質問系企画への回答集

有明 榮

カク人たちへの13の質問に答えてみた

グラシャーノーの無駄口ときたら、まさに窮まるところなし(ヴェニスの商人/シェイクスピア)

【質問1】

 まずは、ペンネームを教えてください。また、そのペンネームの由来を教えてください。


【回答】

 有明榮(ありあけ・さかえ)と申します。

 ペンネームは大学時代に決めました。イギリスでかつてOasisというバンドが一世を風靡していたのですが、そのバンドの名盤のタイトルが


(What's the Story)Morning Glory?


 っていうんですね。これが本当に名曲ぞろいでして。ファンの間では「ベストアルバムよりもベストアルバム」なんて言われることもあるんですよ。何しろOasisのアルバムの中では最高売上を記録してますし、イギリスでも歴代5位の売り上げを記録したものですから。

 暴風雨のように吹き荒れる鋭利なサウンドと、凪いだ湖面のように澄み渡る優しいサウンドという、一見相反する音楽性がそれぞれの楽曲の中で生かされ、アルバムの中で見事にまとめ上げられているんですね。

 機会があればぜひ聞いてみてください。


 で、その中にアルバムタイトルとなっている「Morning Glory」って曲があるんですよ。これがわたくし非常に好きでして。

 あ、YouTubeのリンクも貼っておきますね↓

 https://youtu.be/Wm54XyLwBAk?si=jSMtYIMu3xAiBsf5


 この曲か、Oasisをリスペクトしたペンネームにしようと思ったわけです。

 それで、

「Morning……朝……夜明け……有明!」

「Glory……勝利……名誉……誉……栄光……栄え……榮!」

 って感じで、このペンネームになりました。


【質問2】

 あなたが得意としているジャンルはなんですか?

 下記から選んでください。複数回答可。

 異世界ファンタジー

 現代ファンタジー

 SF

 恋愛

 ラブコメ

 現代ドラマ

 ホラー

 ミステリー

 エッセイ・ノンフィクション

 歴史・時代・伝奇

 創作論・評論

 詩・童話・その他


【回答】

 現代ドラマ≧異世界ファンタジー>SF>エッセイ・ノンフィクション

 ですかね。わりと多岐にわたると思います。


 わたくし、自分で言うのもなんですが人間のネガティヴな心の動きに興味がございまして。それで、ドラマとかSFではそういうちょっと仄暗さみたいなのを意識しております。

 異世界ファンタジーにつきましては、非常に設定厨なものですから、世界の解像度をとりわけ意識しています。


 この辺りは後で詳しく語りましょうか。


【質問3】

 あなたが書く小説の長さはどういったものが多いですか?

 掌編 (400~800字)

 ショートショート (800~4,000字)

 短編 (4,000~40,000字)

 中編 (40,000~120,000字)

 長編 (120,000字~)


【回答】

 ショートショート、短編か、長編か。

 かなり極端です、はい。

 こうなりがちなのは、わたくしが生来凝り性なのが影響している気がします。


 ヒトの心を深く見つめて鮮烈なワンシーンを切り取るか、物語が進行する世界の解像度を極限まで高めて細部まで緻密に語るのか。どちらもあれこれ深く考えて、細部にまで拘らないとできないことだと思っています。


 極端なことに良し悪しはないと思いますが、こうなってしまうのもある種、必然なのかなあ、と。


【質問4】

 あなたが小説を書く上で最も意識しているのは何でしょう?

 下記の中から最も近いものを選んでください。複数回答可


 ・濃いキャラクター設定、その設定に沿ったキャラクター描写

 ・物語の起承転結

 ・読者の期待に応える展開

 ・読者の期待を裏切る展開

 ・心情描写

 ・流行に沿った内容

 ・普遍的な内容

 ・会話文のリズム

 ・地の文の分かりやすさ

 ・文学的な読み応え

 ・エンタメ小説としての面白さ

 ・推敲

 ・その他


【回答】

 ・濃いキャラクター設定、その設定に沿ったキャラクター描写

 ・物語の起承転結

 ・読者の期待を裏切る展開

 ・会話文のリズム

 ・地の文の分かりやすさ

 ・文学的な読み応え

 ・エンタメ小説としての面白さ

 ・その他:勢い、物語世界への解像度


 う~む、絞ろうと思ったんですがなかなか絞り切れませんでした。


 一つ言い切れるのは、流行に乗ることはほとんどない、と言うことですね。天邪鬼と言いますか、逆張りクソ野郎と言いますか……。

 もちろんアンテナを張って流行を鋭敏に察知して、読者のニーズに応えるスキルは非常に高度なものだと思っています。

 しかし、それ以上にわたくし自身の好み・意見・考えというか、精神といいますか、魂といいますか……そういう(アマチュアながら)作家としての矜持が作品に反映されていることが、創作においては非常に重要だと思っています。

 活動する上での堅固な核になりますから。


 それから、推敲もほとんどやりません。書いた時の感性が、作品に面白みを与えてくれる、といいますか……要は鮮度みたいなものを大事にしてます。

 音楽でもそうじゃないですか。音源ももちろん良いですが、ライブやフェスって特別官ありますよね。あの閉じた一回キリの場でしか味わえない空気感、高揚感、一体感。ベンヤミンの言葉を借りれば、芸術の一回性、それによって生じる「アウラ(オーラ)」ですね。主客未分の没入感が、音楽の味わいを一段と高めてくれるわけでして。わたくしはそれと同様、物語世界に没入し、文章を書いている中で味わった感覚を大切にしています。

 サンボマスターはレコーディングを一発撮りでやるらしいのですが、それに似ているかもしれません。

 あ、もちろん誤字脱字や論理的整合性には気を使いますよ。

 ですから逆説的に、書くときには勢いに乗って、ツインターボの大逃げのごとく一気に書き上げますね。

 ついでにツインターボが大逃げをカマしたレース映像(1993年オールカマー)のリンクも貼っておきますね。わたくしは競馬も非常に好きなのですが、このレースは最も好きなレースのひとつです。↓

 https://youtu.be/T4KKOgkGX4s?si=tKgXFEUFqLjfvVyB


 もっとも大切にしているのは、物語世界への解像度です。

 元々解像度が高く重厚感のある小説が非常に好きでした。

『デルトラ・クエスト』をはじめ、『守り人』シリーズ、『ゲド戦記』、『ハリー・ポッター』シリーズ、『指輪物語』、『ナルニア国物語』。ゲームでいえば、『モンスターハンター』……子供のころから、こういった地理的・生物的に完成した世界に足を踏み入れるたびにワクワクしておりまして。


 創作の立場の根源はここにあると思います。そして、新しい世界を構築しようとすると、次の疑問が私の頭にわいてくるわけです。

「今この世界では何が起こっているのか? それはなぜ起こっているのか? 主人公たちにどのように関連し、彼らはそれとどう向き合うのか?」

 物語に厚みを持たせるのであればその世界の事をもっとよく知らねばなりません。


 これは世界史の考え方に似ているかもしれません。

「なぜ大英帝国は七つの海を支配したのか」

「なぜナチスは政権を支配できたのか」

「なぜ帝国主義が誕生したのか」

「なぜ文明はユーラシア大陸で発展したのか」

「なぜヨーロッパは世界中に植民地を持ったのか」……

 この辺りの考え方は、大学時代に読んだ有名な著書の影響が非常に大きい気がします。ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』、同著者『文明崩壊』、マクニール『世界史』、リドレー『赤の女王』などなど……。


 とにかくそういうわけで、世界に対する解像度はとても大切にしております。


【質問5】

 一人称視点と三人称視点、どちらの方が書きやすいですか?


【回答】

 書きやすいのは一人称ですね。主人公が何を思っているのかを、文章の中にそのまま投影できますので。

 しかし、好きなのは三人称です。淡々と進んでいく場面の中からじんわり浮き上がる登場人物の心の揺れに気づいたときにしか得られない栄養素っていうのはあると思います。


【質問6】

 小説を書くというアウトプットの為に、あなたが必要としているインプットはなんですか? 以下の例を参考に自由にお答えください。

(例)

 ・ニュース等の時事ネタ

 ・普段の暮らしの中で得た刺激

 ・雑学的な何か

 ・好きで読んでいる小説や、小説以外のジャンルの物語


【回答】

 意識しているものはこれといってないですね。しかし、本はよく読みます。小説、戯曲はもちろん、専門書とか新書とかの学術的な内容が詰まったものが多いですね。ファンタジーとかSFを書く上では非常に参考になりますから。


 あとは映画も見ますね。物語構造とか、登場人物たちの間に働いている力学とか、そういうのを意識しながら見てます。あ、もちろん映画そのものも楽しんでますよ。


 それから、これは少ないと思うんですが……音楽が小説に反映されることも多いです。楽曲をめちゃくちゃ曲解して、小説にしてます。

 最近で言うと、「涙がこぼれそう:Won't Get Fooled Again」(https://kakuyomu.jp/works/16817330669633828344 )はThe BirthdayとThe Whoの曲からインスパイアを得てますし、「Wish You Were Here」(https://kakuyomu.jp/works/16817330661688156081 )はPink Floydの同名の曲を曲解してます。


【質問7】

 今までに何らかのコンテストに参加した事はありますか? また、受賞歴はありますか?


