第7話 始まりの田舎編・完

 ドオン ドオン ドオン……。


 一発。


 たった一発全力で殴っただけだった。

 

 ワッカは壁を三枚ぶち抜いて吹っ飛んだ。

 意識はないだろう……、というか生きてることさえも……。


「おいなんだなんだ!」

「すげー音したぞ?」


 すぐに人が集まってくる。


 喧騒の中、ボクは怖くなって走って逃げた。

 オジサンはワッカから全財産を奪いに行ったのか、消えていた。


 ボクはオジサンどころじゃなかった。


 道を走った。


 息が上がるまで夢中になって走った。


 どうしよう……殺しちゃったかもしれない……。

 ステータスは上昇していた。


 オジサンとは完全にはぐれてしまった。

 さよならもまともに言えなかった。

 進化の秘宝を貰っておきながら……。


 ボクは道を頼りに進むことにした。


 こうして、ボクの最弱の経歴が終了した。


 ――――始まりの田舎編・完

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