第15話 集団戦
「俺がなるべく敵を引き付ける。碧、みんなを盾で守りながら倒してくれ」
「わかった。よし、みんな密集しよう。孤立すると危険だぞ!」
朝陽が群れの真ん中を走り抜けて、半数ぐらいをひっぱるのに成功する。しかし、靴の効果でかなりの速さになっている朝陽のスピードにギドラスたちはついていっていた。靴の効果がなかったら、とても逃げ切れる速さではない。ギリギリの状態を維持しながらなんとかギドラスの追尾から逃れていた。
朝陽を追いかけたギドラス以外はこちらに向かってきた。最初に牙をむき出しにして飛び掛かってきたヤツを碧が斬りつける。その個体は斬撃の勢いで横に転がるように倒れると、炎に包まれて延焼ダメージが入り、燃え尽きて消滅する。
それを見た後続のギドラスはなんと碧を避けて後ろにいる僕たちに向かって襲い掛かってくる。理央が万能攻撃魔法で知られているマジックミサイルの詠唱をすでに終えていた。最初に襲い掛かってきたギドラスに向かってそれを放つ。三発の紫色の光体がよだれを垂らしながら飛びついてきたギドラスの顔面に命中して頭部を蒸発させた。
僕と恵麻は金剛炸裂玉を持ってヒマリを守るようにギドラスの襲撃に備える。さらに二体がこちらに左右から襲い掛かってくる。
「恵麻は右のを頼む!」
「OK!」
僕と恵麻は同時に金剛炸裂玉をそれぞれのギドラスに投げつけた。どちらも頭部に当たり、ギドラスを悶絶させて後退させた。
そこに碧が走りこんできて斬りつける。とてもGランクとは思えないような動きで、二体とも斬りつけて延焼ダメージで燃やし倒した。
「理央、後ろからもう一匹きてるぞ!」
「わかってるわよ!」
振り向きざまに理央はマジックミサイルを放つ。三つの光弾は一つは頭部に、もう一つは腹部に、最後の一つは肩に命中した。しかし、まだ倒し切ってはいない。起き上がって再度こちらに向かおうとしてくるギドラスに、理央はわかっていたとばかりに次のマジックミサイルの詠唱を終えていた。
「マジックミサイル!」
全弾命中すると、ギドラスは後ろに吹き飛び、粉々に分解して消滅した。
マジックミサイルは中級魔法だ。A級ランクの魔導士でもあんなに素早く連打できるものではないのだけど、やはりユニークリングの疾風の魔導士の効果で詠唱が短縮されているみたいだ。
こちらに向かってきた敵は倒した。残りは朝陽を追いかけまわしてるギドラスだけだ。
「お~い! そっちが片付いたならこっちも頼む!」
SR靴のおかげで素早く動けるようになったけど、スタミナが無限になっているわけではない。パッと見ただけで朝陽の疲労が限界にきているのがよくわかった。
「こっちに逃げてきて!」
理央の指示に喜んで従い、朝陽はこちらに向かって逃げてくる。理央はすでにとっておきの魔法の詠唱が終わっていた。疾風の魔導士の効果で詠唱が短縮されているにもかかわらず、かなりの長く詠唱していたところを見ると、かなり大きな魔法を準備したようだ。
「朝陽、横に飛んで! みんなは伏せて!」
全員、危険を察知して素直にその指示に従う。みんなの安全を確認できたのか、理央は詠唱していた魔法を発動した。
「エクスプロージョン!!」
理央がそう叫ぶと、ギドラスの群れの真ん中にまぶしい光源が出現して炸裂する。伏せてもわかるほどの爆風を感じ、メッセージにはとんでもないダメージの羅列が表示される。
爆風が収まり、起き上がって見ると、ギドラスたちは消えて無くなっていた。そしてレベルアップの知らせとドロップアイテムの表示がされる。
【RRR】鎧
【RR】短剣
【素材】ギドラスの牙×3
【素材】ギドラスの肝×2
下級竜石
これだけ出ても、ドロップがいまいちだと思ってしまうのは贅沢だろう。装備もでたし、鑑定した方がいいかもしれない。
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