第59話 三人で
「ありがとう、え~と、そもそもなにこれ?」
「フンッ、オレハ、ゴンサマダ」
「ゴンサマね」
「いや、ゴンでいいから」
「あっ、ゴンか」
「ヨビステニシテイイノハ、マスターダケダ」
しかし、ゴンの訴えを理央は華麗にスルーする。さすがは理央だ、状況を把握するのが速い。
「それで、どこで拾ったのこれ?」
「拾ったんじゃないよ、え~と、何というか成り行きかな」
「あらそう、まあ、その話は後でゆっくり聞くけど、それより、他のメンバーはどこにいるの? 一緒じゃなかったんだ」
「それがまだわからないんだ。たぶんだけど、状況から朝陽と碧はテレポートの罠の影響を受けてないと思うから二人は一緒にいると思う。そうなると、恵麻がもし朝陽たちと合流してなかったら一人でいる可能性が高い。そうだったらかなり危険な状況だから早く探さないと」
「恵麻ならスリープタクトがあるから大丈夫じゃない? あの子、今、かなり強いわよ」
「睡眠が無効の敵と遭遇したら危ないよ!」
「確かにそうだどね、まあ、だからって、どう探せばいいのか」
「それなんだけど、ゴンが探知できるんだよ、理央も見つけられただろ? それを使えばなんとか探せそう」
「へぇ~、このヘンテコにそんな能力があるんだ」
「しかも、パワーが凄くてね、かなり頼りになるよ」
「モットホメロ」
「じゃあ、ゴン、周りをスキャンしてくれるかい」
「マカセロ、ゼッタイニミツケテヤル」
ゴンの扱い方が少しわかってきた。彼はさっきまでと違い、機能をフル稼働して探索をおこなってくれた。
「フウ、ヨシ、ミツケタゾ、ココカラ、ミナミニ、ダレカイル」
「でかしたぞ、じゃあ、早速行ってみよう」
南にいるのが孤立している恵麻であればいいのだけど。そう思いながらゴンの探知した場所へと急いだ。
「アッ、バカマスター、ツッコムナ、ソノサキワルイヤツラノ、ケハイガスル」
恵麻の事が心配なこともあり、夢中に現場に向かっていて無防備になっていた。直進から曲がったすぐの場所に、多くのモンスターが徘徊しているのに、接近してしまう。
「健太、さがって」
「危ないわよ、健太!」
ヒマリがライトニングボウガンで先制攻撃する。さらに理央が魔法の詠唱を開始した。僕は二人の邪魔にならないように後ろにさがりながら、インベントリから攻撃アイテムを取り出した。
敵は十体ほどのサルのようなモンスターで、キキキッと叫びながらこちらに向かってくる。ヒマリがライトニングボウガンを連射してそれに対応した。だけど、サルのようなモンスターは雷属性に耐性があるのか、あまりダメージが通ってなかった。
「ヒマリ、倒さなくていいから接近を防いで!」
「わかったよ」
ヒマリがサルの接近を防いでいる間に、理央の詠唱が終わる。そして理央の得意の氷結系魔法が発動した。
「アイシクルノヴァ!」
氷結の新星がサルたちに降り注ぐ。表示を見ると、サルたちに数万ダメージが多段ヒットする。驚異的なダメージにサルたちは耐えることはできず、次々に黒い塵となり消滅していった。しかし、一匹だけ撃ちもらしていた。生き残ったその一匹が一矢報いようと飛び掛かってくる。僕は金剛炸裂玉を投げてその攻撃を防いだ。炸裂した衝撃に狼狽えるサルに、ヒマリがライトニングボウガンを連射する。耐性があるといってもダメージがゼロになるわけではない、これだけの集中砲火に耐えることもできず、生き残ったサルも耐えきれず消滅した。
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