第63話 討伐

「ゴン、ここは俺たちに任せて、お前は健太を守りながらスライムのところへ連れてけ」

「ゴンサマダ」


そう言いながらも、朝陽の指示に従い、ゴンは僕を守りにくる。こうなったらやるしかない。僕はスライムに向かって走り出した。


とうぜんアンデッドが群がってくるが、ゴンが僕を守るように、アンデッドたちを倒して道を確保してくれた。


スライムは僕の接近を察知して、逃げようとする。このまま逃げられては意味がない。僕らはさらに加速して追いかけようとした。だけど、スライムは想像以上に速い。このままでは逃げ切られそうだった。


「ゴン、スライムを逃がさないで!」

「ワカッタ、マカセロ」


ゴンは信じられない加速を見せる。そしてスライムの前へと回り込んだ。そのままゴンはスライムに拳を振るう。しかし、それをスライムはさっと避けた。


だけど、そのゴンの行動のおかげで僕はスライムに追いつくことができた。


「鉄槌を!」


スライムに向かってケンタワンドのスキルを発動する。発動しながらちょっとした疑問が頭をよぎる。あの素早いゴンの攻撃を簡単に避けるスライムに、僕のケンタワンドのスキルが命中するか、不安がよぎった。このスキル、威力はあるけど発動が速いとはいいがたい。避けられるかもしれないと恐怖を感じながら祈ったが、その懸念は簡単に払拭された。


スキルが命中する手ごたえを感じた。ズドンといつものように上からくる衝撃のエフェクトと同時に、スライムはペッちゃんこに潰さる。ダメージは100万を超え、そのままスライムを消滅させた。


ボススライムを倒すと、その周りに大量にいたアンデッドたちが、土くれになって全て消滅する。そしてレベルアップの知らせが表示され、いくつものドロップも表示されていく。


【LR】ショートソード

【UR】指輪

【UR】マジックアイテム

【RR】マント

【素材】スライムの雫

【素材】神秘の小石

大魔元石


「よし、レベルも上がったし、ドロップもしたし、恵麻のいるエリアにもいけるようになったし、完璧だな」


「健太、よくやった。やはりボス相手には相性がいいみたいだな」

碧がそう言って褒めてくれる。


「エッヘン、ホトンドオレノオカゲダ」

「お前は健太の所有物だろ、持ち主の手柄になるに決まってんだろ」

「オレヲモノアツカイスルナ」

「おっと、すまねえ、ポンコツロボだったな」

「オマエ、ヤッパリ、シバク」


また一悶着起こってしまった。面倒くさいけど止めに入る。そんなドタバタをヒマリや理央は微笑ましく見ているだけなのはなぜだろう。


二人の仲裁が終わると、すぐに恵麻のいるエリアへと向かった。すると大きな扉があり、その扉は少し開かれていた。おそらくボスを倒した事により、開かれたと思われる。


中途半端に開かれていた扉を完全に開いて中に入ると、すぐに恵麻を探した。


「恵麻、いるかー」

「恵麻、どこにいるの」

「お~い、どこだ~」


「あっ、いたよ!」


ヒマリが恵麻を見つけた。なんと恵麻はその部屋に設置されてた四つ足の台の下で寝ているようだった。


理央がそんな恵麻を優しく揺らして起こす。恵麻はすぐに眠たそうに起きて、こう言った。

「おはよう、階層ボスを倒したんだ」


「えっ、どうしてわかったんだ?」

「だって、ここ報酬部屋みたいだから、倒さないと入れないでしょ?」


恵麻は自分の状況を理解して、あたふたしてもここを出られないっての理解していたそうだ。外にいる僕らがそのうちボスを倒すだろうと、文字通り、寝て待っていたとのことだった。

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