<予告>琳 楊賢 編

 これからどうしようかと考えて、私の頭に浮かんだのは、城外に広がる草原を風のように馬で駆けていく光景だった。


(……この町を離れてみるのも良いかもしれない。

 今まで一度も出た事のない、町の外へ)


 私は、これまでもよくお城を抜け出して城下町を探索していたけれど、城下町の外へ出た事は一度もない。


(それなら馬が必要よね。

 確か城下町のどこかに馬屋があった筈……探してみましょう)


 ――私は、馬屋で一人の黒髪の少年と出会う。

 ――危ないところを助けてもらったお礼に、恩返しがしたいと、私が告げると……


「……本当に、何でも良いのか?」


「ええ、私に出来る事なら」


「…………」


 少年が自分の手を口元に添える。

 どうやら何か考えているようだ。

 しばらくして、やっと少年が口を開いた。


「それなら、手伝って欲しい事がある」


「どんなこと?」


「俺は今、あるモノを捜している。

 それを捜すのを手伝って欲しい」


「捜し物? 何を捜しているの?」


「…………宝物だ」


 ――少年は、名を【りん 楊賢ようげん】と言った。

 ――宝探しをすることになった私たちは、一緒に冒険をするうちに、少しずつ打ち解けていく。


「……ねぇ。

 楊賢くんって、年はいくつなの?」


「十になる」


「じゅ、10歳?!

 ……ほ、本当に?」


「見えないか?」


「ううん、見える。……外見は。

 でも、言ってる事や雰囲気がまるで子供らしくないんだもの」


「……残念ながら、十歳なんだ」


(どういう意味だろう?)


 ――見た目とは裏腹に、賢くて大人びた雰囲気を持つ楊賢くん。

 ――自分に出来ないことがあると、それが許せないみたいで……


「仕方ないわ、まだ子供なんだもの」


「子供である事を出来ない理由にはしたくない」


「そんな事言ったって、子供は子供よ。

 もっと甘えたら良いのに……」


「……うるさいっ、お前に何が解る!」


「!?」


「俺は……俺は、駄目なんだ。

 このままじゃ、俺は……!」



 ⇒To Be Continued...

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