第5話 後輩ロリっ子は帰れない…?
四連休の三日目。
日用品の買い物をした帰り道。
俺は白川から送られた写真を見て笑みがこぼれる。
向こうの友達と遊んでるのか凄く楽しそうな笑顔を向けてピースをしている写真なんだが、普通の写真ならただ微笑ましいで終わったであろう。
だけど送られた写真は何故かメイド服を着た白川が写っていた。
その写真に付け加えてメッセージで『楽しみに待っててね?ご主人様♡』
そう、白川は北海道に行ったらメイドさんになっていたのである。
____いや、なんで??
凄い可愛いんだよ!?
凄い可愛いけど、そのメイド服を着るまでの経緯を知りたいわっ!
それに……なんだよっ! そのフリフリのメイド服はっ!!
可愛すぎて北海道までご奉仕されに行きたくなっちゃうよ!?
お願いしたら、着てくれそうなんだよな…
白川にご奉仕された日なんて……うん、可愛すぎて死ねるわ
なんだか秋葉原のメイドカフェとかコンカフェに行く人の気持ちが分かった気がする……
_______推しのメイド服はめっちゃ尊い…
そうして白川の可愛さを堪能している時、焦ったような声が耳に入った。
俺は声のした方に向かって歩くと、そこには女の子が地面に四つん這いになり、何かを必死に探している様子が見えた。草を分けたり、ベンチの下などをくまなく見ていることからとても大切なものなのだろう。
まぁ、目に入ったからにはお節介でも手伝いに行こう。
「えぇ…っ……やばいよぉ……どうしよぉ……っ…」
もう既に泣きそうである。
「なぁ…君、探しものか?」
「はぁえっ!?……えと……誰ですか?」
俺が急に声をかけたからか驚いた様子を見せた後に何故だか疑いの目を向けてくる。
まぁ、いきなり声をかけたらそうなるよな…
「あぁ、すまん…困ってそうだったから…探しものなら手伝うぞ」
一瞬の間を置いて、女の子は一息つくと立ち上がった。
「そうでしたか…すみません…あのっ…実は家の鍵を落として」
「なるほど…そういうことなら手伝わせてくれっ! どうせ明日まで学校は休みだしな」
最初の疑いの目が嘘のように女の子は笑顔を浮かべて御礼を言ってくれた。
「ありがとうございます…」
俺達は手分けして家の鍵を探すことになった。
彼女が言うのには今日は部活の帰りにコンビニで肉まんを買って公園で食べていたらしい。
食べ終わって家についた時に、家の鍵が無いことに気づいた。
となると無くなるタイミングはコンビニでのお会計時か部活でカバンを開ける時くらいしか思いつか無い。
俺は公園からコンビニにかけての道を探し、彼女は一度学校に引き返すことになった。
辺りは暗くなり、探しものが見つけにくくなってくる時間だ。
俺はスマホのライトで道を照らす。
あぁ…暗くてなんも見えないな…
せめて、手がかりでも見つかれば良いんだが
俺は懸命にライトを照らし続ける。
すると道の端になにやら光に反射するものを見つけた。
急いで向かって拾い上げると、それは探していた鍵ではなく100円玉だった。
普段なら嬉しい拾い物だけど今回はとても喜べなかった。
それにもうそろそろ約束した時間になるところだ、一度公園に戻るしか無さそうだな……
公園には先に女の子が待っていた。
どうやら少し待たせてしまったらしい。
「すまんっ、遅れた!」
「あっ、いえいえ!…あの……見つかりました?」
彼女の方も見つからなかったようだ
俺は頭を掻きながら説明した。
「いや…鍵は見つからなかった……君が言う、ルートはくまなくライトを照らしながら探したんだがな…力になれなくてすまんっ…」
女の子はただただ申し訳なさそうに手を振った。
「あのっ…謝らないでください!…こんな時間まで探してくれてありがとうございます!」
こんな状況でもしっかり御礼を言えるなんて偉い子だな…
外見的に小学生だろうか?
にしては大人びているから多分中学生だな…
そんな子がこんな時間まで家に帰れないのは凄く心配だ。
「あの…本当にありがとうございます…私はどこかで野宿します…」
それは流石に危ないだろう…
確か、駅の近くにホテルがあるはずだ…
でも……ラブホなんだよな……アレ
中学生をラブホに泊めさせるとかどんなプレイだよっ!
