第6話 謎解きのプロは未知の文明の謎も解けるのか?
時は少し遡り、アストロがシキに命じた頃。シキは1人ダンジョンを走っていた。
シキはこれまで17代目勇者として、コストイラ、アシド、アストロ、レイド、エンドローゼ、そしてアレンとともに旅をしていた。しかし、連携らしい連携はこれまでしたことがないため、実は1人の方が戦いやすい。
それに、命令されたのだ、やるのは当然である。
後、頑張れば、夫であるアレンが褒めてくれるかもしれない。
「ムフ。……は」
アレンに膝枕をしてもらいながら頭を撫でられる妄想をしていると、涎が垂れてきてしまった。シキは丁寧にハンカチで拭き取る。
「ん?」
目の前には岩の巨人。シキは止まることなく腰裏から緑の刀身をしたナイフを抜き、壁を蹴って躍動。流れるように切り刻む。
一旦、そこで止まり、紙とペンを取り出す。動物の皮を鞣して作った紙に、魔力をインクに換えるペンで、これまで走った道を記入していく。2枚目の紙に、今戦ったモンスターを、イラスト付きで記していく。
特徴を書こうとして止まった。瞬殺過ぎて、特徴分からん。
シキは少し悩み、大きくて硬い、と書いた。
再びシキが走り出す。
そして、すぐに行き止まりに辿り着いた。但し、この行き止まりはただの行き止まりではない。風の通る行き止まりだ。
そう、これは壁ではなく扉だ。
しかし、困ったことにノブや鍵がない。あるのは扉の脇で煌々と光る謎の板。文字が書かれているが、読めない。シキは転移してきたばかりで日本語を知らないのだ。
「ムムム」
首が自然と傾いてしまう。
とりあえずここまでの道と、書かれている文字を写しておくことにした。
明+1→朋
銅+3→胴
果+?→胃
その下に1~10までのパネル。
ガチャガチャとすべてのボタンを押しまくるのも1つの手だが、何か嫌な予感がするので触らないでおく。こういう時の勘は意外と当たるのだ。
そんなわけで引き返す。分岐がまだあったはず。シキは別の道へ入っていく。
しばらく走ると、緑の殻のようなものに覆われた怪獣系モンスターが現れた。
雄叫びを上げられる前に、シキは緑のナイフを抜き、怪獣の首を断つ。そして、イラスト付きで紙に記していく。
そこで手が止まった。あれ、また特徴の欄が大きくて硬いになっている。少し悩んだ末、緑色と追加した。
その後、シキは再び謎と出会ったり、雪の巨人と戦ったり、謎と出会ったり、そしてまた謎に出会ったりした。先へ進めそうな4本の道はすべて謎が書いてあり、しかもその謎すべてがシキに解けない。
彼女の決定は早かった。こういう頭脳系はアストロがやってくれる。私はこれを持ち帰るだけでいい。
シキは岩の巨人の角と怪獣の殻を手に持ち、アストロやアレンの元へと歩き出した。
そういえば反対側の通路を調べてないな。
そう思った時、くしゃみが出た。ぶるりと体が震える。ノースリーブ短パンには堪える寒さだ。
シキが部屋に帰ってくると、アストロがコストイラを攻撃していた。
「???」
シキの頭の中は疑問符で埋め尽くされる。
しかし、シキに電流走る。アストロがこれまで一度でも無意味な攻撃をしたことがあっただろうか。いや、ない! これはきっと、コストイラが何か怒らせるようなことをしただけなのだ!
では、シキのやるべきことは何か?
そう、コストイラを捕らえることである。
シキは静かにコストイラの背後に回ると、容赦なき羽交い絞めをする。
「何!? シキ、いつの間に!」
「ナイス、シキ。よくやったわ」
暴れて抜けようとするコストイラを徹底的に締め付け、逃げ出さないようにする。アストロはシキに感謝しながら、コストイラの顔面に魔法を当てた。
「我、復活! ヤイヤイヤイ! どうして誰も我を助けようとせんのじゃ!」
自力で脱出したポラリスは、地団太を踏んだ。
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