EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)33

クライングフリーマン

糾弾

 ======= この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバーでもある。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。大阪府警テロ対策室勤務。


 =====================================


 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 2月14日。

 今日は言わずと知れたバレンタインデーである。

 ひな祭りは盛り上がらないが、この日は盛り上がる、不思議な日である。

 聖バレンタイン。今時の少女達は、由来も知らず騒ぐ日である。


 午前8時。EITO大阪支部。会議室。

「かいつまんで言うと、ダークレインボーはCIAも目をつけていた。それで、日本に派遣された、和知探偵は、サンドシンドロームに殺された。その和知探偵の腹違いの兄弟ジョニーもダークレインボーに潜入していた。昨日の近江大臣邸で賊の『枝』も、おんな潜入捜査官やった。」

「これから。大阪支部も忙しくなるな、兄ちゃん。」「ああ、そやから今日は、みんなで手分けして、各地で警護しながら、様子を見る。緊急事態になったら、そっち優先や。」

 午前11時。

 百貨店の警戒警護に行っている、ぎんのチームから連絡が次々と入った。

「異常無し。」大前にとって、拍子抜けする返事ではあっても、真摯に受け取り、大前は「ご苦労さん。」と声をかけた。

 一方、鉄道の各ターミナル駅に行っている、ジュンのメンバーから「異常なし。」の連絡が入って来て、やはり「ご苦労さん。」と大前は応答していた。

 ところが・・・。

 午前11時半。

 皆を引き上げさせようとした所へ、大阪府警の芦屋一美から連絡が入った。

「四天王寺前南高校で、籠城事件発生。どうします、コマンダー。」

「どうします?行かせる積もりで連絡して来たんちゃうんか?一美。」と、大前は嫌味を言った。

「あたりー。でも、チョコレートはあげないよ。」「アホ!仕事やろが。」と、通信を切った大前は、「ヘレン、総子は?」「家でイチャついてる時間です。」「そうか、イチャついてる時間かあ・・・休ませる訳にいかんやろ。どいつもこいつも、言葉おかしいぞ。出動命令や。弥生にも現場に向かわせろ!」

