第5話…成功
0:1ヶ月が経ったある日
小夏:お願いしますお願いしますお願いしますー!
剛志:だめだ!
れな:め!
小夏:一生のお願い!
剛志:一生のお願いは1回限りだろ!?お前の場合、週に2回なんだよ!わかる!?
小夏:わかるー!すごくわかるー!
剛志:わかるなら断れ!
れな:ママと一緒がいいー!
剛志:俺だってガキと居たくねーよ!
小夏:二人とも!わがまま言わないの!
剛志:おめーだろ!わがまま言ってるの!
小夏:えー。だってあたし住所とかその他もろもろ決まってない状態だから保育園の手続きややこしくなるんだよー?まだ保育園には入園出来なそうだし
剛志:なら早く住む場所決めろ!
小夏:ん!んんん!!
剛志:な、なんだよ
小夏:これだから童貞は
剛志:ぶち殺すぞ!!その態度でパートやりたいは無しだ!
小夏:にゃははー!でももう面接受かっちゃったんだよねー。英語喋れるから割と高い時給で働けるんだよー?
剛志:だとしても!なんで俺の土日休みをお前の子供の面倒で潰さなきゃいけねーんだ!
小夏:あたし毎日れなの面倒見てるんだけど!?
剛志:ああそうだな!でも俺はこいつの父親じゃねーし俺らは夫婦じゃねー!
小夏:それもそっか。夫婦じゃなかった
剛志:わかったならパートの仕事断れ
小夏:断ったらあたしとれな、ずっとこの家に居ることになるよ?
剛志:うっ。なんて脅し文句だ
れな:れなはママと一緒に居るー!
小夏:よしよーし。れなはママが居なくても楽しく遊べるでしょ?おじさんと仲良く遊んでてね?
れな:うん!おじさーん!おもちゃであそぼー!
剛志:今じゃねーよ
0:そして1週間が経つ
小夏:じゃあ、初出勤いってきまーす!
れな:いってらっしゃーい!
剛志:はあ。なんでこんなことになったんだ
れな:おじさんゲームしよー!
剛志:おいおい、お前の母親のデータで遊べよ!?
0:そして夜になる
小夏:ただいまー
れな:おかえりー!ママー!
小夏:れなー!いい子にしてたー?今ご飯作るからね
れな:ハンバーグ食べたーい!
小夏:じゃあ今日はハンバーグね。
小夏:ただいま、剛志
剛志:ん?ああ。おかえり
小夏:……にゃは!
剛志:な、なんだ?
小夏:にゃはーん!なんだろうね!
れな:あー!ママが笑ったー!
小夏:にゃっははー!ママも楽しくなってきちゃったよー
剛志:変なやつだな
0:夜になる
れな:………ママ
小夏:ん?どうした?
れな:今、幸せなの?
小夏:どうして?
れな:ママと……約束したじゃん
小夏:そうだね、約束したね
れな:ママが……幸せそうに笑ったとき……んー(寝息)
小夏:……ん?あら、寝ちゃった
剛志:何か言いかけてなかったか?
小夏:そうだね。でももう寝たし、よーし!今日は久しぶりに仕事したから飲むぞー!
剛志:酒好きなのか?
小夏:一本飲むくらいはねー。今日は生ハムユッケだよー
剛志:う、美味そう……小夏の作るツマミは酒が飲みたくなるんだよな
小夏:そりゃああたしチョイスだからねーはいビール
剛志:ありがとう
小夏:じゃあカンパーイ
剛志:カンパーイ
小夏:かぁー!たまらん!
剛志:仕事終わりのオヤジか
小夏:今日は何だか気分がいい!
剛志:なんかあったのか?
小夏:れなの寝顔見て
剛志:ん?
小夏:可愛いでしょ?
剛志:ま、まあ。
小夏:この寝顔が見れるのも、あたしがこうやって生ハムユッケ作るのも、剛志とビールが飲めるのも。なんかいいよね
剛志:そうだな
小夏:最近ね、あたしって何のために生きてるんだろうって、あたしの存在ってなんなんだろうって思うんだよね
剛志:昔もそんなこと言ってなかったか?
小夏:そうだね。でもあの頃はわからなかったけど、今ははっきりわかるよ
剛志:なんだ?
小夏:剛志が教えてくれたじゃん。あたしはれなのために生きてるんだって。
小夏:色々失敗したけど、れなを産んだことは絶対失敗じゃない。あと、もう一つ
小夏:剛志の所に戻ってきたことも、失敗じゃないよ。大成功!
剛志:そ、そりゃよかったよ
小夏:そういうぶっきらぼうなところも、口下手なところも、たまに素直になるところも。剛志と一緒に居ると改めて思うんだよね
剛志:な、何を思うんだよ
小夏:幸せってなんだろうって
剛志:幸せ?
小夏:そう。昔は彼氏が出来たら幸せなのかなーとか結婚したら幸せなのかなーとか、子供が出来たら幸せなのかなーって思ってたけど。今のあたしは多分そうじゃない
小夏:ただいまって言ったら、おかえりって言ってくれる人が居る。ただそれだけで幸せなんだなーって思った
剛志:……そ、それだけか!?
小夏:うん。それだけ
剛志:…………
小夏:ねえ、剛志
剛志:なんだよ
小夏:あたしとエッチする?
剛志:ぶっ!!ふ、ふざけ!……ふさげんな。しねーよ!
小夏:ちゅーくらいならしてもいいけどなー
剛志:し、しねーって!
小夏:しないのー?
剛志:し、しねーよ
小夏:残念だぁー
剛志:相変わらず冗談ばっかだな
小夏:冗談ねー。確かに冗談だけど8割本気だよ?
剛志:………お前、酔ってるな?
小夏:にゃはーん!酔ってるよー
剛志:もういい!俺は寝る!お前明日も仕事だろ?
小夏:うん。あたしも寝るよ
剛志:(M)小夏の幸せは本当に小さなことかもしれない。たったそれだけなら俺でも出来そうなことだけど
剛志:(M)それをすることによって、俺が小夏を幸せにしたいって思ってるみたいで、何故か恥ずかしさがあった
0:そして次の日
れな:おはよーママー!
小夏:おはよーれな。今日もママお仕事だから待っててねー
れな:うん。パパとお留守番するー!
剛志:パ、パパ!?何言ってんだお前!
れな:パパだもんねー!
小夏:うん。パパとお留守番してな
剛志:お前まで!
小夏:じゃあねー!いってきまーす!れな、パパ
剛志:………あ
剛志:一体何がどうなってやがる
れな:パーパ!
剛志:ん?
れな:ママと結婚してくれてありがとー!
剛志:は、はあ!?ま、まだ結婚してねーよ
れな:まだ結婚してないの?
剛志:まだっていうか、なんというか
れな:でもパパだもんねー!
剛志:前のパパはどうなったんだよ?
れな:ママの約束だと、パパじゃないのかな?
剛志:なんだ、その約束って
れな:パパには内緒ー!
剛志:な!なんだよこいつら!
0:【間】
0:そして小夏が帰ってくる
小夏:ただいまー
れな:ママーおかえりー!
小夏:れなー!あなたは相変わらず可愛いねー!
れな:ママの方が可愛いー!
小夏:ありがとー!……ん?
剛志:お……お、おかえり!
小夏:……にゃはー!
剛志:……っ!
0:小夏は剛志に抱きつく
小夏:ただいまー!
剛志:お、おい離れろって!
小夏:どうしてー?おかえりのちゅーは?
剛志:は、はあ!?なんでんなこと!
小夏:んー?
剛志:……っ!
剛志:(M)小夏とこんな形で近づくのは高校の時以来だ
剛志:(M)あの頃は小夏は下を向いていた。後ろめたい気持ちで俺を見ていた
剛志:(M)でも今は幸せそうな笑顔で、吸い付くような輝いた丸い瞳で俺を見ている。
剛志:………く
小夏:ほら、早く
剛志:………っ!
0:剛志は勢いよく小夏の唇を重ねた
小夏:んっ
剛志:はあ…はあ……風呂入ってくる!
小夏:にゃは!いってらっしゃい
0:剛志は風呂場に行く
小夏:……にゃはっ。痛いっての。童貞
小夏:今までのちゅーで一番キュンとしちゃった
小夏:先にお風呂入っちゃうし、便座は上げっぱなしだし、部屋は散らかってる
小夏:ほんと、剛志は女の子の気持ち考えられないよねーあの頃となーんにも変わらない
小夏:でも……少しずつ気持ちが変わってくれるなら、あたしはついて行くからね。童貞パパ
0:そして夜になる
れな:いけー!頑張れー!プイキュアー!
剛志:今日はやけに元気だなー
小夏:れなに寝て欲しいの?
剛志:うげ!
小夏:お隣失礼
剛志:く、くっつくなって言っただろ?
小夏:これくらい全然くっついてないでしょー?なんか敏感になってない?
剛志:お前のせいだろ!
小夏:あたし何もしてないじゃん。してきたのは剛志の方でしょ?にゃは!
剛志:うるせーな!そういう雰囲気にしてきたのお前だろ!
小夏:もうーあたしのせいにしてー。したかったからちゅーしたって言えばいいのに
剛志:だーから!ハッキリと言うなよ!
小夏:恥ずかしかったんだねー。よちよち
剛志:くそうぜー
小夏:でもさ。よく言うじゃん?恋は駆け引きだって
剛志:なんか聞いたことあるな
小夏:好きになった方が負けとか惚れた方が負けってやつ
剛志:それがどうした?
小夏:ほら、あたしも昔剛志に負けたくないとか言って色々強がってたけど、今の現状を考えたらそれは違うんじゃないかなーって思ったんだ
剛志:ん?
小夏:負けてよかったんだよ。あの時からずっと。あたしは剛志に負けて好きって言うべきだったんだ
剛志:………それは…どういう
小夏:今、あたしが剛志のこと好きになって、れなも一緒に居て、こんなに幸せなんだもん。それなら負けでいい
剛志:………
小夏:だからさ、剛志
剛志:うるさいぞ
小夏:………え?
剛志:勝ち負けじゃないだろ……人と人ってのはさ
小夏:……うん。例え話だからね
剛志:なんかわかんねーけど、お前が死にたいって言った時、なんでお前が死ななきゃいけないんだって思ったんだよ
小夏:どうして?
剛志:だって、お、お前は料理も上手くて、気が利くし、子供にも優しいし、か、か、可愛いだろ!
小夏:………
剛志:手だって柔らかいし、体だって折れちゃうんじゃないかってくらい華奢だし、ネイルだってオシャレだろ!金髪の髪でもサラサラしていい匂いするし!お前を見てると……ドキドキすんだよ
剛志:そんなお前が俺のところに来てくれて……おちょくってきてうぜーけど、なんか憎めなくて……そうやって笑ってるお前を見てると…なんか……なんかな……
剛志:幸せなんだよ
小夏:…………にゃはっ
剛志:だからさ、俺でよかったら……夫婦にならないか?
小夏:…………いいの?
剛志:お、おう
小夏:まだ付き合ってないけどいいの?
剛志:ま、まあそこは段階を踏むかもだけど
小夏:あたし、バツイチだよ?
剛志:うん。いいよ
小夏:パパ活もしてたし、汚れた女だよ?
剛志:うん。別にいい
小夏:子供だっているんだよ?
剛志:お前の目の前にいるやつはなんだ?
小夏:………
剛志:俺は童貞だぞ?これから迷惑かけるのは明らかに経験が少ない俺の方だ
小夏:……ぷっ!にゃっははははは!!!
剛志:わ、笑うなよ!
小夏:カッコつけてるけど全然かっこよくないよー!
剛志:……あ、おい、れな動画見ながら寝てるぞ
小夏:あ、ほんとだ風邪引いちゃう
剛志:俺達も寝るか
小夏:うん。そうだね。今日は剛志の隣で寝たい
剛志:……わ、わかったよ
小夏:にゃはっ
剛志:(M)俺と小夏は夫婦になる約束をした。まだ付き合ってもないから話が飛びすぎてるかもしれないけど、必然のような気がした
剛志:(M)小夏を好きかと言われればよくわかんない。けどやっぱりあいつを見てると俺は幸せな気分になれる
剛志:(M)なんでか知らんがれなも俺の事パパって呼んでるしちょうどいいのかもしれない
剛志:(M)何もかもが希望に満ちている。きっと3人で幸せな未来が待っていると思っていた。
剛志:(M)次の日のこと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます