第10話 ソラと一条 光、松前藩に到着しカチコミをする

「ほう、進化の秘宝か……、伝説の代物だと聞いていたが……まぁいい、ますますお前が欲しくなった。お前の言い分も理解したぞ」


 とりあえずボクが最弱のクソ食わされクソ雑魚野郎だったってことは理解してもらえたようだ。


「それじゃあボクは松前藩に寄ってみるんで……この辺で」


 別れようとしたところで一条 光さんに抱き着かれた。


「まぁ待て待て待て、我も連れていけ、面白いことになりそうだ」


 ボクは面倒なことになりそうなのでハッキリと拒絶の意を表す。


「嫌ですよ。ボクは貴方の作る、弱者を虐げる国の王様になんかならない!」


「なぁに、ついてくだけだ。それならば問題無かろう」


 本当についてくるだけかな?

 正直一人旅は心細いんだよな。

 まだ村でうんこ食わされた記憶がたまにフラッシュバックするし。

 ここはカズミオジサンの代わりに、話し相手になってもらおうかな?

 まぁ旅のお供の話し相手くらいに考えれば問題ないか。


「じゃ、じゃあ一緒に松前藩まで行きましょうか」


「おう、さすが話の分かる奴だ、では行くぞソラ?」


「あ、はい、よろしくお願いします。早速なんですけど一条さん、地図の読み方って分かります?」


「……お前は我をバカにしておるのか?」


「滅相も無い、ボクに学が無いだけで読み方を知らないんですよ」


「そうか……ほんとに最弱だったんだな、付いて来い、堂々と正門から松前藩に乗り込もうではないか! ソラ、しりとりをするぞ。お前がどれくらいものを知ってるか確認してやる」


 乗り込むって……物騒な表現だな、まぁでも流石に一人で松前藩に喧嘩売るほどバカじゃないだろこの人も、なんせ相手は軍隊だ。


「しりとりですか、いいですね、じゃあしりとりのしからスタートで、死神」


「お前……意外と物騒だな。み、耳」


「みかん……あ、負けちゃった」


「お前弱いなぁ……、もう一回」



 ――――そうして歩くこと数時間。



「なんか急に都っぽい所に来ましたね。建物がいっぱいだ!」


「ふん、こんなところが都だと? 笑わせるな」


「一条さん! 茶屋がありますよ! 団子食べてみましょうよ!」

「興奮するなそれしきのことで、一本だけだぞ、店主、団子を寄こせ」

「あいよ!」


「え、歩きながら食べるんですか?」

「もうすぐ日が暮れる、宿は面倒くさいからとりたくない」


「宿代くらいボクが出しますよ~、近道教えてもらったんですから」

「見ろソラ、あれが城だ。あそこに今から行くぞ」


「へぇ~あれが松前藩の城、でっか! って今日行くの?」

「団子買ってやっただろ! 付いて来い!」

「そんなぁ~」


 こうして、城の入り口まで二人でやってきた。


 まずい、やな予感がする。こういう時のボクの勘は当たる。


「む、止まれ、貴様等何者だ!」


 一条さんはイキリワードを発した。


「この城を乗っ取りに来た」


 まずいことになったぞ!

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