第14話 火の精霊
残りのドロップアイテム、【RRR】ルーンストーンはスキル【火炎強化】のルーンストーンだった。これは炎属性攻撃力と炎耐性を50%アップするもので、いまや火炎特化ビルド化している碧の装備に付与することがすぐに決まった。
【RR】マジックアイテムは金剛炸裂玉×20個だった。これは消費攻撃アイテムなんだけど、B級ランク魔導士が放つ、上級攻撃魔法に匹敵す威力があるそうだ。誰が使っても効果は同じだそうなので、低火力の僕と恵麻がそれぞれ10個つづ持つことになった。
UR盾は前衛の碧が持ち、靴は回避タンクの朝陽が装備した。ユニーク指輪は理央が装備し、体制は整った。
「よし、レベル上げを再開するぞ!」
PT全体が強化されたことで、気持ちに少し余裕が出てきた。びくびくしながらモンスターを探していた当初と違って、見つかれと本当に思いながら探した。
しかし、次のモンスターの発見は不測の事態からのものだった。目の前にいきなり赤い光のエフェクト発生する。
「モンスターが沸くぞ!!」
「俺と碧以外は下がれ! 来るぞ!」
登場したモンスターは炎に包まれた巨大なトカゲだった。それを見て恵麻が注意の声をあげる。
「サラマンダーよ!! 強力な火炎耐性を持ってるから火が効かない敵よ!」
それを聞いて一瞬、心臓が止まるかと思った。それはPTの唯一の火力元である碧の炎の剣が効かないことを意味していた。
「私がやるわ! 碧、朝陽、モンスターを抑えて!」
そうだった。今の理央は強力なユニークリングを装備している。炎が効かないならと、氷結魔法の詠唱に入った。
「アイシクルランス!!」
氷結の中級魔法のアイシクルランスが放たれた。驚きはその詠唱スピードだった。初級のアイシクルアローを使った時より、詠唱から発動までのスピードがくらべものにならないくらいに早い。たしか指輪の付与スキルに疾風の魔導士というのが付いてたけど関係しているのかな。
アイシクルランスはサラマンダーの眉間に突き刺さった。すぐに紫文字でダメージ8219が表示される。そしてサラマンダーは苦痛で低く鳴いた。だが、すぐに痛みを与えた相手である理央を見つけ、ターゲットにする。
サラマンダーは理央に向けて炎を噴出した。灼熱の炎が襲い掛かるが、その途中、碧がその炎を盾で遮断する。
「くっ、朝陽、俺が炎を抑えてるからトカゲの気をそらせ!」
「任せろ!」
朝陽は素早い動きで接近すると、トカゲに何かを投げつけた。それはサラマンダーの目に当たり、一気に興味を奪い取った。
サラマンダーは炎の標的を朝陽に移した。それを難なく避けながら逃げ始める。
「理央、今だ! 次の魔法だ!」
「了解!」
理央はすぐに詠唱に入り、そして速攻で詠唱は完了した。
「恵麻、僕らも攻撃に参加しよう!」
「うん、わかった!」
「アイシクルランス!」
理央の言葉に合わせて、僕と恵麻も、さっき手に入れた金剛炸裂玉をサラマンダーに投げつけた。
アイシクルランスは眉間に突き刺さり、サラマンダーに12991のダメージを叩き出した。そして僕と恵麻の金剛炸裂玉も命中して、それぞれ3710、3572とダメージを加算する。
サラマンダーは大きくうめき声をあげ倒れる。そして粒子となり消滅した。そしてレベルアップの表示とドロップ情報が表示される。
【RRR】マジックアイテム
【素材】炎のかけら
いつの間にか装備がドロップするのが当たり前だと思ってしまっていたけど、これくらいが普通なのではないかと思った。しかし、恵麻曰く、普通はドロップが無いのが大半でこのPTの状況が異常だと力説された。
「装備じゃねえし、鑑定は後にしようぜ」
「そうだな、このまま次のターゲットを探そう」
さらに周囲を探すと、ギドラスという馬くらいの大きさの恐竜みたいなモンスターの群れを見つけた。群れの数は十体ほどだけど、弱者が揃うこのPTでは複数の敵を相手にするのは危なすぎるということでスルーしようとした。しかし、立ち去る前に、群れの見張りに見つかってしまった。
ギドラスたちは一斉に首を向けて、鋭い牙を見せるように口を開けて一鳴きすると、こちらに向かって走りだした。
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