第13話 鑑定

「まずは【UR】盾から鑑定するね」

「いきなりURからだな」

「楽しみだね、どんな盾だろ」


みんなドキドキしながら恵麻の鑑定結果を待つ。


「でたよ、これもかなりの良品かも」

「どんなのだ」

「物理耐性50%アップに防御力50%アップ、それに全ステータス30アップに、炎ダメージ無効まで付いてるよ」

「おおおぉ! そりゃ強いな! とりあえず、それは碧が装備するとして、次、鑑定しよう」


「じゃあ、次は【SR】靴を鑑定するね」

「靴かよ、武器の方が良かったよな」


しかし、靴には驚きの効果が付与されていた。


「敏捷力200%アップだと! ちょっと待て、ということは単純に言うと、三倍の速さで動けるようになるってことか! そりゃ使えそうだな」


恵麻が言うには、ステータスの%アップ系はレアかつ有用な効果だそうだ。レベルが上がれば上がるほどその効果は上がっていくもので、さらに言うならランクが上の者が装備すればそれだけ高い効果を得るそうだ。まあ、それは低ランクの僕らには関係のないことだけど。


「しかもこの靴、”Lv.7タキサイキア”ってスキルも付いてるね、レベル制限も付いてないし、すぐに使えるのもいいわね」

「タキサイキアってなんだ?」

「う~ん……確か危険を感じた時や凄く集中してる時なんかに、周りの動きがゆっくり見える現象だったと思うけど、ちょっと待ってね、スキルの詳細見てみる」


「えっ、そんなのわかんのかよ?」


一般的な鑑定スキルは、スキル名なんかはわかってもその詳細までは見ることはできない。だけど確か恵麻って……。


「あんた、前に言ってた恵麻の話全然聞いてないわね。恵麻はユニークスキルで鑑識眼を持ってるのよ」

「あああっ、そうだったな」


「わかったわよ。やっぱり動きがゆっくり見えるようになる効果みたい。集中すればするほどスローモーションになるようね。最大で五倍スローだから、150キロの速球も30キロに見えるくらいになるわよ」


「凄いな。動きが早くなって、さらに敵の動きがスローに見えるのなら最強だな。回避タンクの朝陽にぴったりの装備だ」

「おい、勝手にタンク認定するなよな」


しかし現実、朝陽がPTのタンク役なのは間違いない。僕が代われればいいんだけど、僕にはどう転んでも無理な役割だ。


「おい、次は【LR】指輪を鑑定してくれよ、LRのアクセなんて絶対凄い物だよな!」

「はいはい、ちょっと待ってね」


朝陽が興奮する理由もわかる。アクセサリー装備は恐ろしくドロップ率が低いのは、初心者の僕でも知っているくらい有名だ。だからちょっとしたマジック装備のアクセサリーでも、とんでもない値段が付いたりする。


「うわ……これ、今までの装備の中でも特にヤバいヤツだ……」

「どうヤバいんだ! いいのか! 悪いのか!」

「great wizard ring of mythology神話級の偉大なる魔法使いの指輪 これ、ユニークアイテムよ」

「ユニークだって!!」


唯一無二、他に存在しない貴重なアイテムが初冒険の初心者PTへともたされた。ユニークアイテムの効果はピンキリではあるのだけど、その同一の物が他になりという特性からかなりの価値があった。


「そ、それで効果はどんなんだよ!」

「魔力量520%アップ、魔法攻撃力750%アップ、それに全魔法耐性80%、精神異常無効、わわわっ──……さらに全ステータス50アップ、スキル【疾風の魔導士】、スキル【守られし者】……ぐっ……ダメ、気絶しそう」


「やべー! ちょっとそれはヤバすぎないか!?」

「いくらなんでも強アイテムすぎるな」

「それヒマリがつける!!」

「いや、性能的に理央が適任だろ。これがあれば火力がもう一人増えてより効率的に狩ができる」

「そうだな、ヒマリはレベル50になったら、ライトニングボウガンが待ってるから、今回は我慢しろ」

「う~ん、そっか、わかった我慢する」


「凄いアイテムを装備できるのは嬉しいけど、なんだかプレッシャーね」


指輪にレベル制限がなかったので、即装備となった。これでPTの戦力は大きく向上した。なんともドロップが良すぎるような気もするけど、未知のダンジョン階層にいる不安もあるので、そんなことを気にしている余裕もなかった。

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