったら全員がジョブランクを上げれるってことだな」
前回の分が三個、今回入っていたのが三個と、PTの人数分が揃うことになった。これでレベル100になって、ジョブランクアップが出来るようになっても揉めなくて済む。
「当面の目標はレベル100にしてジョブランクを上げることだな」
「まだまだ先の話ね」
「早くジョブランク上げたいよ~」
みんながボス報酬に夢を見て話をしている時、僕は部屋の奥に階段を見つける。
「ここから下の階層にいけるみたいだね」
僕の言葉に恵麻が反応する。
「あっ、本当だ、さっきまでそんな階段なかったのに」
「ボスを倒したから現れたんだろ」
「にしても、まだこの階層が終わりじゃないって現実の方がショックよね」
「ヒマリたち、いつになったら出れるの? まだ初ダンジョン探索なんだよ」
「そういや、そうだったな。ちょいと日帰り初探索が、このざまとは笑い話にもならねえな」
そういえばダンジョンからの脱出すらめどが立ってなかったのを思い出す。それと同時に、今はこのダンジョンのことを僕らより知っているだろう存在を思い出して聞いてみた。
「ゴン、このダンジョンからの脱出する方法って知ってる?」
「ソンナノ、ダンジョンボスヲ、タオセバイイニキマッテルダロ」
「ダンジョンボス! それはどこいるの?」
「コノシタノカイソウダ」
「おおおっ── まじか!」
「あともう少しで出れるのね」
「ようやく先が見えたか」
「ヒマリ、 もう疲れたから嬉しいな」
みんな先が見えたことで喜んでいる。そんな喜びモードを、ゴンの言葉が終わらす。
「ダケド、アノ、ダンジョンボスヲタオスナンテ、ムリダゾ」
「えっ! どういうこと?」
「タンジュンニ、ツヨスギルンダ、オレガヒャクタイイテモ、カテナイクライツヨイ」
ゴンはかなり強いゴーレムだ。それが百体いても勝てないって言うくらいだから相当強いのは間違いない。
「なんだと、ポンコツ! 弱点とかねえのか」
「ソンナノシルカ、ボケ」
「うんだと! スクラップにすんぞポンコツ!」
「ヌヌヌ、シバク」
「とりあえず、ダンジョンの脱出方法はわかったんだ。対策は後で考えるとして、今はとりあえず休息しようよ」
「そうね、じゃあ、安全地帯を探しましょう」
安全地帯と言われて、すぐにゴンのいた屋敷を思い出す。だけど、ここからあそこまでは結構遠いし、もうみんな動きたくないだろうなと思った。
「休息だけど、この部屋でいいじゃねえか」
僕が悩んでいると、朝陽はそう提案する。
「あっ、そうか、ここも安全地帯だった」
「報酬部屋で一泊ってのも悪かねえだろ」
そういうことで、僕らは報酬部屋で休息をとることになった。決まったら早い、みんな慣れたようにキャンプの準備を始めた。
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