第51話 いきなり

強烈な閃光と爆音が響き、フロアの中心に、派手なエフェクトが発生する。そこに10mほどの人型のモンスターが現れる。現れたのは少し大きめのオーガで、大きな角が目立つ、明らかに今まで見たオーガより格上に見えた。


「まさかオーガキング! 気を付けてください、そうであればレベル550のボス級モンスターです」


「朝陽、抑えるぞ!」


碧の声に、朝陽が応え、二人は前に出ようとした。しかし、その前にオーガキングが先に行動する。


頭の割れるような不快で大音量の声、いや、死の叫びと言うべき強烈な波動が僕たちを襲う。ダメージを受けながら、なにやら一時的な状態異常に陥り、一気に体が硬直して動きを封じられた。


「や……やべ……」


オーガキングは高く跳躍した。そして持っているこん棒のような武器を地面に叩きつけた。それは地面が割ると思うほどの威力で、その叩きつけたポイントを中心に衝撃波が広がる。


衝撃波という、物体の無い広範囲の攻撃にはどうすることもできなかった。PT全員が強烈なダメージを受ける。このままでは何もできずにHPを削られやられてしまう。


さらなる攻撃を行う為にオーガキングが二度目の跳躍を行う。それを見た、硬直のとれた朝陽が同じように跳躍した。装備などで強化された敏捷力は、跳躍力にも補正を与える。オーガキングの目線と同じくらいまで跳躍すると、オーガキングの目に向けてその短剣を投げつけた。


見事に眼球に命中すると、さすがのオーガキングも痛がり地面に落下する。そこに恵麻がスリープタクトのスキルで眠りを付与した。


「眠れ!」


一瞬でオーガキングは眠った。同時に猛毒も付与される。しかし、何やら体に光のエフェクトが入ると、すぐに目覚めて、猛毒状態も解除される。


「やっぱりボス級相手だと効果時間が短くなるみたい」

「なら、僕が! 鉄槌を!」


起き上がり、襲い掛かろうとするオーガキングに向けて、ケンタワンドのスキルを発動させる。一度は起き上がりかけたオーガキングをもう一度地面に叩きつけて、押さえつける。しかし、100万近いダメージが表示されるが、倒すまではいかなかった。


「理央、追撃だ!」

「もう準備してるわ! アイシクルノヴァ!」


氷結属性の魔力球が強烈に光る玉となり、オーガキングの頭部に直撃する。強烈な冷気が命中した頭部から広がっていき、オーガキングの上半身が凍結する。


「碧!」

「おう! 喰らえ! 渾身切り!」


凍結した上半身を狙い、碧の炎の剣が襲い掛かる。渾身切りはようやく覚えた碧のジョブスキルで、50%アップの物理アップの効果がる斬撃ダメージのスキルだった。


渾身切りは20万台のダメージを与え、さらに刀傷が延焼ダメージを付与する。延焼ダメージは一万台のダメージを秒単位でオーガキングに与えていく。


それでも暴れて攻撃を繰り出そうとするオーガキングに、ヒマリのライトニングボウガンが撃たれる。高ダメージとともに、ショック効果のある攻撃はオーガキングを怯ませ、動きを止めた。


「次に攻撃を受けたらヤバい、一気に倒すぞ!」


確かにこれ以上、衝撃波どころか咆哮を受けても危険な状況なのは間違いない。僕たちはオーガキングに反撃の隙を与えることなく、一気に畳みかけた。


朝陽は、いつの間にか回収した自分の風の短剣で、手数により猛攻を繰り出す。碧は渾身切りでさらなる攻撃を与え、理央は上級魔法を連発する。恵麻もスリープタクトのスキルを連発して、ヒマリもライトニングボウガンを連射し、僕は攻撃アイテムを惜しみなく使った。


そんな攻撃を受けてはさすがのオーガキングも耐えられなかった。最後は碧の延焼ダメージがとどめとなり、倒れた。

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