俺が社会的に死んでお巡りさんにお世話になってしまう。
だとしたら…家に泊めるしか無いよな…
いやまてよ、普通に親が帰って来るのをまてば良くないか?
なのに何で野宿なんだろう?
「普通に親が帰って来るのを待つのは駄目なのか?」
「お父さんとお母さん、旅行行ってて…明日まで帰ってこないんです…」
「そういう事か…でも流石に女の子1人で野宿は危ないぞ?」
「なら…どうすればいいんですか…?」
女の子は首を傾げながら俺を見る。
仕方がない…なら俺の借りてるアパートに泊めるしか無いよな
「なら俺の家に来いよ、部屋だけは広いんだ」
「えとえと……お兄さんってロリっ」
「じゃねぇわっ!……普通に君が心配なだけだ!」
先程までに信頼していた視線が嘘のようにジト目で女の子は俺を見つめる。
「ほ、本当ですか…? お母さんが私のことをロリコンホイホイって呼ぶんですっ…もう高校生なのにっ!…」
……えっ?
今高校生って言った?この子
全然見えねぇんだけど!?
「俺はロリコンじゃねぇっわ!!至って健全だってのっ……キスだって…まだちゃんと……」
「え?…お兄さんって童貞なんですか?」
「…っ……黙秘する…」
「あー……何か安全そうなのでお世話になります!」
なんだろ……俺の尊厳を失った変わりに、女の子からの信頼は戻った気がする。
戻ったんだけど……何か…泣きたい…
「お…おう……」
人助け、出来たしまぁ良いか…
「なぁ、そう言えば君の名前は? 俺は園咲高校2年の橘 海斗だ」
俺の自己紹介にどこか驚いたのか、手を口に当てて目を見開いていた。
「え?お兄さんって同じ高校だったんですかっ?…私1年の花宮 明奈です…えと、先輩って呼んだほうが良いですか?」
おぉ……何気ない上目遣い
これが小悪魔って言われる由縁、通りでとても可愛い容姿をしているわけか…
甘栗色の髪はサラサラと艶があり小柄な身体は庇護欲を誘う。
彼女の一挙手一投足は数々の男達を見守らせるほどの可愛さを振りまく。
学校には彼女のファンクラブもあり名前は【明奈ちゃんを見守り隊】である。
基本的に彼女に気づかれない範囲で隊員が潜んでおり、彼女に近づこうとする者は密かに異端審問会にかけられるらしい。
いや…普通にストーカーじゃね?
確かに彼女の母親がロリコンホイホイって呼ぶのも分かる。
「あの…お兄さん…?」
考え事をしていたからかどうやら返事が遅れていたようだ。
「あぁ…悪い、好きに呼んでくれ良いぞ?俺は花宮って呼ぶからさ」
「そうですか?…うーん…なら先輩にします!」
花宮は両腕でガッツポーズをして笑顔を俺に向けてきた。
うん…可愛いなコイツ…
「なぁ花宮、帰りにコンビニ寄ってもいいか?」
「はい、先輩にお任せしますっ!」
「あいよ」
俺達は、コンビニに向かって歩き出した。
黙ってるのも何だから、俺は花宮に色々話を聞いてみることにした。
「花宮は何の部活に入ってるんだ?」
「吹部です! 野球部の応援のために急ピッチで新しい曲を練習してるところなんです」
「へぇ…確かに吹奏楽部は野球部とセットな印象あるわ…大変そうだな〜」
「大変ですよ! もう、外で吹かないといけないので凄く暑いし…汗で気持ち悪いんです……でも、すっごく…楽しいんです…あの音を出している瞬間が!」
部活の話をしている時の花宮はとてもキラキラとした顔をしていて、本当に吹奏楽が好きなんだと伝わってくる。
「花宮の出す音かぁ…そう言えば、何の楽器使ってるんだ?」
「トランペットです!…私って小さくて目立たないから…だからこんな私でも目立てる格好良い花形のトランペットを吹きたかったんです!」
小さいのはわかるけど目立っては、いるんだけどな…?
「格好良いじゃん!トランペット!…でも、トランペット頑張って吹いてる花宮想像すると可愛いかもっ」
俺は想像した花宮が可愛すぎてつい笑みが溢れてしまった。
それを、どう捉えたのか花宮が抗議の目を向けてくる。
「…先輩、そんなに私にトランペットは似合わないですかぁ?」
花宮は拗ねたように口をすぼめる。
「あぁ違う違う…花宮に合ってると思うぞ?…ただ格好良いっていうより、可愛いって思ってただけだよ」
「何ですかそれぇ~…私の音聞いたら絶対格好良いって思う筈なんです!こう見えて、コンクールではソロだって吹いたんですよ?」
吹奏楽のソロってことはアイドルで言う実質センターだ
なるほど、確かにこの子はとても凄いらしい。
でも、俺の一言で一喜一憂する花宮が面白いと思ったから素直に賞賛するのは後でしておこう。
「うーん…でも聴いてみないと花宮の格好良さは分からないな~?」
「先輩って意地悪ですね…でも分かりました!…私の音を聴かせて絶対ぎゃふんと言わせてみせまふ!」
あっ、噛んだ…
噛んだこと理解して涙目になって頬が赤く染まってる。
ちゃんと言えてれば格好良かったのにな…?
でも、いちいち突っ込むのも可哀想だから、普通に答えてやるとするか。
でも______
「ぎゃふんとって…今どきの女の子でも使うんだなっ?」
やっぱり花宮を弄るのが楽しくてついからかってしまう。
「うぅ……先輩っ!」
流石にこれ以上は泣きそうだからやめておこうか。
「悪かったよ…いつか聴かせてくれよ…花宮の音をさ」
「はい!……でも先輩は意地悪だから格好良いって認めたら罰ゲームですからね!」
「えぇ?…罰ゲームかぁ…無理なヤツは勘弁な?大金とか言われても無理だし」
「私のイメージってそんな何ですか!?…お金なんて言いませんよっ!失礼ですね先輩は…普通にご飯奢るとかあるじゃないですか…」
「冗談だよっ…コンビニでアイス奢るから許してくれ」
拗ねてそっぽをを向いていた花宮が少し反応を示す。
「アイスで吊っても許しませんからね?……でもアイスは頂きます」
______ちゃっかりしている花宮だった
少ししてコンビニに到着した。
お客様に出す飲み物がなかったはずだから俺はお茶をカゴに入れる。
花宮には自分が食べるアイスを選ばせに行かせている。
「先輩っ先輩!…ハーゲンダッツってアリですか?」
お高いやついくじゃんこの子……
「先輩はガリガリ君で良いですよね?」
「何でだよっ!俺もハーゲンダッツ食いたいわ!」
「駄目です!…今日私に意地悪した最初の罰ゲームです!」
えぇ……アレぇ??
罰ゲーム始まってるの?
というか、罰ゲーム一回だけじゃないんだ…?
「最初の罰ゲームって……何回やるんだよ」
「今日私に4回意地悪したのであと3回です!」
なるほどね…でも4回も意地悪したっけな?
「なるほど…じゃあガリガリ君にするかー…別に嫌いじゃないしな」
買い物を済ませた後俺の家にまでの道を歩く。
「先輩先輩!ガリガリ君美味しいですか?」
ニヤニヤとした顔で花宮が俺の顔を覗き込んでくる。
「美味いよ…花宮が食ってるハーゲンダッツが食べたかったけどな…」
「もう〜拗ねないでくださいよぉ…仕方がないですねぇ」
花宮はアイスをスプーンで掬うと俺の口の前に差し出してきた。
「え?……なに?」
「なにって…あーんしてください!可哀想なので一口だけあげます」
え…?
それって…間接キスなんじゃね?
