第60話 合流
「サルも経験値少なかったね、あんなに倒したのにレベル全然上がらなかったよ」
「経験値が少ないのもあるけど、どうもレベルの上りが悪くなってる感じがする」
「そりゃ、レベルが上がるとそれだけ必要な経験値も増えてくるからね、最初のころみたいに、倒せば上がる状況ではないんじゃない」
雑魚じゃないし数も多かったこともあり、レベルアップを期待したけど、全然上がらなかった。アイテムはいくつかドロップしたけど、少しだけ不満が残る。
「それにしても、ちょっと思ったんだけど、この階層って、最初の雰囲気とちょっと変わった感じがしない?」
理央が何かに気づいてそう言う。
「えっ、どういうこと?」
「最初、アンデッドが凄い出たじゃない、妙な暑苦しい不快感もあったし、この階層はそういう階層なんだって思ってたけど、ぜんぜん、そんな感じがしないよね」
「そういえばそうだね、理央と合流する前にはミノタウロスが出たし、アンデッド感が急になくなったように思う」
そんな僕と理央の会話に飽きたのか、ヒマリが話を変えてくる。
「そんなのどうでもいいじゃん、早くみんなを探そうよ」
「そうだね、その辺の話はみんなと合流した後にしようか」
とにかく、合流が今の最優先事項ではある。僕らは先に進むことにした。
ゴンの探知したのはこの先だ。しかし、まだモンスターの可能性がなくなったわけではない、僕たちは警戒しながらそこに近づいた。だけど……。
「よう、何してんだ、お前ら」
「うわっ! あっ、朝陽!」
いつ間にか背後に回られて声をかけられた。僕もヒマリも理央も驚いて腰を抜かす。
「驚かさないでよ、いつ間に後ろに回り込んだの?」
「いや、誰かが近づいてるのに気づいたからな、モンスターの可能性もあるから、碧と二人で挟み撃ちにしようと思って、気配を消して俺が向こうから後ろに回り込んだんだよ」
「じゃあ、碧も一緒に」
「いるぞ、ほら」
見ると碧がこちらに歩いてきてるところだった。
「みんな無事でよかった。いや、あれ、恵麻は一緒じゃないのか?」
碧が恵麻の不在を見てそう聞いてくる。
「テレポートの罠でみんなバラバラにされたんだ。恵麻以外は合流できたけど……」
「じゃあ、早く探してやらねえとな」
「恵麻なら大丈夫だと思うけど、急ぐに越したことはない。早く見つけよう」
「ところで話は変わるが、恵麻の代わりにいるその変なのはなんだ?」
ゴンに対する最初の反応はみんな似たようなものだった。朝陽の質問に答える。
「ゴーレムのゴンだよ、僕と縁があってね」
「なんだと! ゴーレムだと! ちょっと待て、ゴーレムなんて高位の魔術師でもなければ従えられないだろ! どういうことだ!?」
「えっ、そうなのゴン?」
「コウセイノウノオレニハ、カンケイナイハナシダ」
どういう意味かわからなかったけど、朝陽に詳細を聞いたら少し話がわかってきた。どうやらゴーレムってのは、主の魔力を原動力で動く仕組みになってるそうで、魔力の低い僕に従うのは普通ありえないそうだ。だけど、ゴンが言うことを考えると、高性能なゴンには主の魔力以外の動力元が備わってるということなんだろか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます