第11話 簡単には行かないが手はあるはず
二回目のデート?も見事に敗北した。今日は、なるべく友坂美琴の事を知ろうと思って色々聞きたかったのに。
結局俺だけ喋って彼女は何も話さずに帰ってしまった。こうなると何とかして彼女の気を引きたいと思う気持ちが出てくる。
それに親父に馬鹿にされそうだ。好きな女一人手に入れられないのかと…。最初は簡単に手に入ると思ったんだけどな。
仕方なく、また他の女友達を呼んで会った。美味しいお昼をご馳走して、ラブホに行って時間を過ごした。
こいつだって美味しい食事が出来て、好きな事をしているんだから喜んでくれている。なんであの子はそうじゃないんだ。
だけど、俺も高校生。もうすぐ中間考査だ。次の日曜日と振替休日の月曜日は勉強した。まだ一年の二学期の中間考査だが、甘く見る気は無い。
下手に成績を落とすと父親は勿論だが、クラスの連中もそれなりの目で見てくる。
その次の日の火曜日、学校に行って授業の中休みに窓から外を見ていると、また清塚が寄って来た。
「金丸、どうしたんだ。また黄昏る様に外を見ていて。最近のお前おかしいぞ」
「何でもない…んだと言いたいんだけど、分からない事が多くてさ」
「ほう、お前の事だ。勉強の事じゃないよな。相談に乗ってやってもいいぞ」
こいつに弱みは見せたくないが、背に腹は代えられない。
「昼休み、学食で相談させてくれ」
「じゃあ、B定食、唐揚げ二個付きでどうだ」
「分かった」
男だってこんなものなのに。
俺は、清塚と一緒に学食に行ってあいつの分と俺の分をチケット自販機から買うとチケットを渡した。
カウンタで並んでいる時に
「ところで相談事ってなんだ?」
「お前だから変なバイアス掛からずに答えられそうな事だ」
「ふーん」
清塚は、モテるくせして彼女を作ろうとしない。かと言って男の方って訳でもない。だから俺とは違った視点から何かヒントを教えてくれる気がする。
なるべく他の生徒がいない隅のテーブルに行って二人で座ると食べながら話した。
「実はな、女の事だ」
「…まあ、聞くよ」
上手そうに唐揚げを食っている。ちょっと頭に来るが仕方ない。実際ここの唐揚げは大きくて美味い。
「例えばだ。ある女の子が居たとする。仮にB子としよう。それをAという男の子が気に入った。好きになった訳じゃない。
そのB子には、彼氏がいるのかいないのかは分からない。だけどAはB子と仲良くなりたい。
そこでAは美味しい食事をご馳走したり、好きそうな洋服やアクセサリを買ってあげたら、遊びでも付き合ってくれと思った。
だけど、B子は高級レストランなんか入らない。〇ックでいい。割り勘で良い。洋服やアクセサリなんか買って欲しくない。
ドズニーランドの全ての乗り物が優先パスで乗れるチケットが取れたと言っても興味無いって言うし。
じゃあ、お金じゃないなら、その子の事を先に知ればいいと思ったけど、何も話してくれない。
B子はAの今迄の経験の範疇に無かった考えの持ち主らしい。だけど何とか付き合いたいとも思っている。
何とか出来ないかとAは俺に相談して来た訳だ。だが俺もその範疇の子は理解出来なくて、上手く答えられないんだよ」
「なるほど、金丸としてはその子を何とか手に入れたいが金じゃ釣れないという事だな」
「いや、俺はそのAに頼まれたんだよ」
「そうか、女の子には百戦錬磨の金丸も自尊心を傷つけられて、何とかしたい訳だ」
「あのなぁ、人の話聞いている」
「ああ、聞いているから話しているんだ」
「もう、分かったよ。で、何とか出来ないか?」
「そのB子はこの学校の子か?」
「違う、他校だ」
「そうか。なら相談に乗るか。これ以上金丸に可愛い女の子を取られるのは、この学校の男子が可哀そうだからな」
「はぁ、分ったから。何かいい案無いか?」
「まあ、言えるのは、その子が今の金丸に全く興味無いって事だ。お前はイケメンだし、背も高い、その上、勉強も出来るし、金持ちの息子だ。
普通の子なら靡くだろうけどな。
先ずはイメチェンだな。その子の好みに合う様にだ。最初は髪型、次に洋服。一回では駄目だろうから、何回か会って確かめる必要があるな。
後、その子の内面を褒める。自分の自慢話は欠片もしない事だ。
その子が少しで口を開いてくれたら、今度は軽い相談をする。なんでもいいんだ。でもその子の考えを聞きたいという思いをしっかりと出して。
後、その子の洋服や持ち物を見て趣味や好きな物を考える。そして決して高くないけどその子の心に届くような物をプレゼントする。
一回じゃあ貰ってくれないだろうけど、何回も厭らしくない様にスッと渡す事が出来れば、その子の心はお前に開かれたと思えばいいさ」
「なあ、それって、随分時間かからないか?」
「かかるだろうな。なにせ、聞く限り今のお前を見るのも嫌だ位に思われているんだから。ところでなんでそんなに執着するんだ?
どこかの凄いご令嬢か、それとも絶世のカワイ子ちゃんか?」
「可愛いけど、お金に困っている家の一人っ子」
「はぁ?その子に執着してなんかメリット有るのか」
「あるとしたら俺の自尊心を維持できる」
呆れたそれだけかよ。
「まあ、頑張ってくれ。そろそろ戻らないと昼休みが終わってしまうぞ」
「ああ、そうだな」
取敢えず、目の前に迫った中間考査が終わってからにするか。しかし、今の髪型気に入っているんだけど。
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