第2話 僕のパーティーメンバー

僕たち、パーティーマッチングでの余り物グループは、パーティー編成を済ませて会場近くの喫茶店へと移動していた。


「とりあえず、自己紹介からしよう。ちなみに俺は黒田碧くろだあおだ。年齢は20、ジョブはチャンバラナイト、戦闘ランクはGだ。ジョブ名からして戦闘職みたいなんだけど、戦闘ランクGって泣けてくるよな」


確かに戦闘職で戦闘ランクGは悲しすぎる。


碧に続いて、茶髪の男、かなり顔立ちの整った女子ウケのよい感じの青年が自己紹介を始めた。


「俺は向井朝陽むかいあさひだ。年齢は21で、ジョブは戦闘ラングGのエンチャンターってのだ。なので戦力としては期待しないでくれ」


「ちょっと待ってください。エンチャンターって魔法職ですよね? しかも付与師としての技能もあって、かなり重宝されているジョブのはずですけど」

そう説明してくれたのはメガネをかけたボブカットの真面目そうな女の子で、スマホを見ながらそう言う。


「えっ!? そうなの? 知らねえけど戦闘ランクGだし、弱いぜ」

「おかしいですね、戦闘ランクも確かDだったはずですけど……あっ! 朝陽さん、よく見てください、貴方のジョブですけど、正確にはエンチェンターbって書いてますね」

「bってなんだよ」

「さぁ~どういう意味でしょうか」


少しの沈黙の後、不毛さを感じたのか碧が話を戻す。


「まあ、考えても戦闘ランクがあがるわけでもないし、自己紹介を続けようぜ」

「確かにそうですね。申し遅れました。私は水上恵麻みなかみえま、年齢は18歳、ジョブは鑑定士で戦闘ランクはG、もちろん戦力にはなりません」

「えっ、鑑定士ってアイテムのパラメータが見えるジョブだよな」

「そうです、しかも私にはユニークスキルで鑑識眼ってのがありますので、アイテムの詳細能力まで丸見えです」

「すげーな、てかそういうサポート能力って役所で重宝されてるんじゃなかったけ?」

「はい、都政府で年収2000万で求人がある能力です」

「2000万!! おいおい、どうしてそんな奴が無理してシーカーなんかになってんだよ」


「それは……」

「まあ、いいじゃねえか、これで高い鑑定代の心配はしなくていいってことだからな、戦闘ランクがGだろうが、このメンバーじゃ一番役にたつんじゃねえか」

「確かにそれは間違いなさそうだな」


碧と朝陽は納得したように決めつけた。


「ちょっと待ってよ、ヒマリは戦闘ランクFなんだから! 一番はヒマリだよね」

「いや、残念だがそこの露出姉ちゃんがEランクだからランクで言えば一番だ」

「露出姉ちゃんってなによ! 私は次藤理央じとうりお、ジョブはマジックチャンター、魔法使いよ。貴重な魔法戦力なんだから崇めなさい!」

「確かに貴重だよな……しかし、そんな貴重な戦力がどうして余り物になってたんだ?」

「……──選り好みしてたら気が付いたらあんたたち以外誰もいなくなってたのよ」

「うはっ、確かに貴重な魔法戦力だけど、魔法職の中では下位のほうだからな。無理してPTにいれなくてもいいって判断されたんだな」

「的確な分析しなくてもいいわよ!」


「それで、最後はお前だな」


いよいよ、僕が発言する番となった。今日会ったばっかりの人たちの前で喋るのは緊張する。

「ぼ、僕は源健太みなもとけんたです。ジョブは楽人で、戦闘ランクはGです。あと、ユニークスキルで大幸運++というのが付いてます」


「”らくじん”ってなんだよ。想像もできねえな」

「確かにジョブはよくわかりませんけど、大幸運は確かレアスキルですよ!」

「よく知ってるなメガネ」

「水上恵麻です! 私はメルティライナーのプレイヤーでしたので、ある程度の知識はあるんです!」

「鑑定できるうえにゲームプレイヤーかよ。無茶苦茶便利な奴じゃねえかよ」


確かにひいき目に見ても恵麻は最高の掘り出し物だと思う。


「大幸運ってどんなスキルなんだ?」

「確か、ドロップ率アップの効果があったと思いますよ」

「おっ、そりゃいいな、いっぱい素材とか装備を落とすんだろ? 儲かりそうじゃないか」

「確かにそうなんですけど、メルティライナーではアップ倍率が微妙で、外れレアスキルなんて言われてたんですよね」

「何倍にアップするんだ?」

「確か1.2倍だったような……あれ、それは幸運スキルだったかな、大幸運はいくつだったけ」

「まあ、その程度ってことか、確かに微妙だな」

「でも、健太の大幸運って++って付いてるよな、これはどういう意味だ?」

「なんだろう、確かに聞いたことないな」

「誤植じゃねえの?」

「いや、役所のステータスカードがそんなミスするか?」

「う~ん、確かにそうだけど、大した問題じゃねえだろう」


ということに話はまとまってしまった。まあ、本人の僕もどうでもいいことなので気にはならない。どうせ大したもんじゃないだろう。


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