【回答】

 公募に何度か出してみましたが、いずれも惨憺たる結果です。精進が足りませんなあ。

 ということで受賞歴もないです。現在カクコン9短編賞で応募してますので、応援よろしくお願いします!!(隙あらば宣伝)


【質問8】

 ネット上にアップロードした作品へのアクセス数を増やす為の工夫や努力は何かされていますか? こんな事をしているという具体例があれば教えてください。

 特になければ『特になし』で結構です。 (『X(旧Twitter)でまめに告知しているが、アクセス数に繋がっている実感はない』等の肌感を書いて頂いても結構です)


【回答】

 継続的に自主企画に参加してます。で、気に入った作品にはレビュー、コメントを必ず残してます。要は作家同士の交流のなかでアクセスを増やそうとしてます。作家もまた読者なり。


 どの程度であっても自分の作品を読んでくれたという形が残るのは、やっぱりうれしいじゃないですか。それで作家同士の交流というか、読み合いになればいいなあ、と思います。仮にそれで相手から読まれなかったにしても、こちらは良い作品を読めたわけですから、いずれにしても私にとっては財産です。


 読み宣の方を増やすためにTwitterでつぶやいたり告知もしてますが、まあこっちは引っかかれば良い方なのかな、と……。あまり期待はしてません。


 ネットは広大だわ。


【質問9】

 今までにあなたが書いた一話完結ではない作品の、読者の完読率はどの程度だと思いますか? 作品毎に違うと思いますが、答えられる範囲でお答えください。


 例えば100話構成の作品の場合、第三話までのPVが平均100で、最終話のPVが30、50話~80話の平均PVが20であるなら、完読率はおよそ20パーセント、みたいなざっくりとした印象で答えて頂ければ結構です。


【回答】

 うーん、3割程度かな? そもそも一話完結がほとんどなので何とも言えないですね。

 連載系に至ってはわたくしが完走できてないケースが多いですので。完走しろという話ですが。


【質問10】

 これまでにあなたが書いた作品の中で一番の自信作を教えてください。もちろん、その作品のURLは添付してもいいですし、しなくてもいいです。


【回答】

「だから僕は文学をやめた」(https://kakuyomu.jp/works/16817330664148625672 )これが自信作、そしてお気に入りですね。

 初めて☆100を超えました。思いついてから二時間くらいで一気に書き上げた作品なのですが、これが意外と刺さる読者の方が多いようで。非常に嬉しい限りです。


【質問11】

 その自信作のこだわりや、その自信作を書いた時の苦労話をお聞かせください。


【回答】

 こだわりというほどでもないですが、地元の方言を使って登場人物に立体感を持たせたことでしょうか。それから、場面に臨場感を持たせられるような情景描写も心掛けました。

 苦労は特にないですね。ぱっと思いついてワッと書き上げたので。


【質問12】

 これまでにあなたが書いた作品に登場させたキャラクターの中で、最もあなたが気に入っているキャラクターは何という作品の何という名のキャラクターですか?(最大5キャラまで)

 その作品のURLは添付してもいいですし、しなくてもいいです。

 また、そのキャラクターのどういった個性が気に入っていますか?


【回答】

 うーむ、質問の趣旨からは外れそうですが……。

 わたくしにとって大切なのは物語という構造そのものでして、人物は舞台装置だと思っています。ですのでお気に入りという感覚をあまり持てない、といいますか……。

 登場人物の詳細を掘り下げていくのは非常に好きだし楽しいですが、そこに感情移入することはほとんどない、ですね。自分が操作するゲームのキャラに感情を抱かないのと一緒です。


【質問13】

 読者の皆様への一言をお願いします。


【回答】

 いつもお読みいただきありがとうございます。

 わたくしももともとは物語を書くというよりは読むサイドでしたので、いつの間にかこんな風にあれこれ語る側に立っていることに正直驚いています。

 一体どうしてこうなってしまったのやら。


 さて、わたくしの物語は楽しんでいただけておりますでしょうか。上に述べたように、わたくしは非常に理屈屋かつ天邪鬼なものですから、ウェブ小説においてメインストリームを占めるライトなエンタメを書くことはなかなかございません。そのためちょっと手を付けにくい、と思われることもあるかとは思いますが、読んでみれば味わい深い作品が多いだろうという自負はございます。とはいえこれが肥大して虎になってしまわぬよう、謙虚に、粛々と執筆は続けねばなりませんね。


 今後も博多ラーメンのように細々と、末永くお付き合いいただけますと嬉しく思います。

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