少したじろいでいると花宮が無理やり俺の口にスプーンを突っ込んできた。
「もう、アイス溶けちゃうじゃないですか!…それで先輩、アイスの味はどうですか?」
「…美味い」
「なら良かったです」
花宮は何も気にしていないのか続けてアイスを食べる。
まぁ、本人が気にしていないなら良いか…
俺は歩き出すといきなり花宮に腕を引かれた。
俺の頭が花宮の顔の位置まで下がると、俺の耳元で花宮は自分の手を口に当てて小さく囁やく。
「先輩…間接キスですね?…顔赤くなってましたよ…?」
「なっ……花宮!?」
「ふふっ…意地悪のお返しです!」
やっぱりこいつは小悪魔だ…
俺が照れているのが分かってニヤニヤした顔をしている。
少しだけ悔しいな…
「なるほど…お返しされたか…じゃあ罰ゲームは後2回だなー?」
「えぇ〜…それとこれとは別です!だからあと3回、先輩に罰ゲームします!」
何故かドヤ顔をした花宮が可愛くて俺は笑みが溢れてしまう。
「はいはい…あと3回なー」
「余裕な顔をしていられるのも今のうちです!…驚いて泣き叫ぶ先輩の顔が浮かんできます…ふふふ」
凄く楽しそうである。
まぁ、俺としても可愛い後輩がこうしてじゃれてくるのは悪くない。
むしろ、楽しみが増えたと言えよう。
そうやって花宮と話しているともうすぐアパートにつきそうだ。
だけどアパートに近づくにつれて花宮がソワソワしだした。
「あのっ…先輩…先輩って私の家の場所って知ってたりします?」
「ん?…知らないけど…俺の借りてるアパートが近くにあるんだ」
「あ、アパートですか……それって"すみれ荘"って名前だったりします?」
「おう、良く知ってるなー」
そしてアパートに到着した。
花宮は言いにくそうにしてアパートの隣の家を指さした。
「あそこ…私の家です」
なるほど……お隣さんじゃん
「…凄い偶然だな」
「はい…まさか先輩が隣に住んでるって知りませんでした…」
少し驚いたけど、俺は花宮を部屋に招き入れた。
「へぇ…ここが先輩の部屋ですか…思ったより綺麗?」
「あー、お世辞は良いよ…漫画置きっぱなしだったし」
俺は置きっぱなしの漫画やペットボトルの残骸を片付けて苦笑いを浮かべた花宮を座らせた。
「お世辞じゃないですよー…想像してた男の子のお部屋より全然綺麗ですし、置きっぱなしの漫画以外はちゃんと整理整頓されてますから」
「ありがと…まぁお茶くらい出すからそこで待っててくれ」
花宮は借りてきた猫のように俺の部屋をキョロキョロと眺めていた。
やはり男の部屋は居心地が悪いのかな?
「やっぱ落ち着かないよな…ほい、お茶…コンビニのやつだけどな」
「ありがとうございます…そりゃ落ち着きませんよぉ、男の子のお部屋に入るの初めてですし…」
白川はグイグイくるからあまり気にしたこと無かったけど、普通はこんな反応になるよな…
少しでも緊張とか和らぐものはないか…そうだ____
「なぁ花宮!ゲームしないか?」
急な提案に花宮は首を傾げる。
「ゲームですか?…良いですけど、私弱いですよ?」
「大丈夫っ!流石に手加減するし…スマブラってゲームで一対一で戦う対戦ゲームなんだけど…やる?」
「分かりました…やりますっ!………ふふっ」
一瞬花宮が何か企んでるような顔をしていたけど、緊張が解けたようで良かった。
まぁ、結構このゲームはやり込んでるし少しくらいは手加減してやるか…
俺はゲームをセットしてモニターを起動する。
ゲームに繋がった事を確認してコントローラーを花宮に渡した。
「ありがとうございます!先輩"プロコン"使ってるんですねー」
「おう、どうせならやりやすいほうが良いだろ?」
「それもそうですねっ…そうだ先輩、1つ賭けをしませんか?」
「ん?…あー良いけど何賭けるんだ?」
「負けたほうが1つだけ相手の言う事を聞くってのはどうです?」
「良いのか?…手加減できなくなるけど?」
「先輩…一つ言い忘れていました。私、このゲームめっちゃ得意なんです…」
なるほど…通りで先程、なにか企んでるような顔をしてた訳か
それならそれで全力でゲームを楽しめそうだ…
「そうか…そういうことならいいぜ?その賭け乗ってやるよ」
そしてキャラの選択をする。
俺はずっと使い続けた"ジョーカー"を使う
花宮は"シュルク"を使うみたいだな…
お互い強キャラ同士の戦いか…
花宮を見てみるととても余裕そうに見える。
どうやら相当自信があるらしいな
「先輩はジョーカーですか…勝ちに来てますね?そんなに私に言う事きかせたいんですかぁ?」
花宮がニヤニヤした顔で煽ってくる…
良いだろう…受けて立ってやるよっ!
「花宮は自信ありげだなー?」
「行きますよっ!先輩っ!」
そして戦いが始まる…
花宮がモナドの"翔"を使ってリーチを活かして戦いを仕掛ける。
俺はダッシュで近づいて、相手を掴んで下投げからの空前でDPSを稼いでいく。
下強、上強からコンボを繋いでいこうとすると俺の一瞬の隙を狙って花宮はモナドを"盾"変えてコンボをブロックしてきた。
そして、一瞬固まった俺を横スマッシュで吹き飛ばして撃墜した。
なるほど…確かに強いな…
「ふふふ…せんぱぁい?…覚悟は良いですかぁ?」
コイツ余裕そうだな…
でも、クセやよく使うコンボは理解した。
さて…反撃開始と行きますか!
「えっ、ちょ…先輩待って!………うぅっまだです!」
俺は復帰してすぐに間髪入れずにコンボを繋いでいく。
攻撃したのを掴んで、下投げ、横B、ダッシュで近づいて下投げ、そして空前で相手に何もさせない。
「あのっ……先輩っ!ガチ過ぎませんか!?……そんなに私とエッチなことしたいんですか!?」
「……………」
俺は黙って攻撃を続ける。
「せめて反応してくださいよぉっ!」
コンボを続けてDPSを重ねていき、そのまま連続で撃墜して勝利した。
「……先輩…」
あっ、ヤバい……やり過ぎたか?
花宮は俯いてしまって、コントローラを床に置いた。
「花宮…?えと…すまんっ」
「先輩めっちゃ強いですねっ!私オンラインとか結構対戦して強い方だと思ってたんですけど…先輩マジで凄いです!」
俺がやり過ぎたと思っていたのに花宮はとても楽しそうに笑っていた。
「怒ってたんじゃ?」
「え?何でですか?…ゲームはお互い本気でやるから楽しいんじゃないですかっ!それより先輩っ!もう1戦、もう1戦しませんかっ?」
楽しそうに笑う花宮を見てると自然と俺も笑みが溢れてしまう。
「お?…次も手加減しねぇーからな?後、命令権ある事を忘れんなよ〜?」
「うっ……エッチなのは駄目ですよ?」
「しねぇわっ!!」
「ふふっ…冗談ですっ!さぁ先輩っ…始まりますよ!」
何だか凄く楽しいな…
俺達は夜遅くまでゲームして遊んだ。
あの後、俺が勝ち続けた。
十回目くらいで俺の集中力がキレたのか何度もスキを見せてしまい連続で花宮に撃墜された。
「やっったぁ!!…勝ちましたっ!勝ちましたよっ?先輩!」
「おぉ…良かったなぁ~」
正直よくあそこまで連続で戦えるなぁ…
素直にすげーわ…
それよりかなり遊んだからか、時間は深夜を回っておりニ時になっていた。
戦いに勝って気が抜けたのか花宮があくびをする。
「ははっ…流石にもう眠いよな…少し待ってろ、今お客さん用の布団出すから」
「ありがとうございます…しぇんぱぃ…」
「おーい…まだ寝るなー…たっく…」
花宮は目を閉じてそのまま横になっていた。
最近の女の子は無防備すぎはしないか?
まぁ、信用されてると思えばいいか…
布団の準備ができたから、移動させるために花宮の肩をたたく。
すると…何か銀色の金属が、花宮のシャツのポケットから出てきた。
俺は床に落ちた"ソレ"を拾い上げた。
えっと……これ……鍵じゃね?
多分だけど……これ家の鍵なんじゃね?
こうしちゃいられねぇわ…花宮を起こさなければ!
「おい、おい花宮ぁ!?起きろぉぉ!!」
「うぅん…にゃんですかぁ~?せんぱぁい」
「お前コレ鍵じゃねーの!?」
良く見えないのか花宮は目を擦る
「うん?……………あっ!!コレです!先輩っ!どこにあったんですか?」
「どこにあったんですか?じゃねーわっ!お前のポケットから出てきたぞ!」
「えぇっ!!? 嘘ぉっ!!」
そんな一悶着があり、俺は花宮を家の前まで送ってあげた。
「何かすいません…凄くお世話になりました…」
「良いって…鍵見つかって良かったじゃねぇか」
「でもぉ…先輩にご迷惑かけちゃって…」
どうやら俺に迷惑をかけたと思って落ち込んでいるらしい。
別に気にしなくて良いのにな…
先程の楽しそうな顔が嘘のように気まずそうにしている。
俺はそれが見ていられなくて、つい花宮の頭を撫でてしまう。
「あっ……先輩…?」
「んな事気にしなくて良いのに…俺は迷惑なんて思ってないぞ?それに…花宮が鍵を落としたからこうして知り合えて仲良くなったんだし、俺はむしろ嬉しかったんだけどな?」
先程までに目を合わせていたのに、急に花宮は目線を下げた。
「…っ……先輩って…こんな事いつもしてるんですか?」
俺が頭を撫でているのが気になるんだろうか?
「ん?……そういえばしたこと無いな…多分花宮が初めてかも」
花宮は急に頬を赤く染めて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「初めて……私が先輩のっ……ふふっ」
「ん?どうかしたのか?」
「何でも無いです!…先輩、今日はありがとうございます!」
「おう、俺も可愛い後輩と遊べて楽しかったよ」
花宮は家の鍵を開けて中に入る前に俺がいるうしろを振り向いた。
「先輩っ!また遊びに行っても良いですか!?」
「おう、また遊ぼうな〜」
「はい!絶対行きます!…罰ゲーム、残ってますしね!」
そう言い終えると花宮は家に入って行った。
楽しかったな…
ここまで白熱してゲームで遊んだのは久しぶりだ。
その相手がまさかの学園のアイドルの1人の花宮明奈。
高嶺だと思った彼女は普通にゲームが好きな普通の女の子だった。
今度は何して花宮と遊ぼうかな?
そんな事を考えながら俺は自分の部屋に戻った。
______________________________________________________________
花宮 明奈side
扉を締めて、私は扉に寄りかかる。
初めて感じた胸の鼓動に戸惑って、先輩の顔が良く見れなかった…
なんでだろう…?
先輩の家でゲームしてる時までは普通に仲の良い友達みたいに思ってたのに…
急に先輩の顔を見るだけで、胸がドキドキする…
変わったのは…きっとあの時だ…
私が落ち込んでると思って頭を撫でてくれたとき。
先輩の大きくて、温かい手のひらから凄く優しい気持ちが流れ込んで来る気がした。
私を見つめる目がすっごく優しくて本当に私のこと大切にしてくれてるんだって思えた。
恋人でも無いのに…あの時、先輩は私にしかしてないって言ってたけど…
あの慣れてる感じは絶対他の子にしてると思った。
でも、先輩が他の女の子の頭を撫でてる姿を想像すると凄く胸がモヤモヤして凄くムカつく気がする。
やっぱり、初めての男の子の部屋に遊びに行ったから一気に緊張が緩んで変な気持ちになってるだけだよね…?
恋じゃ……無いよね?
だって、だって…初めて会って数時間ですぐに恋をするなんて、私そんなにチョロくない筈…筈だよねっ?
だから、確かめなきゃ……この気持が恋なのかそうじゃないのか
それに罰ゲームだって残ってる……
それを理由に学校でも近づけば良いはずだ
私はそんな事をな考えながらベッドに入った。
先輩に撫でられた頭に少しだけ手で触れる。
それだけで暖かい気持で胸がいっぱいになる。
「先輩……また、会いたいな…」
私は昨日先輩と遊んだ事を思い出しながら目を瞑った。
何だか…いい夢見れるかも……
先輩…また学校でも話しましょうね…?
私はそのまま眠りについた。
______________________________________________________________
更新遅くなってすいません!
実は風邪を引いてまして…
それはさておき、僕が風邪で寝込んでいる間に…………
何とフォロワーが400を超えて、PVも5000を超えていました!
読んでくれた皆様、本当にありがとうございます!
日々増えていくフォローや応援やレビューなど、とても励みになりました!!
是非とも今後も宜しくお願いします!
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