第16話 もう少し
気になる【RRR】鎧もドロップしたことで、みんな鑑定に拠点に戻ることに反対しなかった。
「しかし、複数体の敵と戦うのはやはり危険だな」
「俺もその意見には賛成だ。あんなに走るのはもう勘弁してくれ」
「ちょっと! ヒマリが全然活躍できないんですけど! 恵麻と健太の持ってるのヒマリにもわけてよ!」
戦闘にまったく参加できていないヒマリが抗議の声をあげる。別に金剛炸裂玉を分けるのはかまわないけど、朝陽がやんわり説得する。
「まあ、待て、お前が本領発揮するのはライトニングボウガンが装備できてからだ。今は我慢の時だ」
「え~ 我慢ばっかりでつまんないよ。それに足手まとい感が凄いんだけど」
「足手まといって言うなら僕だってそうだよ。ヒマリみたいに装備の予約も無いし、手持ちの金剛炸裂玉が無くなったら、また何もできなくなるんだから」
そんな不安の声を碧は諭すようにこう話す。
「みんな思うところがあると思うけど、今は力をつける時だ。今が戦力になってないからって、これからもそうだとはかぎらない。幸い俺たちは脅威のドロップ率を誇る。絶対、全員が戦力になるから頑張ろう」
「そうね、下級魔導士の私だって、指輪一つであれだけの魔法が使えるようになったんだから、これから入手できる装備でどんどん強化して、全員が高ランクにも負けない強さになるわよ」
「それによ、強さ云々とは別だけどよ、これだけレアリティの高い装備をガンガンに手に入れてんだ。これを売ればどれだけ金になるか……想像しただけでウハウハじゃねえか」
お金目的の僕にとってはそれが一番ではある。確かにみんなの役には立ちたい気持ちはあるけど、それ以上に金銭的な利益の方が魅力的ではあった。しかし、そんな僕や朝陽の思惑を、恵麻の言葉が終わらせた。
「ごめん、その装備の件についてみんなに話さないといけないんだけど……」
「なんだ、どうした? 今までの装備は全部幻で、実は嘘でしたでも言うのか?」
「当たらずも遠からず」
「なんだと!! どういうことだ!」
「実は私たちPTがドロップした装備には共通して制限装備って効果は付いてたの。備考の項目のさらに奥に記載されてたから気づかなかったんだけど、さっき詳細を見たら、こう書かれてたの、【制限装備のアイテムの譲渡、使用は、入手したPT内に限る】て」
「なんだと!! それじゃ……」
「そう、PTの人間が装備したりするのは大丈夫なんだけど、他の人間は使えないし渡せないから売り物にはならない。どんなにレアで高性能でも、金銭的価値は無しよ」
「くそっ、俺の大富豪計画が!」
「私もブランド物のバッグの購入一覧を頭に浮かべてたのに……」
「ヒマリもフルーツ放題とか、パフェ放題とか考えてた」
「まあ、でも安心して、素材や装備品じゃないアイテムは制限装備の効果は付いてないから売れるから」
「そうだな、PT戦力が強化されるだけでも十分だと思う。俺たちは最低ランクPTなんだぞ? 強い装備が手に入るだけでも儲けものだし、強くなれば高難易度のダンジョンにも挑戦できる。そこでレア素材や魔元石を手に入れりゃ、金銭的にも潤うだろ」
碧のいうとおりだ。どんどん装備がドロップするから調子に乗ってたかもしれない。装備で大儲けできないかもしれないけど、強くなれば収入は安定する。それだけで十分だ。
「恵麻、それで鎧の鑑定はどうだった?」
「良品だと思う。ダメージ軽減10%、炎属性耐性に体力20アップ、さらに敏捷力も10アップとスキルは付いてないけど、万能のダメージ軽減が付てるのはいいよね」
「じゃ、それはヒマリか恵麻に装備してもらおう。短剣もあったよな、それはどんな感じだ」
「これも良品ね。攻撃力は69とあまり高くないけど、敏捷力50アップと、スキル【俊足】が使えるかも。これは回避タンクの朝陽の装備ね」
「だから回避タンク認定すな!」
すでにみんなの認識では朝陽は回避タンクの役割が確定している。本人は嫌がってるけど、何か役割があるのは、僕からみたらうらやましい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます