第31話 ボス戦前に鑑定

鍋を〆、少しまったりしている時、恵麻が鑑定を始めると言った。今日の装備品のドロップは少なかったので、鑑定はいいんじゃないかとみんな思っていたけど、彼女は未知のボス戦には備えはいくらあっても良いと考えたようで、手間だけど未鑑定のアイテムを全て鑑定するようだ。


鑑定するアイテムは、【RR】手袋、【RR】マジックアイテム、【RRR】マジックアイテム、【SR】マジックアイテム、【UR】マジックアイテム、【SR】ルーンストーン、【RRR】ポーション、と数だけは多い。


「まずは装備品の【RR】手袋からいくね」

「手袋か、【RR】だし、あんま期待できねえな」

「いや、私たち感覚おかしくなってるけど、普通は【RR】でも十分なレア装備なのよ」

「まあ、よく考えたらそうか」


現実、【R】装備でもかなり重宝される。それなのに僕たちのPTは【SR】やら【UR】やらとんでもない高レアリティの装備がポコポコ手に入っているので、感覚が狂っているかもしれない。


「できたわよ、【RR】手袋は、まずまずの装備ね。攻撃速度中上昇、力15アップ、体力15アップと前衛の装備かも」

「それなら碧に装備してもらったらいいかもね」

「いや、碧は今装備してる炎の小手の方が有用的だろ、別の誰かがいいんじゃねえか」

「手袋と小手なんだから、頑張れば同時に装備できるんじゃないの?」

「メルティライナーのゲーム内じゃ、同じ部位だから装備はできなかったけど、確かに物理的には装備できそうね。ちょっと碧、試してみたら?」

「わかった、やってみる」


と、装備に挑戦してみた。結果は、なんと、同時装備が可能であった。ステータスにもちゃんと反映されているみたいで、効果も適用されている。


「どうだ、動きにくいとかねえか」

「大丈夫、感触は悪くない」

「新しい発見だね。装備は多く装備できればできるほど、強化できるし、これからは部位がかぶっても、同時装備ができるか、試すようにしましょう」


戦力アップの幅が広がった感じでみんな嬉しそうだ。低ランクの僕らにとっては装備は重要な要素なので朗報ではある。


「そういや、【UR】マジックアイテムがあったよな、あれはどんな感じだ」

「じゃあ、次はそれを鑑定しましょう」


結果、【UR】マジックアイテムは【UR】だけあって、強力なものだった。いや、強力を通り越してチート級のアイテムだった。


「これ、嘘みたいだけど、インベントリ内にあるだけで効果があるアイテムみたい……ディバイン・レリックそういう種別みたい」

「はぁ? そんなのあるのか?」

「うん、私もこんなのあるなんて初めて知った」

「ちょっと待て、持ってるだけで効果あるのは凄いけど、それでどんな効果なんだ?」

「効果はもの凄く強力だけど、チートってほどでもないかな、全攻撃補正100%アップ、全防御補正100%アップ、全ステータス50アップ、あと、ベネフィット【恩恵の共有】と……なんだろ、このベネフィットて、ちょっと待って詳細を見るから」


少しの間をおいて、恵麻は慌てた声で訂正してきた。

「嘘、嘘、チートでした。ベネフィットは持ってるだけで効果があるアイテムのパッシブスキルみたいなもので、ベネフィット【恩恵の共有】はこの所持アイテムの効果を、所持者と同じPTの者全てに適用するだって!」


「なんだと! ということは一人が持ってるだけで効果があって、さらにその効果が同じPTの者全員に効果があるってことなのか!? チートだな、間違いなくチートアイテムだ」


「その効果も、攻守どちらも二倍になる性能だし、地味に全ステータス50も強いわね」


かなり信じられない性能のアイテムが出てきて驚いた。しかもそれがPT全員に適用されるなんて驚きだった。

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