第40話 ボス報酬の鑑定
碧と朝陽が周辺を探索している間に、恵麻は鑑定を進めた。僕とヒマリはそれを見守り、理央は拠点にしている建物内を物色している。
「まずは【LR】靴から鑑定するね」
「【LR】は期待できそうだね」
「どうかな、ゲームだと、ハズレ【LR】なんてものもあるにはあったから」
そう恵麻は言っていたけど、ちゃんと強力な装備であった。
「うわっ、怖いくらい強いかも」
「そうなんだ、どんな補正なの?」
「まずは、スキル【悪辣な天使の独り言】(自らのアクションにより対象を状態異常にする毎に、自身の全てのスキルのクールタイムを60秒短縮する)、それに状態異常の効果時間大アップ、敏捷力30アップと私用かも」
「ちょっと待って、それって単純にスリープタクトのスキルを二分毎に打てるようになるんじゃないの?」
「まあ、スリープが成功しないとダメだけどね」
そんな会話を聞いていたようで、理央が話に入ってきた。
「馬鹿ね、もしかしたら二分毎じゃなくて、一分毎になるんじゃない」
「えっ、あっ! そうか、睡眠が成功すると同時にスキル【毒の贈り物】の効果で猛毒状態にするから、二つの状態異常で二分のクールタイム短縮するからだ」
「そう、だから一分毎にスリープタクトが使えるようになるかもね」
「……ちょっと待って、これ見てよ。もしかしたらうまくいけばスリープタクトのクールタイムが無くなるかも」
「えっどういうこと?」
僕は恵麻が上の階層のボス戦前に書いてくれたステータス表を見ながら説明した。
「ほら、睡眠に猛毒、それとこのスローって状態異常だよね、三つで180秒の短縮だから、三分のクールタイムのスリープタクトなら待ち時間無しになるんじゃないかな」
「あっ、そっか、スローって、存在薄くて忘れていた」
「すごっ、恵麻のスリープタクトが連続で使えるなんて凄すぎね」
「いいなぁ~恵麻、またパワーアップだね。ヒマリにも何かでないかな」
ヒマリの向上心は終わりがない。どんどん強くなって、どこを目指してるのかはわからないけど、何か理由があるのだろうか。
「よし、次は【UR】装束だね」
「装束ってのもめずらしいね」
「特殊スキルがよく付く装備品だよ。何かのビルドに特化してることが多いから誰かに合うものかもね」
現在の僕たちのPTメンバーはある程度の方向性が決まりつつあった。碧の火属性特化ビルド、朝陽の回避ビルド、僕のドロップ特化ビルド、理央の魔法特化ビルド、ヒマリの雷撃特化ビルド、恵麻の毒ビルドと、独自の強化プランがはっきりしているので、誰が何を装備するか決めやすい。
結果、【UR】装束は朝陽の装備だった。スキル【ミラージュステップ】(物理攻撃に対して回避補正30%、魔法耐性30%、敏捷力50アップ)、全ステータス30アップと隙の無い回避装備だ。
さらに続けて鑑定した【UR】手袋も朝陽用装備に認定される。こっちは攻撃方法の少ない朝陽にも希望の持てる装備であった。
スキル【剛天翔】(敏捷力を基準値とし、物理攻撃力に200%補正)、攻撃速度120%アップ、敏捷力62アップ、全ステータス30アップと、特化した敏捷力を物理攻撃力に変換強化するスキルが強すぎの装備だ。
「【SR】靴だけど、あまり特徴はないけど普通に強いから誰が装備してもいいかも」
【SR】靴は、全ステータス10、ダメージ軽減10%、攻撃補正10%と当たり障りのない補正であった。誰でもいいということだけど、やはりダメージ軽減が付いてるから、前衛がいいだろうと碧の装備と決まる。
そして装備品最後の鑑定で、ヒマリ用の装備が出てきた。【SR】ドレスは、雷属性攻撃力200%アップの付いたちゃんとした雷撃特化装備であった。
「やった! これでヒマリも攻撃力アップだ」
「デザインも可愛くていいんじゃない」
「そうだよね、嬉しいな~」
よほど嬉しいのか、ヒマリはドレスをヒラヒラとなびかせ、クルクル回りながら、なんとも無邪気にはしゃいでいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます