第27話 大型
さっそく、まだこの階層で行っていない場所を探索する。全体的な雰囲気などの見た目には変わり映え無いけど、間取りは大きく変化を見せる。通路は広くなり、たまに見るルームもかなり広くなっていた。それを見て、朝陽がボソッと嫌なことを言う。
「大型のモンスターがでそうだな」
「だろうな、これだけの空間があれば、かなり大きいモンスターが沸いてもおかしくない」
ダンジョン内ではその空間の広さによって出現するモンスターのサイズが決まる。そしてサイズの大きなモンスターは体力、攻撃力が高い個体が多く、間違いなく厄介な相手になると思われた。
そしてそういう嫌な予想はあたるものである。巨大なエフェクトが発生して、そこから巨大クレーン並みの大きなモンスターが姿を現した。
「鉄巨人です!! レベル120ほどのモンスターで精神異常が効きません」
鉄の体は剣撃を防ぎそうで碧の炎の剣もとおりそうにないし、精神異常が効かないのなら恵麻のスリープタクトも効果が無い。ここは理央の魔法頼りだけど、今は僕にも攻撃手段がある。
「僕に任せて!」
そう宣言して、ケンタワンドのスキルを発動する。
「鉄槌を!」
ズドンと音とともに、鉄巨人の上から衝撃が降りてくる。そして巨体が膝をつき、粘っていたけど、そのまま押しつぶされた。メッセージには72万のダメージが表示され、鉄巨人は消滅しレベルアップとアイテムドロップの表示が続く。
【RR】マジックアイテム
【素材】鉄鉱石×12
小魔元石
「すげーあの巨大なのを一撃かよ!」
「わ~ 健太、凄く強くなってる!」
「いや、僕が強くなったんじゃなくて、このワンドが強いだけだけどね」
「こりゃしばらく健太に攻撃してもらうのが早くていいかもな」
「あっ、それはちょっと無理かも、このスキル威力は高いけど、残念ながらクールタイムも馬鹿長いから……」
「なるほどな、どれくらいかかるんだ?」
「一度使うと30分は使えないんだ」
「まあ、威力から考えたらその長さも納得だな。これからは、ここぞという時に使う必殺技として考えた方がいいかもな」
攻撃できるようになったのは凄く嬉しいけど、やっぱり、全てをこのワンド頼りとはいかないみたいだ。他にも攻撃手段が欲しいと、贅沢な願望が生まれてしまった。
僕らはさらに探索を進めた。そしてとある大きな扉の前に到着する。扉は他の部屋の扉とは明らかに違っていた。重量感があり、豪華に見える。
「ここ、たぶんボス部屋だよ」
恵麻そう言う。たぶんと言ってるけど、かなりの高確率でボス部屋だと僕も思った。
「どうする、挑戦するか?」
「いや、やめておこう。俺たちの目的はダンジョンからの脱出だ。この階層をクリアすることじゃないからな」
「私も碧に賛成、ただでさえ場違いのダンジョンを探索してるのに、ボス部屋の攻略なんて、とんでもないわよ。安全を第一に考えましょう」
「僕も辞めといた方がいいと思う。他のルートを探そう」
「ヒマリも怖いからヤダ」
「確かに今の段階では危険を冒すメリットが無いと思う」
「よし全員、挑戦しないだな、ならスルーしよう。今はその時じゃないってことだな」
とりあえず、作成しているマップにはボス部屋と記載しただけで、スルーすることになった。
「ここがボス部屋ってことなら、もしかしたら上にあがる場所は逆にあるかもしれないわね」
「確かにその可能性はあるな。この階層のスタートは上へ向かう道ののはず、ボス部屋がゴールだとすれば、その逆にスタートがあるってのも一つの考えだ」
「じゃあ、南側を中心に探索しようか?」
「そもそも、あてなんてないんだ。少しでも可能性のある場所を探ろう」
ということで、探索エリアを絞ることになった。僕たちは階層のゴールであるボス部屋を後にし、スタートとなる上へのルートを探しに向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます