第61話 探して

僕たちは恵麻を探して、階層を徘徊していた。だけど、ゴンの探知にもなかなか引っかからない。


「本当そのポンコツの探知なんて信用できんのかよ」

「ダレガポンコツダ、コノヤロウ」

「ポンコツじゃなかったらちゃんと探せよ」

「イマヤテンダロウガ、コノナンパヤロウ」

「誰がナンパ野郎だ!」


「ちょっと、揉めないでよ、二人とも」

「二人じゃねえ、一人と一個だ!」

「コスウ、アツカイスンジャネエ」


なんともゴンと朝陽の相性はMAX最悪かもしれない。その後も二人の掛け合いは、ゴンの探知が反応するまで続いた。


「ムムム、ソレッポイノハミツケタ」

「ゴン、本当かい?」

「ホントウダ、ココカラ、ホクセイニシバラクススンダサキニアル、エリアダ」

「よし、でかした、それじゃ、そこに向かおう」

「ザンネンダケド、コノエリアニハ、イケナイゾ」

「えっ、どうして?」

「トビラガシマッテ、ハイレナイ」

「その扉は開かないのかい」

「コノカイソウノ、ボスヲタオサナイト、ヒラカナイ」

「階層ボス、そんなのどこにいるんだよ」

「ヤツハ、カイソウナイヲ、ハイカイシテイル」


「また面倒くさい展開だな。で、その階層ボスってのはどんな奴なんだよ」

話を聞いていた朝陽がそう聞く。


「サア、ネクロマンサーノウリョクヲ、モッテイルト、イウコトクライシカ、オレモシラナイ」

「ネクロマンサーだと!」

「ネクロマンサーってなになに? ヒマリに教えて」

「ネクロマンサーは死霊使いだな、ゾンビやスケルトンなんかを操って戦う……」

説明の途中で朝陽が何か気が付いて話を止める。


「そうか、この階層の最初のあのアンデッド軍団、もしかしてその階層ボスの仕業じゃねえのか」

「そういや、ちょっと変だって、僕らも話してたよね、理央」

「そういうことなら納得するわね、階層の特徴じゃなくて、そのネクロマンサー能力を持ってるボスの仕業だってことね」


「とにかく、恵麻と合流するにはそのボスを倒さないといけないってことだ。予定変更で階層ボスを探すぞ」


「ゴン、階層ボスなんかは探知できないのか?」

「オレハコウセイノウダゾ、デキルニキマッテルジャネエカ」

「それじゃ、頼むよ、仲間を早く助けたいんだ」

「シカタネエナ」


そう言うとピピと集中しながら探索を始めた。

「タブン、アッチダナ」


ちょっと曖昧な探索結果がでた。あまり自信なさそうに見える。



それから、ゴンの言う辺りを探索していたのだけど、階層ボスを見つけることができない。それをネタに朝陽がまたゴンにちょっかいをだす。


「おい、高性能じゃなかったのかよ、ポンコツ」

「フンッ、オレノタンサクハカンペキダ」

「じゃあ、どうして見つかんねえんだよ」

「バカカオマエハ、カイソウボスハ、ハイカイシテルト、イッタロ、イドウシテルカラ、ミツケニクインダ」


確かにゴンの言い分も理解できるなと思ったけど、朝陽にはそんな理由、通用しなかった。

「移動したら、それに合わせて座標を修正するだけじゃねえか、高性能なんだから、それくらいやれよ」

「グヌヌヌ……オマエ、シバク」


そう言ってゴンが朝陽に殴りかかった。しかし、朝陽はそれをヒョイと避ける。さすが回避タンクだと感心したけど、それよりゴンを止めないとと、思い直す。


「ちょっとゴン! 腹立っても暴力はダメだよ!」

「ボウリョクジャナイ、シュクセイ」

「粛清もダメ! 朝陽もほら、ちょっと謝って」

「ちっ、わかったよ。言い過ぎたな、ポンコツ」

「ソレガアヤマルタイドカ」


こんな感じで、しばらく二人のごたごたが続いた。この先、大丈夫かなと心配になってしまった。

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