第30話 ボス戦前
目標に達成し、ボスと戦う準備は整えた。このままボス部屋に突入するという案もでたけど、慎重派の多いこのPTでは可決されない。
「とりあえず戻って今日は休みましょう。ボス戦は明日一番、ベストなコンディションで挑むのがいいと思うわ」
「そうだな。疲労はどうしても蓄積される。ボスがどんな相手かもわからないし、最善を尽くそう」
ということで、今日は拠点に戻ることになった。拠点に戻ると、早めに休む為に、すぐに夕食と決まった。
「今日は何にするんだ?」
「鍋とかにしない、簡単だし、栄養価もいいわよ」
「そうだな、それはいい案だ」
「鍋って言っても色々あるぜ、何鍋にするんだ?」
「ありあわせなんだし、寄せ鍋でいいんじゃない」
「だな、肉だれか持ってたっけ、鍋と言ったら肉だからな」
「ソーセージならあるよ」
「鍋にソーセージだと! そんなの邪道だろ」
「ありあわせなんだから仕方ないでしょ? ソーセージがあるだけでも良しとしなきゃ」
「ちっ、まあいい、他にはどんな食材があるんだ」
「もやしなら大量にあるよ」
「もやしだと!! 鍋にもやしなんて合うのか?」
「何言ってんの、普通に入れる鍋とかあるわよ」
「向井家の鍋では出たことねえな」
「あまり煮込まなきゃ、シャキシャキして美味しいと思うぞ」
「まあそれはいいとして、他の食材はどうだ」
「ヒマリ、みかん、あるよ」
「鍋って言ってんだろうが、みかん、なんか入るかよ」
「馬鹿ね、山口県に、みかん鍋ってのが名物のところがあるくらいよ」
「嘘だろ……」
「面白そうだな、入れてみよう」
「だぁ~! 俺は断固反対するぞ!」
朝陽の反対は多数決で却下され、夕食はみかん、もやし、ソーセージの鍋に決まった。
「美味いな、なんとも、あったかいみかんってのも悪くない」
「ふんっ、悪かねえけど、俺は普通のすき焼きとか食いたかったぜ」
「ヒマリもすき焼き好き!」
「いや、僕だって好きだよ、だけど、今は材料が無いから」
「ダンジョン内でこれだけの物食べれるだけでも幸せと思いなさいよ」
文句は言いながらも、朝陽は人一倍平らげる。そして鍋と言えば〆だ。その〆を決めるのにまた一悶着起こってしまった。
「だ! か! ら! 鍋の〆なんて雑炊に決まってんだろ! 鍋に溶け込んだ食材のうま味を最大限に生かすのは雑炊しかねえ!」
「確かにそれも一理あるけど、うどんだって十分、食材のうま味が味わえるわよ」
「おう、碧、お前はどうなんだよ! 雑炊だよな!」
「いや、俺は鍋の〆はラーメンが好きなんだけど」
「なぁ! ただでさえ揉めてんのに新しい案だすんじゃねえよ!」
「しかしな、ラーメンは鍋の〆にぴったりなんだって、一度騙されたと思って試してみろよ」
「たくっ……恵麻はどうなんだ、雑炊派だよな」
「えっ!? あっ、いや、私は水餃子が……」
「はぁ? 水餃子!? そんなんで〆れるかよ!」
「でも、冷凍の餃子を入れるだけで手間かからないし、本当に美味しいんだって」
「確かに手間の問題もあるな。朝陽、雑炊って言っても米炊いてないぞ」
「……いや、炊けばいいだろ」
「〆る為だけに今から米を炊くのはどうかと思うぞ」
どうやら〆の論争は朝陽に分が悪くなったようだ。ちなみに僕は雑炊派だったけど、米炊いてないことを考えて、今回はできないだろうなとあきらめていた。
結局、〆はうどんに決まった。理央の言うように、すごく鍋の出しに合って美味しかった。文句の言っていた朝陽も美味い美味いと食べていたので、結局これでよかったと思う。
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