「了解しました。」ヘレンは紀子とクスクス笑いながら、総子の自宅マンションを呼び出した。

 正午。四天王寺前南高校。

 行動に立てこもった生徒に、最寄りの警察署から来た刑事と、高校の校長がメガホンで説得にかかっている。

 EITOエンジェルスの格好をした、総子、二美、弥生、いずみが現れた。

「あんたらは?」「EITOエンジェルズです。」「EITOはテロ対策組織ちゃうんか?」

 刑事と総子のやりとりを聞いて、二美は「校長。立てこもった男子生徒は、拳銃を所持していると聞いていますが。」と、校長の相沢藤治校長に確認した。

「そうです。拳銃と、銃弾のケースらしきものを持っています。」

「テロです。我々は、大阪府警の委託を受けて参上しました。」と二美が言い、改めて総子は「状況は?」と、校長に尋ねた。

「立てこもった生徒は、村雨健二。同級生の清田晴美を人質に取っています。」

「要求は?」「船越メイコを連れて来い、って言ってます。」

「船越メイコも同級生ですか?」「そうです。」校長に確認した総子は、講堂に一人乗り込んだ。

「近寄るな!近寄ったら・・・。:」「近寄ったら殺すんか?そんなら、船越メイコは連れて来んでも、えんやな。分かったわ。」

 総子は踵を返して、講堂を出ようとした。

 その時、「待て!・・・待ってくれ。EITOエンジェルズ。連れて来られるんか?」と、村雨は叫んだ。

「連れて来られるかどうかは分からん。でも、やってみる。それまで、おとなしゅう出来るか?発砲しなや。」

 総子は、村雨が頷くのを確認して、講堂を出た。

 2人の会話は、EITOエンジェルズのユニフォームに仕込まれたインカムから、二美達や大阪支部の大前に伝わった。

 ヘレンは、大前の指示で、船越メイコの自宅である、道頓堀に捜査員を向かわせるように、大阪府警に打診した。

 パトロール中だった、真壁と佐々は、メイコの自宅に急行した。

 午後1時、船越メイコの家。

 チャイムを押して、応答がないので、2人は家の中に入った。2階の部屋の内外で親子が揉めている。

「バレンタインの義理チョコ、皆に配ったら、健二が焼き餅焼いたんや。いつも本チョコあげてるけど、誰が一番や!って怒りだしたんや。ウチは何も悪くない。悪くないんや。」

「チョコレートで焼き餅ねえ。とにかく、連れて行きましょう。」二美が器用に、部屋の内鍵を外から壊す間、真壁は学校の状況を説明した。

「清美ちゃんの命がかかっています。彼女を連れて行かないと、どうにもならないんです。」

「分かりました、連れて行って下さい。」と、メイコの母は泣き崩れた。

 二美と真壁はパトカーに『連行』した。

 運転席の佐々ヤンこと佐々は「ほな、いくで。」と言い、パトカーを発進させた。

 午後2時。四天王寺前南高校。講堂。

 二美、真壁がメイコを連れて来た。

「連れて来たで。」と、一緒に来た総子が言ったが、「そんなら、担任の門前千禾夫を連れて来て貰おうか?」と、今度は人質だった、清田晴美が健二から拳銃を奪い、健二のこめかみに拳銃を押し当てた。

 晴美は語り出した。「門前は、所謂『援交』していたの。メイコとね。挙げ句の果てに、売春組織にメイコを売ろうとしていた。メイコは、それでも言いなりになっていた。日頃、授業をろくにせず、『活動』していた門前は金に困っていた。メイコは『性奴隷』だった。私の、私の好きなメイコを。」

 講堂の外。

 ガラケー通信機で講堂の様子を傍受していた佐々は、校長に「『犯人』が、門前先生を連れて来い、と言っています」。と伝えた。

「私が、連れて来ます。」と、副校長が言い、走り去った。

 15分後。

 副校長が、震え上がっている門前教諭を連れて来た。

 佐々と副校長は、門前を連れて、講堂に入った。

 晴美は叫んだ。「門前。不倫を、援交をして、学校のお金を横領したわね。メイコを売春組織に売ろうとしたわね。罪を償いなさい。」

 そう言って、晴美は門前に向かって、取り出したナイフを投げた。

「危ない!!」真壁と二美は同時に叫んで、門前を押し倒した。

 総子は、メダルを晴美に向かって投げた。

「ふざけんな、アホぉ!!死んだら償えるかい!!」

 ナイフは、副校長のズボンの端に刺さったが、副校長は尻餅をついただけだった。

 二美は、長波ホイッスルを吹いた。

 所轄署の刑事が、警官隊を伴って、講堂にやって来た。弥生といずみも入って来た。

 佐々は、刑事に身柄を引き渡した。

 弥生は、健二に言った。「手の込んだ、お芝居だったわね。拳銃が本物でないことは分かっていたわ。ナイフのことまでは知らなかったのね。」

「優しい男子ね。チョコ沢山貰えそうだわ。」と、いずみが言った。

 午後4時半。EITO大阪支部。司令室。

「ちょっと早いが、みんな撤収してくれ。高校の事件は平定した。ご苦労さん。用賀隊員。皆の回収、頼むで。」

「了解しました。」という用賀の返事が力なく返って来た。

「何やあいつ。風邪か?」と独り言を言う大前に、「チョコ、誰もくれへんって、ぼやいてたわよ、あなた。」と、紀子が言った。

「あ。これのこと、用賀に言うの、忘れてたわ。」

 大前の前には、大きなチョコレートケーキがあった。早めの撤収の理由は、このケーキだった。

 ―完―


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