第12話 エリート?
ランチを終えると、短いコーヒーブレイクを挟んで、さっそく本格的なレベル上げを開始した。
「作戦は一つ! みんなで敵の気を引き付けてる間に、碧が炎の剣で敵を斬って倒す! これだけだ!」
炎の剣とは、追加延焼ダメージ効果のあるロングソードのことで、朝陽が言い始めた。強力な炎の剣だけど、それに加え、碧は”炎の小手”を追加で装備している。炎の小手はボッチナン産の未鑑定だったレア小手の鑑定をおこなったもので、これが中々の良品だった。攻撃スピード30%アップに炎属性ダメージ50%アップの効果があり、炎の剣と組み合わせると、さらに火力アップが期待できる。
10分ほど歩き回り、最初のターゲットを発見した。相手は巨人系のモンスターで、ギガントヘカーというらしい。レベルは98とさっき倒したエウロザウロより格上だ。
「あれはやめとこ」
10mほどの巨体、朝陽がびびったのかそう提案する。
「いや、確かにでかくて怖いが、俺たちにはああいう鈍そうな相手の方が相性がいいと思う」
「そうですね、早くて攻撃力の高い相手や、知能の高い魔術師タイプの敵の方が厄介かも、なんせこちらは正真正銘の低ランク初心者PTですからね、攻撃食らったらまず間違いなく即死ですから」
「たくっ、この感じだと多数決でまた負けそうだな。わかったよ、やりゃーいんだろやりゃー」
覚悟を決めたのか、朝陽がギガントヘカーの前に飛び出した。ギガントヘカーはすぐに朝陽を睨み付け、殺気を放って襲い掛かってきた。
「碧!! 早めに頼むぞ!!」
まともに戦えるわけないのですぐに走って逃げ回る。ギガントヘカーはそれをドシドシと重い歩みで追いかけ始めた。
その隙に碧はギガントヘカーの後ろに回り込む。
「よし、僕たちはいざとなったらギガントヘカーの気をそらせるように周りに待機しよう」
僕の提案に頷くと、各々、ギガントヘカーに気づかれないように移動する。だけど、もしかしたらその必要はないかもしれない、それくらい朝陽は上手く逃げてくれていた。そして碧も、早めの要望に応えるようにすでに攻撃態勢に入っていた。
「碧!!! 早めにって言ってんだろ!!」
「わかってる!!」
後ろからギガントヘカーに近づいた碧は、足の付け根辺りを狙って、炎の剣で斬りつけた。炎の小手の効果か、恐ろしく鋭く早い剣撃は、ギガントヘカーを前のめりに倒すほどの威力で、820ダメージを与える。さらに傷口から炎を噴出させ、延焼ダメージも表示され始めた。
1102……1240……1085……炎の小手の効果もあるのか、あきらかに延焼ダメージ量が増えていた。そのダメージの陳列にさすがのギガントヘカーも耐えることができずにすぐに絶命する。
その瞬間、レベルアップの知らせと、複数のドロップ品が表示される。
【UR】盾
【SR】靴
【LR】指輪
【RRR】ルーンストーン
【RR】マジックアイテム
「凄いレアが五つもドロップした! もしかしたらエリートモンスターだったのかも」
「エリートってなんだよ」
恵麻の言葉に朝陽が質問する。
「ちょっと通常より強くなるけど、ドロップ確率が高くなるモンスターの亜種の名称だよ。メルティライナーのゲーム内だと、妙なオーラが出ててすぐわかるんだけど、この東京ではそんなオーラなかったから違うかもしれないけどね」
「まあ、違ってもいいんじゃねえか、ドロップしたのは現実だしよ」
「ドロップもうれしいけど、この経験値も半端ないな」
「私、もうレベル28なんだけど……このペースならレベル50もすぐかもしれないわね」
「ヒマリも26だよ! すぐあの武器使えるようになるよね」
レベルは高レベルになるにつれてレベルアップに必要な経験値は増えていく。なので、そう簡単ではないだろうけど、思ったよりは早く目標レベルまで上がりそうではあった。
「このまま次の獲物をさがそうぜ」
「いや、待て、これだけ色々ドロップしたんだ。もしかしたら戦力アップできるかもしれない、面倒くさいけど、一度拠点に戻って、鑑定して装備を確認しないか?」
「それがいいかもしれないわね。今の戦い方だと碧と朝陽の負担が大きすぎるわ」
安全第一、碧と理央の提案に従い僕たちは一戦終わっただけだけど拠点に戻ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます